36歳で退局。やりがい求めて’’医療過疎県’’で得たものは・・・澤田陽平氏(社会医療法人 壮幸会 行田総合病院)

医師のキャリアにおいて、「退局」は大きな決断です。初期研修後、大学医局の関連施設で研さんを重ねてきた澤田陽平先生は、30代半ばにして転職を決意。現在は医師の少ない埼玉県にある行田総合病院(504床)で地域医療に従事し、やりがいを感じています。また、転居によって都内にいた頃よりもプライベート面も充実したそうです。キャリアと生活面とを両立できるライフスタイルを得るために同氏がしたこととは、一体なんだったのでしょうか。(取材日:2019年1月17日)※本記事は2019年12月31日までの期間限定公開となります

30代半ばでキャリアチェンジを決断した理由

-澤田先生は現在、行田総合病院(埼玉県、504床)に在籍されています。36歳でキャリアチェンジを決断した経緯を教えてください。

私は千葉県出身で東京の大学に進学し、初期研修後に母校の泌尿器科に入局しました。その後は東京・神奈川・埼玉といった関東圏の関連施設に出向し研さんを重ねてきました。若いうちに多くの関連施設を回り様々な先生方にご指導いただき、非常に勉強になりました。また所属していた大学医局は国内でいち早くダ・ヴィンチを導入していたこともあり、そのおかげで数多くのダ・ヴィンチ手術を経験させていただきました。

一方で、大学病院での研究・教育といったアカデミックな役割が大変苦手でした。学年が上がり優秀な後輩の活躍を目にするようになり、自分の将来について思い悩むことも。そのような中、以前お世話になった先生から埼玉県の過疎地で医療を手伝ってくれないかと声をかけていただいたことがきっかけで、今後の進路や退局を真剣に考えるようになったんです。自分の実力では有名病院や優秀な医師がひしめく東京でやっていくのは厳しい。医師の足りていない地域で腰を据えてじっくり患者さんと向き合えたらと考え、教授退官のタイミングで36歳の時に退局に踏み切りました。

医療圏リサーチや通勤のシミュレーションも

-転職活動では、どのような基準で病院をさがしたのですか。

泌尿器科は、転職先の選択肢がある程度限られていたこともあり、失敗したらという不安は少なからずありました。ですからリサーチには時間をかけましたね。地域医療がしっかりとできる環境を最重要視しましたが、将来的にはダ・ヴィンチ手術をやりたいとも考えていたので、ダ・ヴィンチ手術で周辺の医療機関と拮抗しないかどうか、また地域の医療ニーズや常勤医の人数、手術室の数や規模などを調べていきました。

また私の場合、転居を伴う転職で家族への影響も大きいため、家族と一緒に候補の病院を実際に見に行って、現地での生活をイメージするようにしました。通勤は毎日のことですし、長く働くためには暮らしやすさも重要だと考えたためです。子どもがいる場合は学区なども気になるでしょう。転職後に「想像していたのと違う」とならないよう、周辺環境のリサーチも大切だと思います。

’’医療過疎県’’で得たやりがい

-最終的に、現在の病院を選んだ理由はなんだったのでしょうか。

前述したとおり、以前お世話になった先生が行田総合病院にいらっしゃって、声をかけていただいたことがきっかけでした。選んだ理由として一番大きかったのは、地域の医療ニーズの高さです。埼玉県は人口10万人あたりの医師数が全国最低となっています。なかでも行田総合病院が位置する利根医療圏は、大病院が少ないこともあり、県内でも特に医師が少ない地域。以前、埼玉県の病院に出向していた経験からも、そのことは肌で感じていました。ダ・ヴィンチも導入予定というお話だったので、自分が入ることできっと病院にも地域にも貢献できるだろうと考えたのです。

提供:行田総合病院

また、都心にアクセスしやすい点も魅力でした。非常勤の仕事やプライベートで都内に行く機会が多いため、入職前に電車での移動のシミュレーションをしてみましたが、乗り換えもなく座って約1時間。あまり混雑もしないので、都内の通勤ラッシュと比べると圧倒的にストレスが少ないです。アクセスの良さは仕事と生活の両面に与える影響が大きいので、個人的には重視したいポイントでした。

暮らしやすさは想像以上? キャリアチェンジで叶ったことは

-実際に転職してみて、イメージと現実のギャップはありましたか。

医療の面では、あまりギャップはありませんでした。入職して4年になりますが、現在は外科的処置の必要がない慢性期の患者さんも含め、25〜30名の入院患者さんを担当しています。2017年にダ・ヴィンチが導入されてから患者さんが増え、今後も一定のニーズが見込めるでしょう。侵襲の少ない手術ができることは、やりがいにつながっていますね。そして入職してから思いがけず助かっているのが、医師事務作業補助者によるサポートの厚さです。当院ではMA(メディカルアシスタント)という肩書きになりますが、約30名のMAが診断書の記入などの書類作成や入院・手術などのオーダーにも全て対応してくれます。診療に集中できる環境が整っているなと感じます。

-生活面ではいかがでしょうか。

生活面で感じたのは、想像以上に暮らしやすいということでしょうか。実を言うと初めて行田駅に降りた時は、ちょっと怯んでしまったんです。今でも少々寂しい場所に感じるくらいですから(笑)。でも「住めば都」ですね。現在は行田の隣駅近くに住んでいて、通勤は車で5分。買い物はオンラインで事足りますし、近場に飲食店も充実しています。都内に住んでいた時より日常的な出費が抑えられるので、外食したり出かけたりする機会は増えました。都心からも十分に通勤圏内ですが、私は今のライフスタイルが気に入っています。

-キャリアとご自身の生活、どちらも充実しているとのことですが、今後の展望をお聞かせください。

現在、久喜市など少し離れた地域の医療機関にもオペを手伝いに行ったりと、より広範囲なエリアで連携先との関係づくりに注力しているところです。地方の中核病院は医療ニーズの増加に伴い、地域の支え手としての重要性が年々増していると思います。埼玉県北部の地域では、特に泌尿器の疾患に対し、高度医療を提供できる体制が十分には整っていません。当院を、利根医療圏はもちろん隣接する地域にとっても、「あの病院があるから安心」と思ってもらえるような存在にしたい。臨床に集中できるこの環境で、質の高い医療を提供し続けていきたいと考えています。


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