子育て中の女性医師が、転職に踏み切る理由―医師の転職カルテvol.13

女性医師のキャリアは、出産や子育てによって少なからず変動します。以前であれば、出産を機に医療現場から離れるケースがよくありました。しかし、最近は子育て中であっても常勤で活躍したり、非常勤から常勤に復帰したりする女性医師が珍しくないようです。医師人材紹介会社のコンサルタントが、事例に基づいて解説します。

子育て中の医師が転職する背景

子育て中の女性医師の転職には、いくつかの共通点があります。医師人材紹介会社のコンサルタントによると、一つは「他のスタッフへの遠慮」です。病院としては、時短勤務や当直・オンコールの免除を認めていても、当の医師は、周囲に負担がかかることに心苦しさを感じる場合があるのです。
「誰かから直接苦言を呈されなくても、『申し訳ない』と感じて転職を希望する女性医師もいます。他に子育て中の医師がいない病院では、なおさらそう感じやすいようです」

また、子育てをしながら仕事をすることへの理解が十分でない職場も、厳然として存在します。いわゆる、マタハラのような事案もないわけではありません。
「ある女性医師は、大学医局から妊娠を避けるように言われ続けていました。また、子育てのために時短勤務をしていると、他の医師や看護師から『私の頃はそういう対応がなかった』などと言われ、関係性がギクシャクしたという話も聞きます」

“子育て医師歓迎”の病院は増えている

子育て中の医師の転職先は、当直やオンコールの多い急性期病院より、比較的ゆったりした勤務ができる慢性期病院やそれに近い医療機関がメインです。コンサルタントによると、慢性期に近い医療機関は“子育て医師歓迎”というスタンスのところが増えているそうです。
「多くの病院で、時短勤務や院内保育所、複数主治医制といったサポート体制を整備しています。通常は月30時間以上の勤務で社会保険を適用しますが、月20時間以上でもその対象とする病院もあります」

病院勤務のほかには、訪問診療も残業が少なく子育て中に適した働き方の一つです。自由診療の美容クリニックなどもほぼ残業がないため、人気が高まっています。一方で、通常の保険診療のクリニックは、意外と子育てと仕事の両立が難しいようです。
「医師が院長を含め1~2人で、お子さんの急な発熱時などにフォローできないクリニックが少なくありません。また、午前診療と午後診療の間が3時間くらい空いていたり、夜間も診療していたりして、時短勤務も難しい。むしろ、ある程度の医師数がある病院のほうが、子育て中の医師は働きやすいと言えるでしょう」

子育て中にもかかわらず、常勤で転職できた事例

転職後の働き方は、子育て中でも常勤を希望するケースが増えているようです。
「非常勤から常勤に復帰したい、あるいは、もともと常勤だけれどもっと働きやすい病院で働きたいという相談をよくお受けします。非常勤は自分の時間を確保しやすい半面、じっくり臨床に携わりたい医師にとって物足りない場合があります。専門性を生かし、スキルを磨き続けたい医師は、子育て中でも常勤を選んでいます」

以下、子育て中に転職した医師の事例を紹介します。

Case1 常勤への復帰と、専門医取得を目指す
4歳と2歳の子どもがいる、30代後半の内科医。ほぼ一人で育児をしながら非常勤医として病院で働いていたが、キャリアを積んで透析専門医を取得したい意向がある。実家近くに転居し、両親のサポートを受けながら常勤に復帰するために、医師人材紹介会社に相談。日本透析医学会の認定施設には、子育てに理解のある医療機関が多かった。実家に近く、院内保育所のある医療法人の透析クリニックに入職。子育てが落ち着いた頃には、クリニック院長や法人内の急性期病院に移るキャリアも可能である。
Case2 「ここなら子育てしながら働ける」と思い、転職
小学校低学年の子どもが1人いる、30代後半の腎臓内科医。医局で多忙に働いていたが、子どもが就学し、保育園の頃より帰宅時間が早くなったことから転職を決意。大学の力が強い地域のため、けんか別れは避けたい。医師人材紹介会社に相談すると、関連病院以外の転職先が一つ見つかった。ちょうど知人で子育て中の医師が働いており、同院の子育てサポート体制について詳しく聞くことができた。「ここなら常勤でも大丈夫」と判断し、転職を果たした。
Case3 離婚を機に、地元へUターン
0歳の子どもがいる、30代後半の外科医。離婚を機に、都市部から故郷にUターンをすることになった。両親はすでにリタイヤしており、金銭的な援助は期待できない。実家から1時間圏内の病院で常勤、なおかつ当直や残業がないことを条件に転職活動をした。専門は外科だが「これだけ制約が多いので、内科に転科もやむを得ない」と考えていた。だが、実家近くに条件の合う病院が見つかった。内科系が中心だが、外科にも携わることができる。専門性をロスすることなく転職ができた。
Case4 子どもはまだ手のかかる年齢だけれども、経験を積みたい
4歳、2歳、0歳の子どもがいる、30代後半の産婦人科医。子育てをしながら、2つの医療機関で非常勤医として働いていた。子どもはまだ手のかかる年齢だが、産婦人科医としてもっと経験を積みたい。医師人材紹介会社に相談すると、転職先候補が3つほど挙がった。そのうちの一つは院内保育所があり、子どもの体調不良時は小児科に預けることができる。この医療機関の面接後に、4人の子どもを育てている女性医師が職場フォロー体制について話してくれた。結果的に、常勤かつ当直・残業なしの条件で上記の医療機関への入職が決まった。

まずは非常勤になり、ゆくゆく常勤を目指す事例

Case5 現在、ワンオペで子育て中。自宅の近くで働きたい
8歳と2歳の子どもがいる、40代前半の呼吸器内科医。配偶者が単身赴任中で、ほぼ1人で子育てをしている。医局の関連病院の非常勤医だが、ゆくゆくは医局を抜けたい。自宅に近く、時短勤務、当直とオンコールなしの条件で転職できないか医師人材紹介会社に相談した。すると、自宅から車で10分の病院に週1日の非常勤で入職することになった。整形外科中心の病院だが、術前の呼吸器管理をする呼吸器内科医を求めていた。現在は、医局関連病院の仕事とバランスを取りながら働いており、医局を抜けられそうな時期を見計らって常勤にシフトする予定。
Case6 転職活動中に、妊娠が発覚
0歳の子どもがいる、30代前半の皮膚科医。入局後、教授から何度も「妊娠しないように」と言われてきた。しかし、新たに入局した女性医師が妊娠したところ、医局内に「サポートしよう」という雰囲気が生まれ、不条理を感じた。医師人材紹介会社に相談し、転職活動をしているうちに自身も妊娠。病院の一般皮膚科と、美容皮膚科クリニックの面接を受けたところ、産後に復帰できるか心配された。だが、「産休明けにすぐ復帰したい」と話し、非常勤での入職が決まった。実際、産休後の早い段階で復帰した。

病院側が気にするのは、子どもの送迎や医師自身のキャリアビジョン

子育てに関連した転職のベストタイミングは、自身のキャリアビジョンや、家族のサポート状況により異なります。Case2のように、子どもの就学をきっかけにする医師もいれば、Case5のように医局との関係性に左右される医師もいます。あるいはCase6の医師のように妊娠中に面接を受け、産休後すぐに復帰する例もあります。
医療機関側が子育て中の医師の採用にあたって気にするのは、家族のサポート状況や、子どもの送迎時間、医師自身がどんな働き方をしたいかなどです。それらによって、勤務時間や雇用形態、業務内容などが変わります。前出のコンサルタントは「まずは、ご自分の状況や希望を整理しておくことが大切です」と言います。迷った場合は、医師人材紹介会社に相談してみるのも一法かもしれません。


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