研修医の個性を最大限に活かす慶應義塾大学病院・救急科の取り組み | m3.com 研修病院ナビ

研修病院ナビTOP > 各専門領域の今を追う > 研修医の個性を最大限に活かす慶應義塾大学病院・救急科の取り組み

社会が求める“第3世代”の救急医として、明日の医療を開拓する
研修医の個性を最大限に活かす慶應義塾大学病院・救急科の取り組み

 瞬時に判断しながら、けがや病気で苦しむ目の前の患者を助ける―。医の原点を味わえるともされる救急科。多様性を重んじる慶應大学病院 救急科では、研修医の希望を組み入れたカスタマイズプログラムで、それぞれの能力を引き出すことを重視。一方で、専門科を決めていない研修医も歓迎し、救急科ならではの幅広い症例を経験してもらっているそうです。

第3世代の救急医に必要な“3つのC”

佐々木淳一教授
佐々木淳一教授

 救急科は病院によって、カバーする範囲やスタイルが異なります。救命救急センターのように三次救急に特化する場合もあれば、各科の専門医が交代で対応する場合もあります。そのなかで同科は、ER型の救急外来を整え、全次・全科に対応。10人以上の救急科専門医・指導医で対応する救急外来には年間、約9000人の救急車搬送を含む約2万4000人が訪れます。

 佐々木教授は、救急科の役割を次のように語ります。

「昭和40年代、交通事故などの外傷診療に特化して重症患者を診ていたのが“第1世代”。北米型ERの導入で、軽症も含め1次~3次救急すべてを診るようになったのが“第2世代”とするならば、 “第3世代”は従来のER型救急診療をベースに、より幅広い社会ニーズへの対応、具体的には、今後増えるであろう複数疾患の高齢患者にも対応でき、来院前のプレホスピタルから救急外来、集中治療室での重症患者の治療まで一手に引き受けることが求められます」

 そのような第3世代の救急医に持ってほしい志として、佐々木教授が掲げるのが “3つのC”。

 一つ目は、救急医療は特にチーム医療が重要であり、他科との連携も欠かせない意味で、「Cooperation」(協働)。二つ目は、社会の先導者という意識で新しいことに挑んでいく「Challenge」(挑戦)。三つ目が、社会に貢献し、信用される医師をめざす「Contribution」(貢献)です。

「救急外来を受診する患者さんは千差万別。患者さん一人ひとりの社会的背景も踏まえて、テーラーメードに最適な治療を提供できる、救急のプロフェッショナルになってほしいですね」

本人の個性と希望を尊重した、多様で柔軟なプログラム

 同科では、「個性も能力も一人ひとり違うのだから、持っているものを最大限にいかしてあげるのが教える側の役割」と佐々木教授が話すように、入局者の希望を尊重し、柔軟に研修プログラムを組み立てています。

 研修プログラムは「北米型(ER型)救急医プログラム」「外科系救急医プログラム」に大別されますが、サブスペシャリティとして何を選ぶか、どの病院で研修を積むかは本人次第。院内にすべての診療科が揃っていることと、関連病院が多く、各病院で同科OBが活躍しているため、多様なキャリアを支援することができます。

 こうした体制に関し、大野聡一郎先生(医師6年目)は、次のように話します。

「希望を言えば、それに合わせて研修プログラムをカスタマイズしてくれます。わたしは入局時に整形外科プログラムを選択しましたが、希望通り、四肢外傷に強い関連病院に配属していただけました。

 また、“新コース”のようなものができたこともあります。たとえば外科系プログラムは一般外科、脳外科、整形外科、血管内治療の4コースですが、形成外科領域の救急を希望したある先生は、外傷症例の多い病院の形成外科で研修を積んでいました」

 医局長の本間康一郎先生は、指導サイドとして研修医の希望をすくい上げられるように気を付けているといいます。

「救急科は、教授も研修医も同じチームで一人の患者さんを診療するため、医局内の距離も近くなります。わたし自身も、質問や相談をしてもらえるように、風通しの良い関係づくりを一番に心がけています。研修医からの質問で気付かされることも少なくなく、研修医と上級医の良い相乗効果が生まれていると思います」

大野聡一郎先生(後期研修4年目)
大野聡一郎先生(後期研修4年目)
医局長 本間康一郎先生
医局長 本間康一郎先生
土屋悠海先生
シフト制の救急科はオンオフがはっきりしていて「女性でも働きやすい」と、土屋悠海先生(後期研修3年目)。

医学を前進させるフィジシャンサイエンティストを育てる

 同科では「リサーチマインドを持った臨床医」を育成すべく、研究も重視。救急科専門医を取得し、現在は同大医学部・医学研究科の博士課程に通う多村知剛先生(医師10年目)は、臨床のレベルアップには基礎研究の経験が活きると強調します。

「臨床を10年も続けていると、次第に診療がパターン化してしまい、『なぜ』その治療が最適なのかといったことを深く考えなくなってしまう。でも、医療の質を上げるには、『なぜ』という思考を持ったフィジシャンサイエンティストが必要です。

 当学は、OB・OGを含めたネットワークが強く、診療科を越えて各科の専門家に指導を仰げるのが強みです」

多村知剛先生(医師10年目)
多村知剛先生(医師10年目)

専門科を悩んでいる人にこそ勧めたい

 どんな人が救急科には向いているのか―。研修医の大野先生と土屋先生が教えてくれました。

「開業を考えている方にもいいと思います。救急医なら、開業した際に自信をもってさまざまな科を標榜できます。それに、クリニックの役割でもある初期対応では、患者さんの緊急性を判断するトリアージの技術が発揮されるでしょう」(大野先生)

「将来の専門科を悩んでいる方にも勧めたいですね。救急科なら、幅広い領域を診ることができますから、本当に興味のある道を探れます。他科に移る選択肢もあれば、救急科専門医のサブスペシャリティとして資格も取れます。新専門医制度が揺れている今、救急科はいいのではないでしょうか」(土屋先生)

「将来の専門科を悩んでいる方にも勧めたいですね。救急科なら、幅広い領域を診ることができますから、本当に興味のある道を探れます。他科に移る選択肢もあれば、救急科専門医のサブスペシャリティとして資格も取れます。新専門医制度が揺れている今、救急科はいいのではないでしょうか」(土屋先生)

 本間先生が「救急科は、1万人必要とされる専門医がまだ約4000人しかいない上に、情報が何もない状況から診断をつけるスキルに対する社会ニーズも強い。将来的にも、淘汰される可能性が低い科目ではないでしょうか」と語るように、今後ますますの活躍が求められる救急医。

 「将来必要とされる医師になりたい」「ジェネラルに患者の命を救いたい」「もう少し時間をかけて専門科を決めたい」といった方は一度、見ておくべき科といえるでしょう。

研修医
終始、なごやかに話す研修医の先生方。
佐々木教授と本間医局長
より充実した研修が送れるように、佐々木教授と本間医局長が何度も打ち合わせを重ねています。

新病院棟の建設が進んでいます


 2017年度の完成にむけて、新病院棟の建設を進めている慶應義塾大学病院。

 世界最先端のインフラが整った国際診療拠点でキャリアを積めるのも、大きなポイントと言えそうです。

新病棟

お問い合わせ先

慶應義塾大学病院 救急科では、専修医を募集しています。

お問い合わせ・見学のお申し込みは下記までご連絡ください。

慶應義塾大学病院 救急科

〒160-8582
東京都新宿区信濃町35
医局長 本間 康一郎 homma@keio.jp

URL http://www.keio-er.com/

症例カンファレンス

専修医プログラムの応募に興味のある方には、症例カンファレンスへの参加をお勧めします。参加のご希望は前日までにご連絡をおねがいします。

症例カンファレンスについて詳細はこちら