お久しぶりです。冬に戻ってしまったような寒い日が続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
4月17日に、厚生労働省保険局による「医療構造改革に関わる都道府県会議」が実施されました。そこで、医療機能の分化・連携の取り組みによる医師確保対策として、「マグネットホスピタル」活用案が提示されていました。
「マグネットホスピタル」は、ご存知のとおり、「患者・医師を引き付けて離さない、魅力ある病院」のことです。医師確保対策に活用するとはすなわち、よい指導医のもとキャリア形成を行える病院として「マグネットホスピタル」に集まった医師に対し、勤務要件として僻地勤務を組み込むことで、医師を供給する手段を実施する事のようです。また、県立病院をマグネットホスピタルとすることで、人事権によりスムーズな供給が可能との判断もあるようです。
長期的な施策としては、この施策は有効なのでしょう。ただ懸念事項として、これから「マグネットホスピタル」を成立させていく段階ですから、効果が出るまでには他の施策が必要なように思われます。また、人事権の有無があるとはいえ、地域診療としての観点から、民間施設も巻き込んでの施策が得られないものでしょうか。
また一方で、地方自体に「マグネットホスピタル」を作って医師を確保し、人が安心して居住できる街づくりをという自治体の動きもあります。医師の方々自身に「居住したい」と思わせる街づくりも同時に行われるのであれば、まさに地域活性化を担う施策ではないかと思います。
ところで、「500床以上が必要」「急性期病院」等、「マグネットホスピタルとして成立する条件」は必須なのでしょうか?崩壊する以前のベス・イスラエル病院は、慢性期でしたが、世界的に著名なマグネットホスピタルでした。そして、このマグネットホスピタルは、長期にわたるケアによって患者との信頼関係を築いていました。現在日本が進もうとしている「医療費削減のための入院日数短縮」とは相反するものです。もちろん、医療費削減を全面から反対するわけではありませんが、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかでも日本の医療費は十分低い水準にあります。「魅力ある医療施設」としての観点から考えるのであれば、医療に対する国民全体の意識をもう少し高める施策も必要なのではないか、と思います。
エムスリーキャリアのご紹介先は、いわゆる「拠点病院」という意味でのマグネットホスピタルではないかもしれません。しかし、先生方にとっての「マグネットホスピタル」となるような、魅力ある勤務先をご紹介したいと常に思っております。ご意見・ご相談、お待ちしております。