医師インタビュー企画 Vol.4 武藤 真祐
僕は、『こうありたい』と思うものを既成概念にとらわれずに大胆に構想したい。そして、これまでできなかったこと、なかったものを自らの手で創造したいのです。

大義にもとづき赴いた石巻予期せぬブレイクスルーを得る

医師インタビュー企画 Vol.4 武藤 真祐

武藤は、医療現場重視を旨とする。患者と接し、患者を診て、信頼関係を作っていく。患者や家族と苦しみや喜びを共有し、時に感謝されるのが、すべての原点。「原点から離れてものを言っても、100パーセントの自信を持てない」と彼は言う。「動機も根拠も方法論も現場にある」が信条だ。だから医療現場から離れようとせず、そこにもっとも力を置く。

現場主義が功を奏した好例が、宮城県石巻市に開設した祐ホームクリニック石巻だろう。東日本大震災の発災直後、医療者の本能に従い石巻を訪れ、クリニックの開設を即決した。当初は「新しい社会システムの構築」との接点など考えてもいなかったという。

「深い考えもなく1週間のうちに半分、石巻で診察する生活が始まりました。当時は片道5時間かかる道のりを毎週往復しました。今では延べ250名を超える方が、もしかしたら無理だったかもしれない在宅での生活を送っておられます」

加えて、そんな暴挙を実行しなければ遭遇できなかった気づきがあった。高齢者の孤立、行政の力の相対的な低下、コミュニティの崩壊――被災地の問題は、超高齢社会の問題であるということだ。気づいたなら即実行。高齢先進国モデル構想会議のスタッフとともに始動した。

医師インタビュー企画 Vol.4 武藤 真祐

「延べ約2万軒の被災者宅を戸別訪問し、身体や心といった健康面のみならず、生活面も含めて状態を詳細に聞き取りました。1軒1時間以上かけて集めた情報はデータベースに入力、それらの情報を専門職が精査し、サポートが必要な人には健康・生活の専門家がフォローにまわった。支援状況のログは、データで残し、継続的・複合的な支援を円滑に行うスキームを構築しました。

医療、福祉、保健に関する事項はもちろん、住まいや食事、買い物など生活全般のことから、被災者の心の問題までの相談を受けつけるほか、社会参加の機会提供や生き甲斐づくりなど、人々の生活を支え、生きる力を引き出すようなサービスプラットフォームの誕生です。

そして高齢先進国モデル構想会議は期せずして、小さいながらもブレイクスルーを得ました。プラットフォームの誕生で、たとえば、同会議に参加する約50社の企業が、より鮮明に被災地で貢献のかたちを描けるようになりました。

健康と生活の融合、官民の役割分担と連携など、これまで課題とわかりながらもブレイクスルーできなかった問題が、この地では氷解しました。高齢先進国モデル構想会議を立ち上げ、東日本大震災を経た現在、石巻を舞台に僕たちのモデル構想は、ものすごいスピードで実現しつつあります」

祐ホームクリニックの約束 You Credo

医師インタビュー企画 Vol.4 武藤 真祐祐ホームクリニック 祐ホームクリニックの存在意義および提供価値を示すものが、この「You Credo」です。わたしたちを常に適切な方向へ導く指針として、集うスタッフ一人ひとりが大切にし、一つ一つの判断の基準、行動の基本にします

患者さん、ご家族との約束
わたしたちは、患者さんが安心してその人らしい人生を送ることが できるよう、患者さんとご家族の言葉に真摯に耳を傾け、適切な支援を行います。

地域の医療、介護チームとの約束
わたしたちは、ともに活動する医療・介護に携わる方々に対し、 いつでも、親身で丁寧、かつ迅速に、適切な対応をします。

クリニックとの約束
わたしたちは、祐ホームクリニックのパートナーであることを誇りに思い、 常に成長を続け、個々の責任を果たすとともに、互いに尊重・協力しあいます。

社会との約束
わたしたちは、患者さんとご家族が安心して過ごす環境づくりを通じて、 希望ある社会を創造します。

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