病気を治しているのは医師の力ではない 東京女子医科大学・麻酔科が目指す「究極のケア」とそれを支える仕組み | m3.com 研修病院ナビ

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病気を治しているのは医師の力ではない

東京女子医科大学・麻酔科が目指す「究極のケア」とそれを支える仕組み

 患者が発するサインに応じて必要な手を打ち、手術を支える麻酔科医。ただ、やりがいや仕事の全体像は実際にやってみないとつかみきれず、「地道な仕事」、「他科とのやりとりが大変そう」といったイメージの先にある「麻酔科医の魅力」を知る機会がないまま、専門科の選択に至る医学生、研修医も多いようです。

 今回取材したのは東京女子医科大学の麻酔科。全身麻酔の症例数では全国トップの8,000例を誇る同科は集中治療、ペインクリニック、緩和ケアなどにも守備範囲を拡大。女性が働きやすい環境にも配慮し満足度を高めています。現場の麻酔科医が考える「麻酔科の魅力」とはどんなところにあるのでしょうか。

「病気を治しているのは医師の力ではない」医学生・研修医に知ってほしいこと

  • 多様性を持った麻酔科医が活躍する重要性を語る東京女子医科大学・麻酔科の尾崎眞教授。大会長を務める「第34回日本臨床麻酔学会」のテーマも「麻酔科学のDiversity」。

 全国随一の全身麻酔症例数を誇り、その内訳も、心臓・大血管、消化器、脳外科、肝・腎移植、呼吸器などさまざま。数々の治療に携わってきた尾崎眞教授に「麻酔科医とは何か」を伺ったところ、意外な答えが返ってきました。

 「まず、病気を治しているのは医師ではなく、患者さん自身の力であるということを知っていただきたいですね。患者さんの自然治癒力がなくては、いくら手術や薬物療法をしても、病気は治りません。医師がしているのは、患者さんが持つ『治そうとする力』がうまく働くためのケアに過ぎないんです。」

 患者自身の「治そうとする力」が最適な状態になるにはどのような介入が必要なのか―。患者の声なき声を聞き、侵襲的な外科の介入が、治療という目標に向かってうまく働くようにマネジメントする麻酔科医の仕事は、「究極のケア」なのだといいます。その上で尾崎教授は、これからの麻酔科医には「多様性が必要」と強調します。

 「残念ながら、医師がどんなにケアしても治らない病気はあります。ただ、たとえ治らない病気でも、麻酔科医はペインクリニック、緩和医療を行うことで、痛みを和らげることができる。手術麻酔に限らず、特にこれからの超高齢化社会に向けて、多様な領域に専門性を持った麻酔科医を養成、配置し、こうしたニーズに応えていくことも必要だと思っています。」

手術麻酔・集中治療・ペイン・緩和…麻酔科の可能性を探りながら成長

大野公美先生
(医師3年目、後期研修1年目)

 東京女子医科大学麻酔科の後期研修医は、手術麻酔はもちろん、集中治療・ペインクリニック・緩和医療といった様々な場面を経験しながら、麻酔科医としての軸足を決めつつ、成長を遂げていきます。

 もともと消化器外科医を目指していた大野公美先生(医師3年目、後期研修1年目)が麻酔科を選んだのは、「外科系をめざすなら麻酔科も知っておかないと」と、初期研修で麻酔科の現場を見たのがきっかけだそうです。

 「麻酔科医として、チームの一員として手術に携わる感覚がとても心地良かったんです。外科だと独り立ちするまでにかなりの時間を要するのに比べ、麻酔科は比較的若い医師が現場で活躍していたのも印象的でした。患者さんとふれあわないイメージもありましたが、ペインクリニックのようにむしろ密接にかかわる場面もあります。また当科の場合、最新の機材が揃っているのも魅力です。」

女子医大ならではの働きやすさも

久米恵子先生(医師9年目)

 医師が視野を広げながら成長する上では、働きやすさも大きなポイント。2015年に開局50周年を迎える東京女子医科大学麻酔科では、創設以来、女性医師が活躍し続けてきた実績があります。その裏には、同大が誇る育児支援制度の存在も大きいようです。

  2児の子育てに奮闘しながら麻酔科の専門医として活躍する久米恵子先生(医師9年目)も、入局してみて、育児支援制度の充実ぶりに驚いたといいます。

 「保育所に入るのが難しい新宿区において、昼夜問わず子どもを預かってもらえる院内保育所の存在はとても心強いです。さらに当院の場合、病児保育にも対応しています。自分が働いている敷地内で、これだけの保育サービスが受けられる体制にはとても助かっています。ちなみに男性医師でもこの保育所を利用できるのはこれからの時代、大きいと思いますよ。」

 このように多くの女性医師が活躍する一方で、もちろん男性医師も活躍しています。
 「“女子医大”と言いつつ、実際には男性医師も数多く在籍していることから、大学病院でありながら学閥がなさそうだった点が入局の決め手でした。実際に働いてみるとお互いの出身大学を忘れてしまうくらいですし、女性医師の間でも、女子医大出身かどうかはあまり意識されていないように思います。」(医師5年目の駒山徳明先生)

麻酔科医ならではの面白さ

 医学生、研修医においては、麻酔科は「何をしているのかよくわからない」という方も多いようです。今回取材した医局員の皆さんも、かつてを振り返ると、「ポリクリでは全体像まで掴めなかった」、「国試対策でもあまり勉強しなかった領域」などと、口を揃えていました。

 しかし、「実際に働いてみて、やりがいは?」と聞いてみると、矢継ぎ早に様々な答えが。「毎日違う患者さんを相手にする科は珍しい」、「患者さんにより使用する薬や機材のカスタマイズが必要」、「手術中に投与した薬の効果が患者さんにすぐに現れ緊張と安堵を繰り返すのがドラマチック」、「手術麻酔を行うこともできれば、ペインクリニックでじっくりと患者さんと向き合うこともできる」―。

 「究極のケア」を行う麻酔科医。その奥深さと面白さをぜひ一度、体験してみませんか?

1日の流れ(例)

7時30分 出勤
7時50分 カンファレンス
8時20分 1回目の手術
(休憩・食事のための交代も挟みながら手術麻酔)
13時 手術終了
13時30分 2回目の手術
17時 翌日対応する患者への術前回診
18時 退勤

※ペインクリニック、緩和ケア、集中治療などにも携わる日もあります
※当直は月4回程度(後期研修医1年目・大野公美先生の場合)

お問い合わせ先

東京女子医科大学 麻酔科学教室では、一緒に働く後期研修医、大学院生、新入局者を募集しています。
見学も随時受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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東京女子医科大学 麻酔科学教室
主任教授 尾崎 眞

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