現場の産業医に実態を聞く【NTTデータ】

医療機関で働いている医師からは、勤務実態が想像しづらい産業医。今回は株式会社NTTデータで産業医として活躍している松村雅代先生に、現場の声を聞きました。

医療と企業の接点に興味

―松村先生はもともと一般企業での勤務を経て医師となり、産業医として勤務されているとのことですが、これまで産業医としてどんなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

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もともと医療と企業との接点に興味があったので、初期研修医の2年目のときに、日本医師会の講座を受講して、産業医資格を取得しました。その2年後に労働衛生コンサルタント(保健衛生)の試験に合格しました。労働衛生コンサルタント(保健衛生)の試験は医師であれば筆記試験の一部またはすべてが免除されますが、口述試験で踏み込んだところまで求められますし、産業医としての経験も問われます。当時まだ常勤産業医経験のなかったわたしが合格できたのは、企業経験が豊富であったことと、MBA(経営学修士)を取得していることが大きかったと思います。

産業医としてはこれまで、大学病院の心療内科に在籍しながら嘱託産業医として大手鉄鋼メーカーの製鉄所に2年ほど勤務した後、大手素材メーカーの工場に1年間常勤勤務し、2012年4月からNTTデータで常勤として週4日間働いています。

産業医としての業務内容

―現在、どのような業務をされていますか。

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当社はシステム構築やデータ通信などを行うIT企業です。従業員は1万804人(2013年3月31日現在)で、わたしは人事部の健康推進室に所属し、ほかに3名の産業医や保健師、心理士などの専門職や、非医療職の社員とともに連携しながら、多角的なアプローチを行います。スタイルや強みは違いますが、前向きな提案にはできる限り協力しようという雰囲気があるので、ありがたいなと思います。

日常業務で圧倒的に多いのは面談ですね。1回30分程度の面談を、社員やその上司を対象に月100人程度行っています。一部グループ企業の産業医も兼務していますので、担当する社員は3,000人に上り、健康診断結果の事後措置も一仕事です。通常業務の継続が困難だと思われる場合には、就業上の措置の決定をしなければいけませんから、その判定には細心の注意を払います。そのほか、安全衛生委員会、職場巡視に加え、新入社員や新任管理職等に、健康関連のセミナーも行っています。

―社員の方に特徴はありますか。

平均年齢は30代半ば過ぎと、比較的若い社員が多いですね。システム開発に携わっているメンバーが多く、プロジェクトが佳境に入ってくるとどうしても業務負担が大きくなり、それが終わると一息つくことの出来る等、働き方にメリハリがあると思います。繁忙プロジェクトの場合には、職場と連携して踏み込んだ取り組みを行う場合もあります。

このほか、社員のグローバル化が進んでいることも特徴的かもしれません。外国籍の社員はコミュニケーションや、日本独自の文化に戸惑ってしまうことも考えられるので、文化的な背景を踏まえて、どのようにすれば働きやすくなるのかも考えています。

産業医に必要な能力は

―これまで複数の企業に産業医として携われてきた中で、社内の健康増進のために、産業医にはどんなことが求められると感じますか。

信頼関係をつくるということだと思います。まずは社員の相談をしっかりと聞く。「実はこういうことがあって」と話してくれた内容から、解決策をたどっていく感じですね。

労働環境に何か課題を見つけたからといって、現場の状況を無視して土足で入り込むわけにはいきません。仮に臨床的な見地からは正しい指摘・指導であったとしても、現場の社員に「現実とはかけ離れている」と受け取られてしまったら、前向きな動きには繋がらないですよね。謙虚さを持って、現場の状況を知る、仕事内容が具体的に分からなければ質問する。そういう姿勢が大切だと思います。

凸凹+凹凸: お互いの得意で不得意を補う、相互補完的な社会の実現をめざして

ほかの人にはないような際立ったスキルをお持ちなのに、コミュニケーションが苦手で職場環境に順応できず、メンタル不調に陥ってしまった方々に、心療内科医として向き合ってきました。周囲の環境が原因で、得意分野を持った方々が力を発揮できないのだとしたら、あまりにももったいない。

sangyoui_interview_vol3こうした思いから、産業医業務と心療内科臨床に加え、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder (ASD)、いわゆる発達障害)傾向を持つ大学生の就労を支援するプロジェクトを立ち上げました。障害者採用枠ではなく一般採用枠でのスペシャリスト就労を目指すものです。大学のキャリア・サポート課や企業と連携し、心療内科医・産業医の経験を活かして、学生と企業の間の橋渡しを行っていきます。企業に入る前の学生の段階から関わることで、より多くの人に、自分の得意分野を生かせる仕事と企業に出会ってもらえるのではないかと考えています。ひとり一人が得意分野を活かして補完し合う、ダイナミックでしなやかな社会の実現を目指していきます。

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