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若手・中堅からの注目度アップ!?
都民1370万人を守る公衆衛生医のキャリアとやりがい

取材日:2018年8月2日(エムスリーキャリア編集部)

東京都_KV

 東京都民1370万人の健康を支えている公衆衛生医師の存在は、同じ医師の中でもあまり知られていません。しかし近年、若手・中堅クラスの医師からひそかに注目されつつあります。どのような医師たちが集まっているのか―。初期研修後のステップとして、あるいは臨床経験後のキャリアとして、都の公衆衛生医師という道を選んだ先生たちを取材しました。

社会を良くするための仕組みづくりに携わる─都の公衆衛生医師ならではのやりがいとは

 「初期研修中、治療をしても患者さんを完治させることができず、中にはわずかな延命しかできなかったケースにも直面し、無力感を感じることが多かった」と語るのは、2017年度入都の中島丈晴先生(医師4年目)。臨床を続ける中で、次第に病気を未然に防ぐアプローチをする予防医学に着目するようになり、初期研修修了後は後期研修という一般的なキャリアを選ばず、公衆衛生医師の世界に飛び込んだそうです。現在は各自治体が実施するがん検診の啓発事業に従事している中島先生。多くの都民の健康寿命を延ばす、という強い思いを持って入都しましたが、その道のりは平坦ではありませんでした。

中島丈晴先生
中島丈晴先生

「東京都は大都市から島しょ部まで幅広い特色があるように、課題も様々です。たとえば小さな自治体では財源がないため、対象者の人数や実施回数に制限がでてしまいます。一方で、規模が大きい自治体では、国の示す科学的根拠に基づくがん検診とは異なった検診が行われている例もあります。これらに対処するため、自治体関係者と数多の交渉を重ね、試行錯誤しながらよりよい検診の実現を目指しています。

 地域によって課題は様々ありますが、使いうる資源を最大限有効に活用できれば、がんの早期発見や予防につながり、多くの人の健康に寄与することができる。そんな社会を良くするための仕組みづくりに携われる点では、臨床にはない醍醐味を感じていますね」(中島丈晴先生)

ワークもライフも諦めたくない─育児とキャリアアップの両方がかなう環境

 仕事のやりがいを求めると、プライベートは犠牲になりがち――。そんな“常識”も、東京都では違うようです。とりわけ女性医師はキャリアを諦めざるを得ないことも少なくありませんが、時短勤務や看護休暇制度などの福利厚生が充実しているため、ライフステージに応じて働き方を変えることができます。

 初期研修後に出産し、育児に専念していた土方奈々先生(医師6年目)は、後期研修先を考えている時、東京都の募集に魅力を感じ、入都しました。そして入都2年目のいま、「都の公衆衛生医師という仕事をもっと早く知っていたら、もう1年早く復帰できていたかも」と振り返ります。

土方奈々先生
土方奈々先生

「1年目は復職したての上に、業務未経験で不安もありました。しかし、周囲の方々が親切にサポートしてくださったおかげで、数か月で感覚をつかめました。制度面では、時短勤務を利用し、子どもの体調が悪い時などは看護休暇も使いました。上司が配慮してくださるのも恵まれていると感じますね」(土方奈々先生)

 土方先生が東京都を復職先に選んだ理由は、決してこうした働きやすさだけではないそうです。都の公衆衛生医師はワークライフバランスを維持する一方で、責任ある業務を担いながらキャリアアップを目指せる環境が魅力だと言います。

「現在の技監(※)や部長は女性医師ですし、ロールモデルがたくさんいらっしゃいます。今は都庁で難病対策の仕事をしていますが、膨大な量の書類を確認する必要があり、医学的知識や経験を活かして、業務を行っています。効率的に工夫しながら仕事をするよう心がけていますが、これも都に入って先輩の女性医師から学びました。今後は、様々な業務を経験し、都の研修制度等も利用して、キャリアアップを目指したいと考えています」(土方奈々先生)

 ※技監は、都の局長に相当するポストで、技術職の最高位。

多様な経験が、公衆衛生医師としての視野を広げてくれる

 臨床で内科医として従事し、現在は公衆衛生領域で感染症対策に取り組んでいるのが赤木孝暢先生(医師7年目)です。初期研修を経て入都したのち、一度臨床に従事しましたが、2017年に再び入都という経歴を持つ赤木先生は、その理由を次のように話します。

赤木孝暢先生
赤木孝暢先生

「病院で診療にあたっていると、医療機関で治療を行うことだけではなく、治療費の問題や退院後の生活支援、感染症における疫学調査や保健指導といった、公衆衛生の重要性を改めて実感したんです。

 一方で、キャリア環境の面では、公衆衛生の領域でも社会医学系専門医の資格がつくられたりと、実際に臨床との大きな隔たりを感じることはありませんでした。都には専門医資格を取得するための研修プログラムである「TOKYOプログラム」が整備されています。わたしも資格試験を受験する予定です」(赤木孝暢先生)

 そんな赤木先生は現在、都庁にて感染症をいち早くキャッチする東京感染症アラート検査の対応、救急搬送のデータから感染症の発生を探知するシステムの運用、人材育成など複数のプロジェクトに従事。多岐にわたる業務やプロジェクトマネジメントの経験が、公衆衛生医師に必要とされる幅広い視野を得ることにつながると感じているため、今後もさらに様々な領域にチャレンジしていきたいと展望を語ります。

「母子保健や精神保健といった分野にも取り組んでみたいです。未経験の業務は戸惑うこともありますが、東京都は公衆衛生医師が多く、経験豊かな先輩たちが身近にいて相談しやすい。知見を吸収しながら、多くの領域を学ぶとともにリーダーシップを身につけ、“危機的事態にも適切に対応する”という公衆衛生医師のあるべき姿に近づきたいですね」(赤木孝暢先生)

国際イベントでも活躍!働き方も働きがいも幅広い東京都の公衆衛生医師

 大都市特有の課題からローカルな問題まで、様々な業務に向き合う東京都の公衆衛生医師は、やりがいもキャリアの可能性も人それぞれです。安岡圭子先生(医師22年目)は、約19年間にわたる臨床・研究を経て入都。昨年度まで東京オリンピック・パラリンピック(東京2020大会)に向けた感染症対策プロジェクトに従事していました。世界規模のイベント成功のため、ほぼゼロベースで体制を整備していく過程で公衆衛生医師のやりがいを再認識したと語ります。

安岡圭子先生
安岡圭子先生

「国レベルの仕事ですから、各方面との協力が大事です。東京都の各部署、IOC(国際オリンピック委員会)や大会組織委員会をはじめ、国や他自治体、医療機関、医師会といった国内関連機関などとは何度も話し合います。必ずしも調整がすんなりいくとは限りませんが、それぞれの立場からご意見を伺い、最適解を探っていくプロセスに関われたことは非常に光栄でしたね。東京2020大会が、過去最高の安全・安心な大会になることを願っています。

 それと、IOCのリチャード・バジェット医事・科学部ディレクターから『参加者の健康なくして大会の成功はない。公衆衛生は縁の下の力持ちです』と仰っていただけたことは今も印象に残っています。公衆衛生医師の仕事は水面下での動きが多くなかなか気づかれにくいですが、都民はもちろん、ときに国境を越え人々の健康に寄与することにもつながる意義深い仕事だという実感が湧きました」(安岡圭子先生)

 このように世界規模のイベントに携わる経験も大都市である東京だからこそ。大都市ゆえヒト・モノの流出入が激しく、住民のライフスタイルや疾病構造も変化し続ける中で、住民の健康を支えるため、より多くの医師に参加してもらいたいと語る安岡先生に、都の公衆衛生医師に求められる資質を伺いました。

「公衆衛生では医師としての経験・スキルも然ることながら、住民の安全や健康、幸せに寄与したいという思いが大切だと感じます。今までの人生で見たり聞いたり感じたりしたこと全てが、公衆衛生医師の仕事には活きてきます。ですから、まだ医師歴が短い方でも十分これまでの人生経験を踏まえて活躍いただけますし、育児中の方や介護をされている方もご自身の経験を活かして無理なく働き、キャリアを築くことが可能です。もちろん、臨床での経験を積まれた方もこれまでに培った論理的思考力や医学的知見を活かしながら、臨床とは違った立場で健康に貢献できる仕事にやりがいを感じられると思います。東京都には、さまざまな境遇の医師が働きがいやキャリアを得ることのできる環境があります。もしご興味のある方がいたら、是非説明会や見学にいらして下さい。お待ちしています」(安岡圭子先生)

 日本を代表する都市の医療・健康課題に取り組むやりがいや、自身のキャリアプランに応じた働き方が得られる東京都の公衆衛生医師という仕事。現在の臨床での働き方に課題・疑問をお持ちの先生や、より社会的インパクトの大きな仕事を経験したい先生は、一度説明会に参加してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ先

東京都福祉保健局  

保健政策部保健政策課
公衆衛生医師担当
Tel:03-5320-4335
Mail:S0000282@section.metro.tokyo.jp