「数百万円の価値」業務を軽減して得たもの―医師の転職カルテvol.12

「今よりもゆるやかに働きたい」「きちんと休みがとれる働き方にシフトしたい」――。このような希望を抱く医師は少なくありません。しかし、バーンアウトなどの過重労働が指摘されて久しい医療業界で実現するには難しいようにも思われます。そこで今回は、転職を通じて業務負荷の軽減を図った事例をご紹介します。

「業務負荷」が転職理由の上位に

エムスリーキャリアが転職支援した医師4,000人の転職理由を集計(※1)したところ、「過剰な業務負荷・リスクの解消」、「業務方針・内容への不満解消」、「加齢にともなう業務変更の必要」が上位を占める結果となりました。

エムスリーキャリアのコンサルタントによると、業務負荷を理由とした転職が多い背景には、大きく2つの傾向があるそうです。

「ひとつは、ご自身の負担が大きいこと。当直やオンコール対応、急性期病院での勤務が体力的に厳しくなってきたと感じて、キャリアチェンジに踏み切るパターンです。

もうひとつは、育児や介護といったご家庭の事情のため、働き方のペースダウンを図るケースがあります。転職の理由は人それぞれですが、業務負荷が少ない働き方を実現させるために、ワークライフバランスが取りやすい、しっかり休みが確保できるといった働き方へシフトチェンジを図る医師は少なくありません」

※1 集計対象期間:2015年4月1日~2016年3月31日

転職で業務負荷は軽減されるのか

過剰な業務負荷やリスクは、転職で本当に解消されるのでしょうか。続いては、働き方を変えたことで生じた変化について、エムスリーキャリアのアンケート(※2)から一部抜粋してご紹介します。

  • 「自分の時間、特に睡眠時間がとれるようになりました」
  • 「だいたい定時に帰宅し、家庭にいる時間も増やすことができた」
  • 「土日も休みがとれ、旅行にいけるようになった」
  • 「帰宅してからの時間の多さに驚いたが、これが本来のあるべき姿」
  • 「冠婚葬祭も欠席せずにいけるようになった」
  • 「ある程度自由に休みを取ることができ、セミナーなどに参加できるようになった」
  • 「自分の体型にも目がいくようになり、不摂生の塊と向き合えるようになった」
  • 「疲れて寝るだけの生活から、微力ながらも家事や子育てに参加できるようになった」
  • 「病院から電話もなく、心休まる毎日。それだけで年間数百万円分の価値がある」
  • 「尊敬できない上司、不公平感の強い職場のストレスから解放された」

※2 「転職で実現したメリハリのある働き方」をテーマに、エムスリーが2019年2月に実施。

資格取得、ブラック上司…きっかけはさまざま

最後に、実際に業務負荷を軽減した医師の転職事例をご紹介します。以下は、エムスリーキャリアのアンケートに対し、医師から寄せられたエピソードです。

Case1.  疲弊していた元同僚が元気に 「自分も」と決意
休暇も休憩も満足にとれない状況下で早朝から深夜まで働き、給与は年功序列と、働きぶりが評価されにくい環境だった。本来希望する業務ができず、身体もしんどくなっていくばかり。そんな時、転職した同僚が見違えるほど元気になった姿を見て、転職を決意。現在は労働時間が守られており、しっかり休めるようになった。これまでは目の前の業務をこなすことで精一杯だったが、時間にゆとりが持てるようになり、働き方が変わった。患者さんへの接し方、病態などを改めて見直す事ができ、周りのスタッフや家族にも、思いやりを持って接することができるようになった。
Case2. 時間外勤務も、眠れないような当直もなし
4人で1チームとなり、主に日中の救急車対応と病棟管理を担当していた。その仕事を新しく来る面識のない上司と2人でやるように言われたこと、救急車受け入れで当番医師に連絡をすると、時に文句やたらい回しがあったことなどが重なり、「ここで頑張って耐えても得られるものがない」と退職を決意。転職後は、時間外勤務も、眠れないような当直を月3~4回行うこともなくなり、オンとオフがはっきり分かれるようになった。生活に余裕が生まれ、趣味の読書をする時間もでき、これからの人生について考えることができるようになった。
Case3. 結婚を機に考え方が変化 資格取得を区切りに転職へ
結婚を境に「もう少し緩やかに働きたい」と思うようになったが、自分自身のスキルアップが優先される状況だったので現状維持をしていた。そこから5年経ち、勤務先で取りうる認定医・専門医の取得目途が立ったところで、転職活動を開始。医療機関のホームページにある実績を参考に、自ら応募をして入職の運びとなった。現在はこれまでの経験を活かしながら働くことができており、研究の時間も十分に確保できている。部長がプライベート至上主義なので、自然と余暇に充てる時間が多くなった。主治医制当番制の中間のような状態だが、基本的にオフは当番にお願いできている。業務量も減り、給与は格段に上がり、満足のいく転職となった。
Case4. 常勤→非常勤の掛け持ちで、業務量を調整
クリニックの院長として15年勤務。就任当初より規模も責任も大きくなったが、待遇が全く変わらない。さらに、オーナーと自分の診療方針も合わなくなってしまった。このままでは好きな診療ができず、自由に休暇をとることも出来ない人生になってしまうと思い、退職。その後は、非常勤として複数の病院、クリニックに勤務する働き方にシフト。勤務時間は全て9時~18時前後、勤務日数も週4~5日になるように調整。診療時間中は以前より忙しくなったが、メリハリのある働き方になった。週1回だけ好きな分野の自由診療を行っているため、自分のやりたい治療も実現できている。

また、以下のように慎重に勤務先を探したというエピソードも寄せられました。

Case5. アルバイトで働きやすさを確認してから
“ブラック上司”が幅をきかせていたので、専門医取得までは太鼓持ちで乗り切ったが、尊敬できない人の下で働くのは難しいと考えるようになった。これまでの恩もあり献身的に働いてきたが、その気持ちも薄れ、院長に退職を申し出た。患者数も減少の一途で、ボーナスが少なくなっていったことも退職の要因となった。有給消化中に、人材紹介会社にピックアップしてもらった転職候補先の中から良いと思った医療機関で、アルバイトとして勤務。働きやすいことを確認できたので、常勤に切り替えた。今までは週5.5日勤務で土日も当直でヘトヘトになっていたが、現在は検査中心の業務に切り替えたため、当直、残業はなし。スキルを高く評価してもらえたことにも満足している。

業務負荷を軽減することは、働き方やライフスタイルをより充実させることに繋がり得ます。一方で、特に高度急性期や急性期で働いている場合は、これまでよりも一般的な症例を扱うことが増える可能性や、想像以上に負担が軽くなり過ぎてしまう可能性もあるなど、さまざまな変化に対する熟考が必要です。キャリアや今後の人生設計をふまえて、何を最優先事項とするべきかを整理するとともに、友人・知人や人材紹介会社などに相談してみてはいかがでしょうか。


今後のキャリア形成に向けて情報収集をしたい先生へ

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