開業場所の選定で、忘れてはならない視点―開業までのロードマップ(4)

開業医T

診療方針や事業計画を策定し、資金調達を終えたら、次は開業地や物件探しです。わたしの場合、開業前に地域のニーズがわかっていたので開業地はすぐ決まりましたが、物件には悩みました。今回はそのことについて触れていきたいと思います。

【著者プロフィール】
専門:腎臓内科
開業時期:2000年前半
クリニック形態:開業11年目に個人診療所→医療法人化
クリニック収益:約1600万円/月
現在の月収:約120万円(手取り)
クリニックの家賃:約85万円
スタッフ:非常勤医1名、看護師3名、臨床工学士(血液透析)2名、事務1名、送迎スタッフ2名

ニーズのあるエリアで開業

わたしは大学病院で働く一方、人工透析のアルバイトをしていました。アルバイト先の患者さんからは、アルバイト先周辺の地域では人工透析を受けられるクリニックが少なく、患者さんの負担が大きいという悩みを聞いていたのです。
働くうえでのマナー違反かもしれませんが、複数の患者さんから、「もしT先生が人工透析を受けられるクリニックを開業したら、ぜひ見て欲しい」という声をいただいていました。わたし自身、日々の業務を通じて地域医療に深く携わりたいと思っていたこともあり、患者さんの声に背中を押されて開業を決意。このような背景から、開業地自体はすぐに決まりました。

固定費を取るか、駅からの利便性を取るか

開業地はすんなり決まったものの、物件には悩みました。人工透析は、患者さんにとても負担がかかるもの。週に何回も通院してもらい、その度に数時間を要します。開業のポリシーとして、なるべく患者さんに通院の負担を掛けないようにしたいと考えていました。

クリニックは固定費が収支に大きく関わるため、家賃などの固定費は少ないに越したことがないのですが、家賃を下げるとその分、駅からの利便性が減ります。家賃が高いと経営上のマイナスになりかねないことは分かっていましたが、駅から歩いて5分掛からない駅近の物件を選びました。クリニックの家賃が約85万円なので開業当初の収支には大きく響きましたが、利便性のよいところに人工透析のクリニックができたと評判も高まり、周辺地域からの患者も増えていきました。
なお、現在わたしのクリニックでは、遠方からの患者さんでも人工透析を受けやすいように、夜間診療と送迎に対応しています。夜間は22時まで、送迎は基本的に東京都内に限定して行っています。開業地も重要ですが、このようなサービスも集客のためには必要だと思います。

開業地の選定は、患者さんの集客を大きく左右する部分です。人口など数字的な部分で開業地を判断するのは、当然のことだと考えています。わたしのように、もともと患者さんの声を聞けていたのはレアなケースだと思いますが、こんな形で開業地を決定する場合もあることを知っておいてもらえると幸いです。


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