さて、今回は厚生労働省のデーターを参照しながら、東京都について大まかに1.医療市場の特徴と2.現在の医師分布と医師需要について2回に分けてお伝えします。
1. 東京都、医療市場の特徴
(1) 地域的な特性
必要とされる医療の質と量は、大きくは人口及びその年齢構成と医療機関へのアクセスの観点から人口密度に左右されると言えます。東京都は、大きく23区内と都下の2つのエリアに区分され、さらに23区は千代田区を中心とするオフィスエリアと、葛飾区、世田谷区などの住居中心エリアに区分され、求められる医療ニーズも相違します。また、都下地域は、主に住居中心のエリアですが町田市から北西部(青梅市、八王子市等)については療養病院や精神病院が数多く立地する特徴があります。
表1【人口、人口密度と年齢構成】

東京都全体で見ると、表1より、東京都は人口の約10%を抱える巨大市場かつ人口密度が5805人/m2と圧倒的に密度が高い地域です。また、全国に比較すると働く世代の人口構成が高い地域です。他の都道府県に比較すると、人口密度の高さから、そのエリアにマッチした医療の提供が出来れば、圧倒的な数の患者を集めることも可能と言えます。
(2) 医療機関数と種類からみた特性
表2【人口10万人に対する病床数と診療所数】

東京都の病床設置数は全国に比較し、高齢者率の低さを考慮しても総じて少ないと言えます。反面、これが老人マンション等の高齢者施設の利用と在宅診療の普及が進んでいる状況にもが繋がっているかと思われます。また、東京都の人口密度の高い点が、他地域に比較し在宅診療を普及させる大きな要因になっているかと思われます。移動距離が比較的少ないため1日に10〜15件、多いところでは20件程を診療するケースも見られます。また、東京都の大きな特徴として、無床診療所が非常に多く、全国に比較すると人口比で約36%多く立地する状況があります。
表3【人口10万人に対する患者数】

この診療所の数と患者数から1診療所の割り当て患者数を計算すると、1診療所の1日の平均外来数は全国平均が約40人/日であるのに対し、東京都の診療所は約30人/日であり、激しい競争下にあります。診療科別・内容にもよりますが東京都の賃料から考えて1日平均30人/日を切ると経営的には厳しいと言えます。特に開業を考える場合には、診療圏内の綿密なエリア・ニーズ調査及び周辺医療機関の状況把握が必要となり、また転職をする場合にも経営状況の把握とコンセプトと地域ニーズが一致しているかを見極める事が重要です。
病院については、年齢構成割合を考慮しても全国に比較し病床設置率は低い状況と言え、標準レベルで経営を行っていれば破綻することは少ないかと思われます。但し、放漫経営、病床利用率が低い病院では経営的に厳しい状況にさらされる危険があります。
また、最近、医師に問われる2012年の療養病床の削減に向けた療養系病院の状況は、東京については療養病床の設置率(全国280人/人口10万に対し東京167人/人口10万)が低い点から、比較的削減率は少ないかと思われます。但し、やはり医療区分1を中心とした患者層で運営されている病院では、診療報酬が少なく経営的には厳しい状況になりえると思われます。
簡単に、東京の医療状況についてご紹介してまいりましたが、ここ近年で診療所、大病院、小病院等の各医療機関の機能や役割は区別されていくかと思われます。それを見極めて働く医療機関を選別する事が重要かと思われます。
次回は、東京の医療機関の状況を踏まえ、東京都における現在の医師分布と医師需要についてお伝え致します。
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