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離島でも山間部でもない。これまで見過ごされてきた医療空白地帯を救う、MED AGRI

取材日:2018年5月8日(エムスリーキャリア編集部)

メッドアグリ_KV

 医師不足、病院の統廃合、高齢化や人口減少――さまざまな原因によって生まれる医療過疎地。国が対策を打てども、未だ根強い課題となっています。そんな中、あえて人口あたりの医師数が少ない地に展開し、規模を拡大し始めているのがMED AGRI CLINICグループ(茨城県つくばみらい市)です。2018年5月現在、2カ所の在宅医療クリニックのほか、住宅型有料老人ホームや訪問看護を法人展開。これから茨城県内はもちろん、県外進出にも意気込む同グループの秘めたる思いに迫りました。

世に埋もれていた医療過疎地に退院先をつくる

 「組織をつくることでより多くの人を救いたい」――そう話すのは、同グループの創業者・伊藤俊一郎先生です。伊藤先生は10年以上、大学病院で心臓血管外科医を務めてきましたが、専門医を取得してこれから、というタイミングで独立を決意されたそうです。この時、伊藤先生を独立に突き動かしたのは、大学病院で感じた“急性期医療の限界”でした。

伊藤俊一郎先生
伊藤俊一郎先生

「勤務医時代は疾病を治すCureにやりがいを感じていました。ですが、術後は自宅療養が難しい患者さんが多く、退院先探しに時間がかかり、治してもなかなか退院できないという現実に直面したのです。ご本人・ご家族はもちろん、病院側も悩んでいて、時には準備もままならずに退院されていくことがとても心苦しかった。そんな状況を変えたい思いもあって、最期まで寄り添うCareに興味を持ったのです。

 それに、心臓血管外科医は手術でしか患者を救えず、限界もあります。でも、開業・起業によって組織づくりができれば、より多くの人を救える、そんな可能性を感じていました」(伊藤俊一郎先生)

 熱い思いを秘めた伊藤先生の第一拠点になったのは、2015年当時、入院施設が一切なかった茨城県のつくばみらい市でした。同グループの開業に対し、入院時は市外に出ることを余儀なくされていた地域住民からの反応は上々で、施設・サービスのグレードアップに踏み切ったほど。こうした反響の理由を、「この地域が、医師不足をイメージしやすい離島や山間部といった、医療過疎地という認識の“くくり”からこぼれ落ちていたため」と指摘するのは、集患などに注力した株式会社AGRICARE代表取締役で言語聴覚士の日馬裕貴氏です。

日馬祐貴氏
日馬祐貴氏

「つくばみらい市が位置するつくば医療圏内には大学病院があり、一見すると、このエリアの病床数も充足しているように見られていました。もともと伊藤も急性期病院からの受け皿として老人ホーム事業のみを考えていたそうですが、実際に地域を回ってみると、思いの外、医療や入院施設を求める声が集まり、その実情に気づいたそうです。そこで、在宅療養支援診療所なら病床の設置が認められるため、つくばみらい市で初めての有床診療所を設立したのです」(日馬裕貴氏)

 そうした背景により、これまで誰も踏み込まなかったエリアに進出。2017年4月にはかすみがうら市にも在宅医療クリニックを立ち上げた同グループは現在、総患者数が700名以上、病床稼働率も8~9割を維持するなど、新たなビジネスモデルを確立させました。

誰かの自己犠牲によらない、「断らない在宅医療」

 医療過疎地に踏み込んだからには、再び医療過疎地を生み出す事態はなんとしても避けたい――。そのような思いから、MED AGRI CLINICグループでは、長期的に医療を提供させるために必要となる、医師が働きやすい環境づくり、法人の経営安定化といった努力を惜しみません。

「当グループの自慢は、職員の一体感です。医師は、仲間づてに声をかけて集めてきたこともあり、雰囲気が良いと思います。すでに常勤5名、非常勤20名以上の医師が所属していますので、在宅医療に必要と思われる科目はほぼ網羅されています。そのため、医師同士のコンサルティングがしやすいのではないでしょうか。それに、非常勤医師のサポートがあるからこそ、常勤医師は残業なしや当直・オンコール免除も実現できています」(伊藤俊一郎先生)

 医師同士だけでなく、職種を超えたつながりも大切にしている同グループでは、週1ペースの交流会をはじめ、地域活動への団体参加も積極的に実施。こうして築いた職員同士の良好な関係性を基盤にしながら、今はICTを活用したコミュニケーションコストや業務負担の軽減にも取り組んでいるそうです。たとえば、訪問診療時に医師や看護師が話した言葉を、遠隔にいる医療クラークが聞き取り、クラウド型の電子カルテに入力していく、といった新たな取り組みにも挑戦。急な往診でも手間をかけず、簡単に情報共有するためのしくみを構築しています。

スポーツイベント参加時の様子
スポーツイベント参加時の様子

 約1年前、外科から訪問診療に転向し、将来は開業も視野に入れて入職した30代の医師も、やりがいとプライベートの両立ができる同院の働き方に惹かれた一人です。

「当グループでは『断らない在宅医療』を掲げ、末期がんや神経疾患の患者さんも積極的に受け入れているので、意義ある仕事ができていると日々感じています。また、病院勤務時代よりも患者さんやご家族としっかりお話する時間が確保できるようになったので、亡くなってもなお、感謝される場面が増えたと感じます。

 また、オンオフのメリハリをつけた働き方が可能なので、プライベートの時間もしっかり確保できているのはありがたいですね。今ではその時間を利用し、介護保険のことや厚生労働省の動き、クリニックを取り巻くマネジメントなどにも目が行くようになりました」(同グループ勤務医)

向こう1年で3カ所の新拠点、自身の成長が社会課題を解決する

 医療過疎地でのスピード成長と、医師の働きやすさの両立を志す同グループは、これから、茨城県にとどまらず全国にも目を向けていきます。すでに開業が決まっているのは千葉県成田市、茨城県水戸市、新潟県糸魚川市の3カ所で、既存のネットワークを生かせる地から展開。中でも新潟県糸魚川市は、伊藤先生と日馬氏の出身地であることも相まって、行政との連携が進みつつあります。

「わたしが大切にしている言葉のひとつに、『小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す』があります。これからの医療需要を考えると、自分のやりたいことよりも社会から求められていることをやるべきだと思いますし、ある意味、人がやりたがらないところは可能性にあふれているとも言えるのではないでしょうか。

 とはいえ、これまでは茨城県中心で、仲間のつながりで何とかなっていた部分がある。しかし、これから全国を視野に入れていくとなれば、新たな仲間が必要なのは明らかです。あえて数字は出しませんが、5年後、10年後の目標拠点数も決まりました。経験やスキルよりも思いを大切にしているので、本当に必要とされる医療に挑戦したい医師にぜひ来ていただきたいです」(伊藤俊一郎先生)

 明確なビジョンのもと、患者、医師ともにwin-winの体制をつくり上げるMED AGRI CLINICグループ。訪問診療というキャリアに挑みつつ、日本の医療課題に取り組むやりがいは大きなものがあるのではないでしょうか。