刑務所で働く医師、待遇は?――知られざるニッチキャリアの世界Vol. 1(後編)

大学の基礎研究者から、矯正医官にキャリアチェンジした岩田要先生。矯正医官になるまでの経緯をまとめた第1回、矯正医官の仕事の実際についてうかがった第2回に続いて、最終回の今回は、気になる待遇ややりがいなどについてお聞きしました。

ルールに則れば、研究や兼業も可能


――1日の平均的なスケジュールは、どんな感じでしょうか。

朝8:30の定時に始まって、終わるのは17時。7時間45分勤務が、週5日です。朝はミーティングがあって、前日からの申し送りを聞いたり、幹部の打ち合わせがあったりします。その後、9時過ぎから11時過ぎまでが午前の診療、13時から16時ぐらいまでが午後の診療です。診療の合間を縫って、処方箋や紹介状を書いたり、医務的な決裁をしたりもします。

――矯正医官特例法によって、平日の兼業が可能になったそうですが。

はい。勤務時間の内外を問わず、外部の病院などで報酬を得ての兼業が可能です。勤務時間内の兼業は、1週間あたり19時間が上限で、その時間分の給与は減額されます。勤務時間内の研究も可能ですから、大学院生などは働きながら研究もできます。

――先生ご自身は、兼業なさっているのでしょうか。

私は、勤務時間内の兼業はしていません。兼業は、金曜の夜の当直と土曜の日勤をしています。それに加えて、月に1回だけ月曜の夜の当直をしています。このときは、その病院から出勤すると火曜日の朝8時半に間に合わないため、フレックスタイム制を利用して、9時から17時半までの勤務にしています。きちんと届け出をすれば、もちろんルールの範囲内でですが、融通がききますね。

社会を立体的に見られるようになった

――先生は併任のお仕事もなさっているそうですが。

常勤医師が1人しかいない施設に週1日、法務省に週1日行っています。法務省では、全国の矯正施設で散発的に起こる事案に対して、医療的な面からのコメントをしたり、事務官からの疑問に答えたりと、アドバイザー的な仕事をしています。
ずっと理系の、医師や研究者だけの狭い世界で生きて来たので、初めて行政に関わる文系の世界に触れて、視野がとても広がりました。社会を立体的に見られるようになったというか。また、医師や研究者の世界が比較的フラットであるのに対して、刑務官の世界は命令系統のはっきりした縦型です。この違いも新鮮でしたね。今まで知らなかった、さまざまな職種の人と協働できることが、とても楽しいんです。

――お仕事のやりがいは、どの辺りにあるのでしょうか。

矯正医官は表に出ない、裏方の仕事だと私は思っています。したがって地位や名誉、あるいはお金にやりがいを感じる人には、向かないかもしれません。しかし、私にとってはこれまで知らなかった世界を知ること、自分の世界が広がることがモチベーションの源泉になっているので、日々新たな発見と共にやりがいを感じながら仕事をしています。

――プライベートな面では、何か変化があったでしょうか。

いちばんは、働き方改革ですね。17時に終わって、土日は休めるという。「矯正医療で働いて、自分が矯正された」と、言っているんです(笑)。
具体的には、空いた時間で、昔やっていたジョギングを再開しました。そのおかげで体型も元に戻りつつありますし、健康的になりました。家族と過ごす時間も増えましたし。さらに、自治会の活動もできるようになりました。交通安全週間には旗を持って横断歩道に立ったり、お祭りに協力したり、年末の夜警で「火の用心!」と町内を回ったり。プライベートでも世界が広がって、とても楽しいですね。

――矯正医官というお仕事の魅力は?

自分の興味に応じて、さまざまなライフスタイルを作れるところではないでしょうか。私のように、呼びかけに応じて手を挙げることで、通常の病院勤務とは異なる行政関連の仕事を経験することもできます。アフターファイブを充実させることもできますし、文献を読むなど、これまでしたくてもできなかったことを始めることもできるでしょう。
少なくとも私にとっては、とてもいい選択だったことは間違いありません。


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