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「“診る”ことだけが医者の仕事ではない」 地域のがん診療・救急医療を支える東名厚木病院の熱意

取材日:2018年6月19日(エムスリーキャリア編集部)

東名厚木_KV

 「この地域のがん診療や救急を守っていかなくては」――地域医療を支えるために不可欠な2分野で、医療圏内の完結化を目指してきた東名厚木病院(神奈川県厚木市、282床)。患者の幸せとは?そのために病院や医師に求められることとは?そんな自問自答を繰り返しながら、「“診る”ことだけが医者の仕事ではない」をモットーに、本当の意味での地域と人に寄り添った医療を追求する同院の魅力に迫ります。

地域を支える救急・がん診療で奮闘

 人口85万を擁する神奈川県の県央医療圏は、ファミリー層に人気のエリアであり、高齢化率が全国平均よりも低い地域です。一方で、病院をはじめとした医療施設や医療従事者が少ない地域でもあります。そうした地域で、同院はこれまで救急医療に力を入れ、放射線技師や臨床検査技師、薬剤師も24時間常駐する「救急総合診療科」により救急体制を整備。その結果、応需率94.3%を実現し、救急車の年間受け入れは5000台超にのぼるなど、地域のニーズに応えてきました。

 しかし、この地域の医療資源が足りないという課題は、救急だけでなくがん診療においても同様。医療圏内でのがん治療完結率は「最も高い大腸がんでも66.6%に過ぎず、その他のがんも軒並み低い割合」と、地域医療構想でも指摘されています。

 こうした地域の状況を受け、同院ではがん診療も充実させる計画を打ち出します。なかでも乳腺外科は、副院長の日野浩司先生が入職した2008年を機に、診療環境の充実を図ってきたそうです。

副院長 日野浩司先生
副院長 日野浩司先生

「入職当時から感じているのは、患者さんのための医療が追求できる病院だということです。がん患者さんは不安を感じやすく、しっかりとしたフォローが大事です。たとえば緩和ケアでは、事実はどうあれ、元々の医師に『見放された』と意気消沈して来られる患者さんもいます。だから、インフォームド・コンセントなどは一方的にならないよう、接し方や態度には特に気を付けるようにしています。

 けれども、それは医師だけではうまくいきません。その点、当院は多職種のスタッフがともに声を掛け、メンタル面もサポートしながら、しっかりとした治療をしていきます。こうしたスタイルは、労力もかかりますし、収益効率が悪いと思われがちです。ですが、院内から異論は出ませんでしたし、むしろ皆が一丸となって患者さんやその家族がどうしたら喜ぶかを真剣に考えてくれますね。おかげで、病院で最期を迎える患者さんもいらっしゃいますが、ご家族からも『この病院で診てもらって良かった』と喜ばれることも少なくありません」(副院長・日野浩司先生)

 医師会や近隣大学との関係構築も進めてきた同院では、ハード面も整備が進んでいます。2017年には外来化学療法センターや緩和ケア病棟をスタート。乳腺外科を立ち上げた当初は少なかった手術件数も、今では年間40件ほどに増えてきたそうです。

“大きな目標”まであとわずか… 患者の幸せにどう貢献するか

 県央医療圏には放射線治療機器を持つ医療機関が3つしかなく、放射線治療(入院)の区域内完結率は19.5%。化学療法(入院)も48.7%と低調にとどまっているのです。そのため、こうしたがん診療の充実は、県央医療圏の患者にとっても大きな意味を持ちます。そこで、同院はがん診療連携指定病院を目指すという“大風呂敷(山下院長談)”を掲げました。がん診療連携指定病院の指定を受けるためには診療実績や設備の充実を図る必要がありますが、そうしたハードルをクリアして指定を受けているのは、神奈県内でも約4%。東名厚木病院が、取得するのが難しいと言われるがん診療連携指定病院の指定をなぜ目指したのか、院長の山下巌先生は語ります。

院長 山下巌先生
院長 山下巌先生

「患者さんにとって、医療圏外の大学病院などで治療を受けたその後が実は大変なのです。手術などの治療を受けた後も、自宅からの通院は続きます。しかし、この地域は高齢者の独居も少なくないですし、大病を抱えながら自宅で生活するだけでも大変です。それなのに、病を抱えながら遠い圏外へ治療で通院するのは負担が大きい。ご家族からしたら、大学病院などのそばに転居してくれた方が安心かもしれません。しかし、住み慣れた地域を離れ、これまでのご近所付き合いを失えば、精神的孤立も招きかねません。病によって、健康だけでなく、精神的な豊かさも失ってしまうことになります。

 だから、そうした患者さんを身近な場所から医療面でサポートできる病院の存在が必要なのです。日頃から患者さんの様子を診て、高いレベルの治療やケアを提供する。そして、患者さんもご家族も安心して暮らせるように寄り添う存在になる。そうすれば、遠方にある医療圏外の病院にも、ときどき行くだけで済むでしょう。それが私たちの考える地域完結型医療です」(院長・山下巌先生)

 こうした山下院長の想いを実現するにあたって喫緊の課題が、人材です。乳腺外科は日野先生の尽力により患者数が増えていますが、増加の余地があります。婦人科をはじめとした他科は尚更。それゆえに、患者の増加を支える人材が求められています。

「がん診療も救急も、患者さんがこの地域で幸せに生活するために、わたし達になにができるのかを考えた結果です。患者さんのために医療を実践し、一緒に働いてくださる医師を求めています」(院長・山下巌先生)

「最期までずっと診られる医師に」 初期・後期研修を一貫して同院で受ける理由

 同院がどんな医療を志向しているのか――。初期研修から一貫して同院で勤務し、同院の医師たちから多くを学んできた石川沙羅先生(後期研修4年目)の言葉にも垣間見えます。

後期研修4年目 石川沙羅先生
後期研修4年目 石川沙羅先生

「わたしは思い入れが強いタイプということもあって、一人の患者さんを最期までずっと診て、『先生が担当で良かった』と言ってもらいたい。そんな医師になるのが理想です。患者さんが困っているけど専門外だから何もできない――そんなことがないようにしたいのです。

 その点、当院は初期研修の頃からカテーテル治療をさせてくれるなど、スキル面を鍛えてくれますし、循環器内科医として後期研修中の今は、総合的に診られるように、診療科の枠にとらわれない経験を積ませてもらっています。

 そしてなによりも、患者さんに向き合う姿勢を学べます。たとえ同じ内容でも話し方、伝え方ひとつでトラブルにもなれば、感謝もしてもらえる。たとえば急変時でご家族が動揺する中、延命措置について尋ねる場合、どんな語り掛け方をすればご家族が安心してくれるのかといった姿勢も勉強させてもらいました。こうした患者さんの立場にたったコミュニケーションのとり方を学ぶことができる当院に、私は来て良かったと感じています」(石川沙羅先生)

医療者に求められるのは「治療体験のアウトカム」

 石川先生が学んできたという「患者への向き合い方」について、院長の補佐役も務める中正剛先生(整形外科)は、より大きな視点から捉えています。

中正剛先生
中正剛先生

「これからの病院は、治療体験のアウトカムを最大化させることが求められます。患者さんは病院に対して、治療成績だけを求めているわけではありません。高齢化により、完治が望めないケースも増える中、医療者が提供すべき価値は広がっているのではないでしょうか。

 高齢者になるほど、病気の再発・併発に対するリスクと、それに伴う不安がつきまといます。患者さんを支えるご家族や介護職などには、『自分たちに支えられるだろうか』という不安もあるでしょう。さらに近年は平均在院日数の短縮が求められていて、当院も取り組んでいますが、これも患者さんの不安要因になってしまう面はあります。治療成績だけではカバーしきれないこれらの問題もまた、われわれ医療者が取り組むべきものです。患者さんがしっかりと治療を受け、多くの不安を払拭され、安心して帰っていただく”治療体験”。その先に、患者さんの幸せな生活があると考えています」(中正剛先生)

 患者の幸せとは何か、そのために病院や医師に求められることとは何か――。これらの問いに対し、院長から研修医までが各々の立場から答えようとする生真面目さ。それが東名厚木病院らしさと言えるかもしれません。