転居を伴う転職で、医師が家族に配慮したいこと―医師の転職カルテvol.1

医局人事で数年ごとの転勤が通例になっていたり、症例数を積むために遠方の医療機関に転職したりと、医師は転居の多い職業です。しかし、転居は医師自身だけでなく、家族にも大きな影響を与えます。円満にことが進むために配慮したいポイントを、医師紹介会社のコンサルタントが解説します。

地方への転居で悩む「子どもの教育環境」

転居を伴う転職を考えた時、多くの医師が悩むのは「子どもの教育環境」です。私立小学校に入れたい、中学受験をさせたいなど教育方針はさまざまですが、適切な学校がある地域か否かを念頭において、転職活動をする必要があります。

エムスリーキャリアのコンサルタントは「一口に転居といっても、地方から都市部への転居ではあまり問題が生じません。しかし、その逆の都市部から地方は『十分な教育を受けられるだろうか』と気になる医師が多いようです」と語ります。後悔しないためには、事前のリサーチと計画が極めて重要です。
「地域によっては、高校の推薦枠で大学に入りやすい可能性があり、必ずしも教育環境が手薄とは限りません。また、地方に転職したある医師は、大学受験を控えたお子様だけ都市部の親戚宅に3年間住むという選択をしました。子どもをどう育てたいかは、配偶者や自身の親の思いもあります。ある程度、家族内で方向性を決めておくとよいでしょう。できれば、数年後に家族がどうありたいかをイメージし、それに合わせて入職先を探したいところです」

転居先の居住環境も、家族に与える影響が大きい要素です。医師自身の通勤はもとより、子どもの通学、日常的な買い物の便などについて、十分に確認しておきましょう。自身が勤務中、自宅に車がない場合は家族がどうやって移動するのか、配偶者や自分の実家へのアクセスはよいかなどもチェックポイントです。

「意外に重要なのが、近隣住民の世代や属性(暮らしぶり)です。例えば、配偶者が育児中で自宅にいる場合、同世代で話の合う人が近くにいなくては育児ノイローゼのようになる心配があります」
入職を検討している医療機関に地元の情報を聞こうと、配偶者が面接に同席することも少なくありません。中には、配偶者の方が希望の年収や先生のよいところを一方的に話してしまうケースがあるなど、気を付けたい点もあります。面接で聞きたい事項、伝えたい事項は、あらかじめ夫婦間ですり合わせて準備しておきましょう。また、人材紹介会社のコンサルタントも地元の情報を持っています。入職先に関することだけでなく、生活面の不安要素も相談してみるとよいでしょう。

いざ転居の伴う転職が決まったあとは、引越しの計画を立てます。医療機関によっては、引越し代金を負担してくれます。ただ、搬送が大変な物や、到着まで時間がかかる物などは対応に苦慮します。
「ピアノを2台運んで欲しい、高級車を複数台運んで欲しいといったケースでは、搬送費が非常に高額になりました。医療機関側は『すぐに辞めてもらいたくない』という気持ちがあって代金を負担しましたが、困った様子でした。また、車が転居先に到着するまではレンタカーを使う、などの計画も必要です」
ほかに、コンサルタントが目にしたケースに、以下のようなものがあります。

  • 単身赴任の男性医師。配偶者が引越しを手伝うため、その飛行機代を医療機関に負担してほしいと要望した。
  • 九州から東京に転居した男性医師。すでに医療機関の内定を得ていたが、配偶者が「二重扉の家でなくては住みたくない」と強く要望し、住居探しが難航した。
  • ペットも一緒に引越したい女性医師。自宅に帰りにくい勤務形態だったため、医療機関近くに犬小屋を作ってもらった。

「なぜ転居が必要か」を丁寧に話し、家族の理解を得る

転居の伴う転職を円満に進めるには、家族に理解してもらう努力が欠かせません。家族が転居先で困ることなく暮らしていけるよう、どんなフォローが必要かを考えておきましょう。その一例として、買い物の便があまりよくない地域のため配偶者や子どもにネット通販を勧める、子どもが前の学校の友達と連絡を取れるようにスマートフォンを買い与える、といった話をよくあるようです。

何よりも「なぜ転居をしてまで転職するのか」という目的意識を、家族内でしっかり共有することが大切です。専門医を取得するために症例数の多い医療機関に行きたい、地域医療が盛んな地域でプライマリケアを学びたいといったキャリア上の理由に加え、一時的な転居なのか、永住を見据えた転居なのかもよく話し合っておきましょう。「医師としてどうなりたいのか」というビジョンが伝われば、最初は転居に不安を感じていた家族も、前向きに応援するようになるかもしれません。


エムスリーキャリアは、より多くの選択肢を提供します

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