「地方だから求人しても医師は来てくれない・・・」。本当でしょうか?確かに「勤務地」は医師にとって勤務施設の選択を左右する大きな条件のひとつ。今回はこの「勤務地」に関するデータを調べてみました。
 
     
 

前回は、医師が医局人事を離れて「転職」先を探す際のインターネット利用率は76.3%であり、医師を募集する医療施設にとって インターネットが非常に有効な手段であるとお伝えした。

ところで、「転職」を考える医師は、どのような条件を優先して転職先を探すのか気になるところだ。医師にインタビューしてみるとまず「勤務地(施設の所在地)」、 「科目」、「年収」との答えが返ってくることが多い。さらに詳しく聞いていくと「時間的な余裕がどれほどあるか」、「臨床研究や技術の習得ができるか」、「将来の開業に向けて準備ができるか」、「施設の経営方針」、 「院長の人柄や職場の環境」、「どれだけ医師や従業員を守ろうとしてくれているか」という声があがってきた


これらの条件を念頭において転職先を決定しているのは、おそらくどの医師も同じ。m3.com CAREER通信 Vol.3では、医師が持つ転職条件の中でも大きなポイントとなる「勤務地」について迫ってみたい。


2004年度からスタートした初期臨床研修必修化により、多くの病院で医師不足は深刻化している。したがって、各医療施設はより能動的な医師募集をしなければならないのだが、病院の所在地によっては 「あまりにも田舎にある病院だから、医師は来たがらない。どうせ公募採用は無理だろう」と医師の公募をあきらめかけている採用担当者も少なくないと聞く。

ところがm3.com CAREER
が2004年7月に医師を対象に行ったアンケートからは、そんな採用担当者の嘆きを吹き飛ばすような結果が出た。

医師に勤務地に対する希望について聞いてみたところ、 回答者のうち61.5%もの医師が「待遇や施設、仕事が魅力的であれば地方でもかまわない」と答え、さらに23.5%の医師は「自分や家族の出身地であればかまわない」 と回答しているのである。都市圏の医療施設を希望するのは、たった15.1%だけであり、これは医療関係者にとっても驚くべき結果と言えるのではないか。

当然地元出身の医師に声をかけてみるのもひとつの手。しかし、何よりも医師を招く際の 待遇や、自院の魅力をどう伝え、訴求するかが大きなポイントとなりそうだ。


別の集計結果も見てみよう。
グラフ#2は、実際に「m3.comCAREER」上に2004年4月〜9月に掲載された「エリア別の求人票掲載件数」 の集計だが、これを見ると求人票の41%が関東地区の病院のものであり、他の地方にくらべて圧倒的に多い。


しかし 、エリア別の求人票の掲載後1ヵ月(30日間)での1施設当たりの検索結果表示回数及び求人票単体での表示回数を集計してみたところ、全国平均では1ヵ月(30日間)で、 1施設当たり1359回が検索結果として表示され、そのうちの417回は求人票が表示されている。そして、なんと、この全国平均の数値を上まわって検索された地方がいくつかある。 それは九州地方、中国四国地方、そして中部地方。このほか北海道や東北地方でも、全国平均の数値とほぼ変わらないアクセス数があったのだ。

地方の医療施設であっても平均以上のアクセスを有しているところもあるというのは、病院個別の表現や努力、ユニークさが注目され、評価されているのだと言える。

そうした施設の求人票のユニークかつ病院独自のアピールのいくつかの例をご紹介しよう。
「空港から車で40分。交通費は至急します」、「空港に近いため、 日本国内の主要都市には3時間程度でアクセス可能」、「開設8ヵ月で経常収支的にも黒字です。したいことがあれば提案してください」、「融通の利くクリニック。 お金のことも含めてなんでも相談できるのが自慢です」、「空港より車で約1時間の位置。急性期と慢性期の2つの病院を持っていますので来られる先生方にさまざまな対応が可能です」、 「周囲は自然に恵まれておりゴルフや釣りはもちろん、サーフィン、ダイヴィング、山でハイキングや鉄砲を撃ったりと、自然を満喫できる環境が整っています」、 「クリニカル・パスの積極導入、エビデンスにもとづいたEBM委員会や、検査フィルムのデジタル化や2年後の院内電子化など、医療者・患者さまそれぞれにメリットのあるものは 積極的に導入・チャレンジしています」、「2次医療圏内において救急車の搬送件数も圧倒的に多く、救急救命の面では多くの症例があります」、「日本一やさしい施設をめざしています」 など、病院の理念や位置、周辺環境、どういう医師を求め、どういう働きを希望しているかなど、簡潔にわかりやすく表現しているところが多数のアクセスを集めているようだ。

m3.com CAREERホームページ(http://career.m3.com/)では、「こだわり求人INDEX」という、求人におけるポイントやテーマを分類して掲載するサービスを行っているが、 このサービスを活用している病院は、活用しない病院の検索結果の2倍程度のアクセスを得ている。

これらの結果から「場所的に不利」と考えられがちな医療施設こそ、訴求ポイントを明確にし、 独自の医師募集をすべきだと考えられる。従来の雑誌の広告などで見受けられるような施設名と住所だけを掲載する形態では地方の施設の求人が難しいと言えるだろう。
 
   
  m3.com CAREERに求人票をご掲載の施設へのアクセス数を見ると、 個別の施設間には大きな開きが見られるようです。ただし、それらは地域による格差というよりも、その他の要因の方が大きいような気がします。 多くの医師が、今後の医局人事の影響力の低下を予測する中、施設の個性や特長をいかに医師に訴求していくかが、重要だと思いました。

m3.com CAREER 通信 編集部 career_soken@so-netm3.com

   
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おかげさまで医療従事者専用サイト「m3.com」の会員登録数が20万人を突破しました。(http://www.so-netm3.co.jp/press20041124.html) 全会員のうち、最も多い職種である医師の数は8万9000人となり、日本全国の医師の36%にご利用いただくサイトとなりました。
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