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日本の医療は平等か? “誰もが医療を受けられる”ために、格差社会に挑む!

取材日:2017年9月6日(エムスリーキャリア編集部)

医療福祉生活協同組合いばらき

 「高齢者人口3514万人で過去最多」「孤独死年間3万件に」「非正規雇用比率40%台に到達」。日本の社会情勢の変化を示すニュースが目立つようになって久しい現在。こうした社会の変化は、高齢者の孤独死や若者の金銭的問題による受診拒否といったかたちで、医療の現場にも確実に影響を及ぼし始めています。

そういった社会問題を解決するべく様々な取り組みを実施しているのが、医療福祉生活協同組合(医療福祉生協)です。今回取材したのは、医療福祉生協が運営する医療機関として、すでに茨城県南部を中心に活動している“あおぞら診療所”と、これから医療福祉生協に加入を検討している“ごとうクリニック”です。かつて茨城県内の市中病院で研修医と指導医の関係にあった各クリニックの院長が、30年もの時を経て再び手を携えることを決めた、その裏にある思いを取材しました。

「これが日本なのか?」患者の悲しい現実

 茨城県筑西市で、プライマリ・ケアと糖尿病治療を行うごとうクリニック。同クリニックの院長・後藤千秋先生は、現在1300人を超える患者のかかりつけ医として地域に貢献しているだけでなく、多岐に渡る診療科の専⾨医からも「⾃分や家族がかかりたい」と推薦される程の評判を得ている名医。そんな後藤先生が、クリニックを開業して17年目の今、何故医療福祉生協に加入を希望しているのか。その理由について、これまでに目の当たりにした数々の”悲しい現実”を変えたかったからだと語ります。

ごとうクリニック院長・後藤千秋先生
ごとうクリニック院長・後藤千秋先生

「今まで診てきた患者さんの中には、糖尿病の合併症が進行し20代の若さで失明された方や、統合失調症と糖尿病を併発して動けなくなった親子、寝たきりの老夫婦といった方々がいました。いずれの患者さんも、身寄りがない、働き口がない、非正規雇用で働いている、といった理由で収入が乏しく、孤立した状態でした。そういう方はたいていの場合、しばらく医療機関に受診できない状態が続くことで、症状が重症化してしまう、こういった悪循環に陥っていました。人間の命は平等だと言われているけれども、平等ではないんですね。『これが日本なのか?』と思うような現実を、いやというほど知らされました。しかし同時に、こうした状況を何とか変えたい。そう強く思うようにもなったんです」(後藤先生)

 2001年の開業以来、「平等な医療」を提供したいという思いを抱きつつも、目の前の患者対応で精一杯。一開業医としての限界を感じていたころ、偶然目に留まったのが、全国で3万人以上の医療・福祉職や住民が加入する医療福祉生協でした。地域住民と密に関わりを持ち、情報共有をし合えるその仕組を構築してきた医療福祉生協であれば、経済的に苦しんでいる患者や見えないところで病んでいく患者を見つけ出し、救うことができるはずだと、過去に自ら指導医として育て上げた、あおぞら診療所の石井啓一先生に相談を持ちかけたのです。

国の制度を活かし、平等な医療を提供

 東京のベッドタウンの一つであり、高齢化率が32%(2017年統計)を超える茨城県取手市において、すでに医療福祉生協の一員として地域を支えている、あおぞら診療所。同診療所の所長であり、取手市医師会で副会長を務める石井啓一先生も、経済的な理由から通院できず孤立してしまう患者さんに出会う場面が増えてきたと話します。そこで、あおぞら診療所では経済的に困窮した住民が無料・低額で診療が受けられるようにする国の制度を利用して診療を実施しています。

あおぞら診療所・院長 石井啓一先生
あおぞら診療所・所長 石井啓一先生

「無料・低額診療は国の制度・社会福祉法に基づいて行っており、収入が基準以下の患者さんに適用しています。この制度を利用できるお陰で、経済的な理由から通院をやめている患者さんを見つけた場合にも、安心して受診を促すことができます。これは済生会や他の医療機関でも行っている施策ですが、医療福祉生協がその中心的役割を果たしています」(石井先生)

個人で不可能なことは、組織の力で可能にする

 医療福祉生協の特徴の一つであるのが、地域に住んでいる組合員が3人以上集まって行う班活動です。班活動では専門職(医師・歯科医師・看護師など)と組合員が一緒になって病気の予防や健康づくりについて学ぶ活動を行っており、健康づくりを地域社会に広める活動として、世界保健機関(WHO)からも注目されています。
石井先生もこの班活動に積極的に参加。その経験から、健康促進以外にも組合員から経済的に苦しんでいる患者や見えないところで病んでいく患者がいないかをヒアリングし、早期発見に繋げることができる、と話します。

「あおぞら診療所では班活動のために診療所を開放しており、私も病気の予防・健康づくりについての講話や組合員の健康チェックを行っています。班活動は健康づくりを目的とした活動が多いですが、写真撮影やお茶会など、気軽に参加できるものもあります。私自身も趣味の写真を通して班活動に関わりながら、地域の中で孤立している患者さんがいないか情報を集めています。コミュニティ作りから地域住民の病気の予防や早期発見・治療へとつなげていけるので、班活動の意義と地域貢献度は高いと思います」(石井先生)

 これから医療福祉生協への加盟を控えている後藤先生は、加盟後の期待をこう話します。

「医療福祉生協は地域を変えていける組織だと思います。無料・低額診療も行えるようになれば、収入が乏しく治療を受けられない患者さんへも平等に医療を提供できるようになりますし、班活動を取り入すれば、地域で孤立している患者さんを見つけ出すことができ、これまで見てきた悲しい患者さんたちをなくすことができます。加盟後は活動の幅も広がっていきますから、患者さんに寄り添う心を持っている方や地域医療に情熱を燃やせる方は是非仲間に加わっていただきたいですね」(後藤先生)

30年以上の時を経て、志を共にする両先生
30年以上の時を経て、志を共にする両先生

 格差社会が進む日本で、医療の不平等という社会問題を根本から変えようとしている、あおぞら診療所とごとうクリニック。一朝一夕には解決できない課題ですが、個人では難しいことも組織の力で動かせる可能性を秘めています。誰もが平等に受けられる医療、その意義の深さに共感できる方は、両クリニックの挑戦に加わってみてはいかがでしょうか。

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