「転職しない方がいい」アドバイスの理由は―医師の転職カルテvol.15

医師人材紹介会社に登録した医師が、必ずしも転職するわけではありません。コンサルタントは、時として「あえて転職しない」という選択を提案します。転職ありきではなく、あくまでも医師にとってプラスになるキャリアを応援したいからです。実際に、転職を取りやめた医師の事例をご紹介します。

「年齢相応の経験」がない場合の転職は注意

コンサルタントが「転職を取りやめたほうがいい」と感じる理由は、年代によって異なります。30代前半までの医師について、あるコンサルタントは次のように話します。
「臨床研修が修了していない医師は、どうしても“一人前”と見なされない傾向があります。若手を受け入れる体制のない医療機関も少なくなく、転職は難航するでしょう。研修を続けられない=人柄に何か問題があるのでは? と、うがった見方をされる可能性もあります」

研修中に妊娠した場合も転職せず、産休・育休を経て現職場に復帰した方がよいそうです。育児と仕事の両立は簡単ではありません。そうした時期に転職すると、“新しい職場に馴染む”という負担が一つ増え、四苦八苦することが考えられます。若手医師が転職をするとしたら、基本的に専門医を取得したあとがよいでしょう。

40代以上についてはケースバイケースですが、これまでに役職経験がない医師は要注意です。医療機関によっては、「なぜ役職に就いたことがないのか?」と疑問視するかもしれません。ただ、それとは逆に、責任の重い役職に就いている医師も、現職に留まったほうが有利なことがあります。
「定年間近であれば気にしなくてもいいのですが、40~50代で役職経験が多かったり勤続年数が長かったりする医師は、現職で給与などが優遇されている可能性があります。転職先でも同様の待遇が約束されるとは限らないため、十分に比較検討することが大切です」

転職活動を取りやめた事例

以下は、実際に転職を取りやめた医師の事例です。

Case1. 専門医取得が難しく、転科の伴う転職を検討
20代の研修医。旧専門医制度下での専門医取得が難しそうだと考え、転科の伴う転職を検討していた。必要な症例数は概ねクリアしていたが、論文が1本不足していた。あと一歩の段階だが、子育て中のため、教授の論文指導を受ける時間が取れなかった。コンサルタントに相談すると「転科をしても専門医取得が簡単になるわけではありません。現職のまま最後の1本の論文を書くことが最も早く専門医になる道で、後悔もないのでは」と提案された。コンサルタントと話し合って懸念事項を整理し、改めて家族との家事育児分担を検討した。すると、何とか論文を書く時間を捻出できそうだとわかり、転職を取りやめた。
Case2. 病棟医長を打診され、荷が重かった
40代の内科医。もともと外科系だったが体を壊し、老年内科に転科した経緯がある。小学生の子どものPTA活動などに関わるため、自宅近くの病院で勤務している。真面目な仕事ぶりが評価され、「病棟医長にならないか」と打診された。自分には荷が重く、子育てとの両立が困難ではと懸念し、コンサルタントに転職相談をした。しかし、現在の勤務先は自宅から最も近く、転職すると通勤時間が長くなる。コンサルタントから「病院側は信頼できる人にしか役職の打診をしない」「リーダー経験は次に転職する際のアピールポイントになる」と聞き、現職で経験を積むことにした。
Case3. 転職活動中に妊娠が発覚
30代の内科医。かねて関心のあった訪問診療に挑戦するために転職活動を開始。将来的な子育てを見据えて、夜間の呼び出しがない働き方を希望した。しかし、内定後面談の直前に妊娠が発覚。このまま入職しても、すぐに休職または離職する可能性がある。入職希望先に妊娠を告げると「ご出産後に、まだお気持ちがあれば入職してほしい」と言われ、ひとまず保留することにした。
Case4. 救急医としてステップアップしたかった
50代の救急医。年間約3000台の救急車を1人で対応していた。救急医療に大きなやりがいを感じており、さらにステップアップするために転職を検討。幸い、ある医療機関から好条件で内定を得た。しかし、自分が抜けたあとの現職場がどうしても気になり、コンサルタントに「自分の欲求を満たすことで生じる損失を見過ごせない」と打ち明けた。熟慮の末、今回の転職は見送り、現職で2番手、3番手を育ててから転職を再検討することにした。

転職活動を開始する前に整理しておくべきポイント

納得のいく転職をするには、転職によって何を叶えたいか、最優先事項は何か、現職の待遇や福利厚生は相場と比べてどうなのかなどを整理することが欠かせません。しかし、自分で対応するのは意外と難しいものです。そのような場合、コンサルタントに相談し、客観的な意見に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。本当に転職すべきか、現職にとどまるべきかが明確になり、自分らしいキャリア形成につながるはずです。


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