忙しくても燃え尽きない 過渡期を生き抜く「強い脳神経外科医」に | m3.com 研修病院ナビ

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忙しくても燃え尽きない
過渡期を生き抜く「強い脳神経外科医」に

~「一段一段、自分の成長が着実に実感できる」福岡大学筑紫病院・脳神経外科~

 体育会系のイメージも強い脳神経外科。昨今、脳卒中に携わる医師が「燃え尽き症候群」に陥りがちという事態も、注目されています。

 そんな中、熟練した脳神経外科医が集い、独自のカリキュラムのもとで若手医師養成に注力していることで知られるのが、福岡大学筑紫病院・脳神経外科です。「成長スピードは西日本ナンバーワン」だと胸を張る背景には、若手医師への徹底的なサポートや、待遇面での工夫もあるようです。どこにでも通用する「強い脳神経外科医」を輩出し続けられる秘訣を探ります。

「心配性な人にこそ、来て欲しい」

 福岡大学筑紫病院脳神経外科は、地域の脳卒中・急性期医療の中核を担う医療機関として、2013年は408件の脳神経外科手術のうち、164件が脳動脈瘤のコイル塞栓術、頚動脈ステント留置術をはじめとした血管内治療が占めるなど、「メスを用いない脳血管内治療」に注力。同年5月には病院を改築し、脳卒中ケアユニット6床を含む41床の脳外科専門病棟を揃え、脳卒中治療経験5年以上のベテラン脳神経外科医を24時間常駐させるなど、体制をさらに強化させています。

  • 風川清教授
    自らの専門でもある低侵襲な脳血管内治療に注力した結果、全国から患者が訪れています

 「針穴一つのカテーテル治療も、開頭手術も、治療できれば医師としての達成感は同じです。当院の強みは脳血管内治療ですが、常によりよい治療成績をもたらすと信じた方を選んでいます。とはいえ、患者さんのニーズとして、低侵襲な血管内治療を望む方は多いですね。北海道からはるばる当院にいらっしゃるケースもあります」

 そう話すのは同科の風川清教授。カテーテルを用いた脳血管内治療は歴史的に、開頭手術の安全性を高めるための補助手段として始まりました。しかし、最近は機器や治療技術が進歩し、血管内治療だけでも脳卒中の根治が見込めるようになり、低侵襲な手術方法として急速に広まってきています。風川教授は、血管内治療が日本に紹介され始めたころから業界をリードする立場として、新たなカテーテルや治療法の普及などにも携わってきました。

 現在同科では、1人の研修医に5人の指導医を配置して、研修医教育に当たっています。特に全国に約200人しかいない脳神経血管治療の指導医が4人も在籍し、これだけの陣容で研修医教育に当たっている病院は全国的に見ても珍しいといいます。待遇面においても、大学病院の中でも高水準の給与を支給できるように意識しているそうです。

 「脳神経外科医が忙しいという事実は、隠しようがありません。急な呼び出しで、プライベートを犠牲にしなければいけない場面もありますし、私の場合は心配性なので、休みの日も、いつも入院患者さんのことや、救急搬送がないかなど、考えてしまいます。

 それだけ大変なことも多いですが、それでもわたしは、わたしと同じく『心配性な人』に、脳神経外科に挑戦してほしい。不安を感じやすい人は、常に万が一の時の打ち手を考えていますから。患者さんもそういう主治医の方が、安心すると思うのです。そんな心配性の医師が燃え尽きずに患者さんと向き合い続けられるように、スキルアップの面でも待遇の面でも、医局として体制を整えないといけないと思います」。

「脳卒中はメスからカテーテルへ」 必要とされる脳神経外科医に

新居浩平先生(卒後14年目)

 外来医長を務める新居浩平先生(卒後14年目)が大学卒業後、同科への入局を決めたのは、「メスを握る時代」から「カテーテルの時代」へと過渡期を迎える脳卒中の治療現場を目の当たりにして、その可能性を追求したいと思ったからだといいます。入局前の脳神経外科のイメージは「根性と体力の世界」。実際、日常診療の内容をコントロールできるようになるまで数か月かかったといいますが、それでも今日まで脳神経外科医を続けられたのは、「自分がどんどんスキルアップしていくのが実感できたから」と話します。

 「血管内治療の基本操作である押す・引く・回すというシンプルな動作の組み合わせなので訓練しやすいですし、一つのモニターを他の医師と見ながら道具を操作しますから、他の医師と一緒に学習できます。

 また、当科は単に手術数が多いと言うだけでなく、若いうちから執刀医としてたくさんの患者を受け持ち、手術適応の判断や、使用する機材の選択、合併症に配慮しながらの術後管理など、一連の作業を自己完結して担います。振り返ってみるとその過程で、若手のころから低侵襲の治療をしてほしいという患者さんの思いや、感謝の言葉をたくさん聞くことができたのは良かったですね」

江藤歩先生(後期研修医3年目)

 若手の裁量が大きい分、サポートは厚め。前述の通り指導医の数が多いのはさることながら、後期研修医3年目の江藤歩先生が指摘するのは、同科のカンファレンスの雰囲気です。

 「カンファレンスも、一方的な報告というのではなく、形式張らずに教授が一緒に考えてくれる。討論しながらカンファが進んでいくのは、自分自身にとって、貴重な経験になっていると思います。医局の雰囲気は、もともと持っていた『大学病院のお堅いイメージ』よりは、『市中病院のフランクなイメージ』の方が近いかもしれませんね」。

一段ずつ成長を実感

 「脳が大事な臓器であるということは、患者さん自身もよく理解していますから、脳神経外科医に対する視線も熱い。行う手術のレベルの高さに対して年齢が若いと、頼りなく見られていないか、心配になることはあります」(新居先生)。取材中、「脳神経外科医のつらさは?」と尋ねたところ、そんな風に苦笑いする場面が印象的でした。

 先輩医師や、患者さんからの声を聞きながら一段一段、踏み外さずに成長を遂げていける―。福岡大学筑紫病院脳神経外科が「頑張り続けられる」のは、そんな日々の実感があるからなのかもしれません。

スケジュール

手術の予定がない日
7時30分 出勤
8時 カンファレンスと回診
9時 外来
12時 食事
13時 病棟管理
緊急手術が入る場合も
17時 退勤(大学院へ通学)
手術の予定がある日
7時30分 出勤
8時20分 手術
12時 食事
13時 術後対応、病棟管理
16時 カンファレンス
17時 退勤

お問い合わせ先

福岡大学筑紫病院 脳神経外科医局では、一緒に働く後期研修医、医局員を募集しています。
見学も随時受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせフォーム】
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〒818-8502
福岡県筑紫野市俗明院1丁目1-1
福岡大学筑紫病院 脳神経外科医局
担当 : 医局秘書 八尋

Tel 092-921-1011

e-mail chikushins@fukuoka-u.ac.jp

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