「専門医資格を持っていないこと」は転職でどう評価される?

新専門医制度の本格開始などもあり、医師の専門医に対する認識も変わりつつあります。新制度下においても「専門医の取得は義務ではない」とされている一方、専門医の維持にもコストや労力がかかる以上、転職市場において専門医の有無がどの程度重要視されるのかは、気になるポイントではないでしょうか。今回は、転職時に専門医資格がどの程度合否や待遇に影響を及ぼすのかという視点から、現在の傾向を考察します。

【目次】

新専門医制度下でも9割が専門医研修へ

日本専門医機構は2017年11月、初期研修2年目医師の9割に当たる7989人が2018年度後期研修に希望登録をしたと発表(真価問われる専門医改革「新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割」)。新専門医制度下においても、多くの医師が学会認定のカリキュラムに沿って研さんを積んでいくことが明らかになりました。
一般的に専門医を取得するメリットは大きく、「キャリアアップ上の指針が明確になる」「医師としてのスキルのバロメーターになる」など、第三者が医師の経験や実力をはかる判断基準とされるケースも。医療機関にとっても、専門医や指導医が多数在籍していることで若手医師の招聘に役立ちますし、集患にも寄与する可能性があるため、専門医を持つ医師が在籍していることは一つの魅力となり得ます。

専門医資格の有無で年収は変わる?

一方、現在の医療制度では、学会認定の専門医の取得有無で診療報酬上の差を設けてはおらず、麻酔科標榜医や精神保健指定医など、取得有無によって行える医療行為が変わってくるような国家資格を除き、「この専門医を持っているから年収が高まる」という明らかな傾向は見られません。
こうした事態に対し、日本外科学会が2016年4月に実施した若手医師向けアンケートにおいても、47.3%の勤務医が「専門医資格の有無で診療報酬に差をつけるべき」と回答(どうなる?「日本の未来の医療」『専門医で「診療報酬に差」、勤務医の約半数が支持◆Vol.8』)。「差を付けるべきだが、判断基準に困る」「専門医資格及び経験年数の両方」など、「資格だけ」を認めることは早計としながらも、医師のスキルを判断する一つのバロメーターとして、専門医資格を位置付けようという主張も起こっています。

外科系では、専門医資格取得有無で面接に影響も?

ただ、転職市場の様子を見ると、専門医資格を持っていることで面接がスムーズに進む場面も多く存在します。例えば、外科系の科目や、循環器内科・消化器内科など手技がある科目では、専門医取得の過程で経験症例を重ねることが技術力向上の証になるというように、臨床スキルを担保する指標として専門医資格を位置づける例が多くなっています。

ただし前述の通り、資格を持っているからと言って年収が大きく上がるという例はまれ。あくまで、技術の担保の指標として専門医資格が位置づけられていることがいえます。

一方、専門医資格がそこまで重視されない科目としては、一般内科など、多様なコモンディジーズを取り扱い、臨機応変さや総合的な臨床能力が求められる科目。ここ最近の傾向として、外来や訪問診療がメインとなる医療機関では患者から「次もこの先生に診てもらいたい」と思われることが再診率につながるため、医学知識以上に医師の“人柄”を重視するところが増えています。このほか介護系施設などでも、臨床スキル以上にほかのスタッフや患者さんとうまくやっていけるかどうかを重要視するため、人柄が強く問われる傾向にあります。

専門医資格を取得する目的を明確に

専門医資格を取得・維持することによって、医師として今後取り組みたい医療、将来の理想像が追いやすくなるのであれば、資格取得を目指すべきでしょう。一方、先述したように、専門医の維持にはコストや労力がかかるのも事実。必ずしも専門医資格を取得しなくても自身が望むキャリアアップを成し遂げられそうなのであれば、取得をしないのも一つの手です。いずれにせよ、専門医資格を取得・維持する過程でどのようにキャリアアップにつなげていくのか、取得しない場合でもキャリアビジョンをしっかり描けているかが重要と言えます。


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