

臨床研究部 横地氏に聞いた
『研究のすゝめ』
私立病院において「医学研究」を推進すべく設置された全国で見ても珍しい「臨床研究部」の中心人物に、「千葉徳洲会病院にて研究を行い、そして発表することの重要さ」を中心に臨床研究の今とこれからについてお話を伺いました。
interviewee:お話をされる方

interviewee:お話をされる方
医療法人徳洲会 千葉徳洲会病院
臨床研究部 医科学研究室
室長 横地 智貴 氏
【略歴】
東京大学にて博士(理学)取得後に平成10年より米国にてコールドスプリングハーバー研究所や国立衛生研究所、SUNYアップステート医科大学 /
フロリダ州立大学での研究を経て、平成20年に前職の千葉県がんセンター研究所(がん先進治療グループ)に所属。平成25年より医療法人沖縄徳洲会 千葉徳洲会病院にて臨床研究部室長として就任し臨床研修体制構築に尽力し今に至る。
米国での研究時、アラン・ウォルフ記念賞(米国 レット症候群研究財団)及びリサーチエクセレンス・フェロー賞(米国 国立衛生研究所)
1.「臨床現場で研究する意義」
病態の解明はもとより、早期診断や適切な治療方針の決定には未だ数々の障壁があり、これらを研究開発によって克服し究極的に患者医療へ貢献することは医療人の使命であり、そしてそれを推進支援することがこれからの医療機関には必要なことです。徳洲会グループに属する病院をはじめ民間医療機関が研究組織を持つことで、より臨床の現場に近い位置で、これらの研究性を主体的、積極的に取り入れた診療を実践する環境を整えてきました。
徳洲会にて設置されている各研究センターはそれぞれ独自に実施している研究に加え、多施設共同臨床研究、関連病院連携による検索、多くの関連研究室との共同研究が実施されています。また、医師主導臨床試験等の実施に耐え得るには「一般診療とは独立した研究組織体制」が必要であり、臨床研究センターの設立がこの条件を満たしていると考えています。
私たち千葉徳洲会病院の臨床研究部は、民間医療機関だからこその柔軟性と即応性を生かして各種先進医療の構築、難治性疾患の治療に対しての高度医療を開発し提供することで、多様化する医療ニーズに応える実力を備えて行きたいと考えています。
また、若手医師や病院職員に対して基礎医学研究の重要性を啓蒙し、地域社会ならびに医学教育と研究に貢献していくことが徳洲会グループの役割であると考えております。
2.「臨床研修の
実際のプロセス・支援内容」

当院の臨床研究部の特色は、治験実務やゲノム医療プロジェクトへの支援に加え、病院職員の学術研究活動を計画段階から発表までフルサポートすることです。
そうした活動には、医学研究の企画と実施はもちろんですが、データ解析、学会での発表や論文執筆なども含まれます。
たとえば、データの解析については、比較検定、単変量・多変量解析といったごく基本的な統計処理から、コーディングを要するバイオインフォマティクスに至るまでを支援します。更に、倫理委員会の承認のもと、必要であれば、塩基配列解読や変異探索といった遺伝子解析、ゲノム比較、分子レベルの機能解析などにも共同研究として対応できる体制を整えています。
また、論文執筆についても、海外の学術誌への英語論文投稿を強力にサポートします。当研究部の専任スタッフが、単なる和文英訳にとどまらず内容に踏み込む改訂を行い、海外の一流の医学研究者を納得させる論文を協同で執筆します。研究部を設立して二年あまりで、海外の専門学術誌に英語の研究論文7報を発表してきました(当院職員が責任著者の研究論文3報、共同研究4報、症例報告論文は除く)。

3.「千葉徳洲会病院で
臨床研究をするということ」
今は良い治療法がない病気を次の世代では治せるようにするために、私たちは、医学の進歩に常に貢献し続ける努力が求められています。千葉徳洲会病院臨床研究部は、民間病院だからこそできる学術研究を通じて、次世代の医学に貢献する情報を世界に向けて発信していきます。
従前から千葉徳洲会病院は企業主導の治験(医薬品医療機器等法の承認を得るために行われる臨床試験)に力をいれており、そのサポートを治験センターが担ってきました。また、文部科学省が主導する次世代ゲノム研究「オーダーメイド医療の実現プログラム」には、当院のゲノム室が大きく貢献してきました。それに対し、医師主導の臨床研究については、学術的な支援を行う部署がなかったため、医師が個人として研究に取り組むほかありませんでした。
しかし近年、指導医や専門医の認定条件として論文発表を義務付ける医学会が増えてきたことなどから、学問としての医学を志す病院職員をサポートする必要が生じてきました。そこで千葉徳洲会病院では、当院職員が医学研究を行う部署として、平成26年に臨床研究部を設立しました。
当臨床研究部の第一の目標は、高いレベルの医学研究の成果を、徳洲会グループから発信していくことです。そのためには、政府の科学研究費補助金や各種財団の公募研究費など、外部組織からの競争的研究資金を獲得することで、経済的基盤を固めていきたいと考えています。また、医師や看護師、コメディカルのキャリアアップの手段としての医学研究を、病院として積極的に支援していきます。
病院では、さまざまな薬剤や検査、手術手技、看護方法などが用いられていますが、私たちの誰ひとりとして、これらを発明したり開発した人はいません。こうした知識や技術は全て、先人が苦労して築き上げてきたものばかりです。私たちはそれを学校で学び、あるいは現場で教わってきたに過ぎません。先人が作り上げてきた「現代の医療」を利用している私たちは、次の世代のために「未来の医療」を作っていく義務があると思います。当院臨床研究部の目指す長期的な目標は、いま臨床研究の成果を着実に積み上げることで、未来の医療に貢献していくことです。
所在地
〒274-8503
千葉県船橋市高根台2-11-1
連絡先
医師人事担当:小林
Tel. 047-466-7111 Fax. 047-464-6322
標榜診療科
内科、外科、消化器内科、消化器外科、循環器内科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、小児科、婦人科、心臓血管外科、整形外科、泌尿器科、皮膚科、頭頸部外科、耳鼻咽喉科、糖尿病内科、放射線診断科、放射線治療科、リハビリテーション科、麻酔科、眼科、神経内科、救急科、病理診断科、緩和ケア内科

羽田空港や東京駅、品川駅から最寄りの高値公団駅までは1時間以内。学会や旅行など、遠出するにも便利です。
また、当院は職員専用の地下駐車場も完備しているため、車で通勤することも可能です。