20~30代の若手医師がキャリアプラン実現のために知っておきたいこと

医学部卒業後、医師としての専門性を深めながらキャリア形成を図る20代から30代。今回は若手と言われる20~30代のキャリアの特徴や、悔いのないキャリアプラン実現のポイントをエムスリーキャリアのコンサルタントに聞きました。

20~30代は研修を通して専門性を高め、道を見定める

20~30代の医師は専門医取得を一つのゴールとし、自己研鑽に励む傾向が強いです。しかし専門医を取得し一定の裁量権をもって働ける30代半ば以降になると、人によっては指導医の資格を取得し一部マネジメントも担うなど、業務の幅も広がります。キャリアの選択肢も増えていくため、将来を見据えキャリアチェンジを検討する医師も増える傾向にあります。長期的な視点で自身のキャリアプランを見つめなおすフェーズと言えるでしょう。以下、「20~30代の若手医師が読んでおきたい記事まとめ」より抜粋します。

20代は約2年間の初期臨床研修と3~5年間の専門研修プログラムを通して、自身の専門性を確立していく時期です。2018年4月に始まった新専門医制度下においても「約9割の医師が専門研修プログラムに登録した」と日本専門医機構が公表しています。専門研修プログラム修了後はさらなる専門性を追求してサブスペシャルティの取得を目指す人もいれば、転居、出産・育児といったライフイベントが重なることでプライベートとの両立に比重を置く人など、さまざまな道に分かれていくことになります。

研修後の勤務先は、大学医局か、市中病院かによって環境が異なります。前者であれば高度医療に携われることはもちろん、年次である程度のキャリアパスが決まります。さらに、研究・教育機関として論文や学会発表の実績が重視されたり、関連病院への頻繁な異動があったりするでしょう。他方、後者では地域に住む患者の診療に集中できる特徴がありますが、仕事内容や福利厚生などは病院次第とも言えます。そのため、医師一人に任される裁量が大きいところもあれば、物事を進めるには都度申請が必要なところも。医師生活を送るにあたり、自身の希望や優先順位をはっきりさせておかないと成長のチャンスを逃してしまうかもしれません。

ライフイベントも目白押しの20~30代

一方で、20・30代は結婚・出産・育児といったライフイベントが重なる時期でもあります。近年、ライフスタイルの変化に応じた働き方が整備されてきているとはいえ、プライベートと仕事の両立に悩む医師は未だ少なくありません。中には不規則な勤務形態や、医局人事による遠方への異動などで家庭との両立が難しくなり、キャリアチェンジに踏み切るケースも。その他、プライベートの時間確保やハードワークによる体調不良、大学医局での人間関係といった理由で、別の道へ踏み出すこともあります。このように、20・30代は仕事・プライベートの両面で変化に富み、大きな選択を迫られる局面の多い時期です。

活躍のフィールドは広がっている

現在は臨床や研究にとどまらず、行政や企業での勤務といった道も、以前よりは現実的な選択肢になっています。医師のキャリアにおいて“間違いのない道”はなく、自分の意思でその都度、選択していくことが求められているのです。ここでは、一般的なキャリア以外に、若手医師に見られるキャリアチェンジの一部をご紹介したいと思います。

転科

20~30代の若手医師が、実際に臨床で経験を重ねる中で、イメージとのギャップやより現実的な選択肢に目が向き転科を決意するケースはそれほど珍しくありません。中には、専門研修中に指導医が辞めてしまい転科せざるをえなくなることも。その場合、医療機関にとって転科は決して受け入れがたいものでなく、若く意欲的な医師の新たな挑戦を応援してくれる施設が多いでしょう。

開業

近年では、働き方や収入、また目指す医療など様々な面で自由度の高さを重視し、積極的に開業を目指す若手医師が目立つようになっています。専攻医を取得後すぐに開業に踏み切るケースも。ただし、多額の運転資金が必要になるためリスクをふまえた事前準備や戦略の検討が必要です。(※くわしくは『どのくらい大変?開業までの1年間―開業までのロードマップ(1)』をご覧ください)

産業医

臨床以外のキャリアを考える医師に以前から人気のある産業医。世間的な健康経営への関心の高まりとともに、医師からの注目度も近年ますます高まっています。働き方を比較的コントロールしやすいため、ライフイベントが目白押しの30代医師にとっても有力な選択肢の一つとなっているのです。一口に産業医と言っても、産業医として生計を立てるのか、あるいは臨床のかたわら産業医としての業務も担うのか、働き方は人それぞれです。(※くわしくは『「産業医は楽で儲かる」は本当か? 現役産業医がお答えします―Dr尾林の産業医ガイド(1)』をご覧ください)

自由診療

保険診療よりも高収入が得られ、プライベートの時間も確保しやすいといった魅力から、自由診療という働き方を選ぶ医師もいます。特に美容領域においては若手医師が求められやすい傾向にあります。(※くわしくは『転職を機に、自由診療領域に挑戦した医師たち―医師の転職カルテvol.7』をご覧ください)

その他

近年では「目の前の患者さんだけでなくより多くの人の健康に貢献したい」と行政やビジネスの領域から医療に携わる若手医師も目立ちます「目の前の患者さんだけでなくより多くの人の健康に貢献できる」という点に魅力を感じるパターンが多いそうです。そんな若手医師が就くのは、たとえば保険会社で働く社医や、製薬企業で医師資格を活かすMD(メディカルドクター)、医系技官、ヘルスケア産業のビジネス職、起業とさまざま。中でもヘルスケア産業のビジネス職はレア求人ということもあり、人気が高いようです。(※くわしくは『臨床医以外にもある!医師免許を活用した働き方』をご覧ください)

選択肢が多いからこそ気をつけたいポイント

専門医を取得した30代後半では、スキル・専門性の高さに加え、今後の伸びしろや指導力への期待も大きいため、転職市場では非常にニーズが高いです。病院では年齢構成を気に掛けることもあり、「部長よりも年上の医師は採用できない」といったケースがあります。そういう意味でも30代は選択肢の多い時期と言えます。

ただし売り手市場だからこそ、目的意識の弱いキャリアチェンジは若手医師にとってリスクにもなりえます。たとえば、急性期病院での勤務に疲れ医療ステージを変えた場合。しばらくしてまた急性期に戻りたくなったとしても、急性期患者のニーズに応えるスキルが維持できていなければ難しいでしょう。特に医療ステージの変更や臨床を離れるといったキャリアチェンジは後戻りが難しいので、タイミングを慎重に見定める必要があります。

年代を問わず、キャリアチェンジを考える上では目の前の一瞬を切り取るのではなく、将来を見据えてキャリアプランを検討することが大切です。長期的な視点でキャリアプランを考えるためには、これまでを振り返り、今後自分がどういったキャリアを歩みたいかイメージを固めたり見直したりする機会を定期的に持てるといいでしょう。

ポイントは、自分にとっての“キャリアの軸”を明確にすることです。自分がやりたいこと、働くうえで譲れないものが何かで選ぶことでキャリアは変わります。たとえば勤務時間や収入、スキルアップ、ポスト、職場環境、ワークライフバランス……。もし収入を最優先したいのであれば、生涯年収をふまえ診療科を選ぶ、大学病院ではなく市中病院を選択する、といった決断になるかもしれません。また、プライベートの時間確保が大切なら、研修終了後から産業医として勤務するなど、早いうちにメリハリをつけやすい働き方の選択肢も出てくると思います。

“キャリアの軸”があいまいだと、「周りにそういうキャリアの先生が多いから」「とりあえず現時点での不満を解消したい」といった表面的な理由に流されてしまう恐れも。どこかのタイミングでキャリア選択に後悔してしまう、といったことをなくすためにも、キャリアの軸を固めることは重要です。その上で、将来のキャリアへの道筋を立てられると安心でしょう。

また、中長期でキャリアを見据えると、転職という選択肢も出てきます。転職は、自分らしいキャリアをつくる手段として捉えることが大切です。もしも転職のタイミングや自分に合ったキャリアや働き方がわからない時は、多くの医師のキャリアを見てきたプロに頼ることも良いでしょう。

20~30代医師のリアルボイス…「あのときこうしておけば」

実際に20~30代医師はキャリアを切り拓くうえで何が重要だと考えているのでしょうか。自身のキャリアを振り返ってみて「こうしておくべきだった」と思うことについて、エムスリーキャリアのアンケート(※1)から一部抜粋してご紹介します。

  • 「研修医時代に人脈を増やし(ておけば)、今後の診療に役立てたのではないか。また、今後の病院選択の際の参考になったのではないか」(29歳女性、精神科)
    ※カッコ内は編集部の補足
  • 「独身時代に何も考えずに浪費を続けており、研究中心の生活となり収入が減少したため、少ない貯蓄を切り崩して生活しています。将来を見据えて貯蓄をしていればと後悔しています。資格に関しても取りたい思った時は忙しく手が回らずであり、余裕のある時に準備をしておけば良かったと後悔ばかりしています」(36歳男性、小児科)
  • 「ワークライフバランスを考えた働き方をする前に(バリバリ働いていた頃に)、もっと他の専門医取得や論文作成、専門研修などを受けておけばよかった」(34歳女性、小児科)
  • 「海外留学以外に今の病院から離れたことがないので、色々な先生方と仕事をしてみたかった。手術室麻酔以外に、若いうちにICUや救急も経験しておきたかった」(39歳男性、麻酔科)
  • 「頑張ることが全てと思っていたがやはり自分の限界を見極めて寸止めすることは長いキャリアのうえで大事だと思います」(31歳女性、放射線診断科)

※1 「キャリアプラン実現のためにしておくべきこと」をテーマに、エムスリーが2019年6月に実施。


今後のキャリア形成に向けて情報収集をしたい先生へ

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医師の転職支援サービスを展開しているエムスリーキャリアでは、直近すぐの転職をお考えの先生はもちろん、「数年後のキャリアチェンジを視野に入れて情報収集をしたい」という先生からのご相談にも応じております。

●転職した場合、どの程度の年収になるかを確かめたい
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