
【オンライン開催】
12月12日(金)19:00~
未来医療会議2025
臨床・研究・行政・起業という多様な視点から未来の医療を語るパネルディスカッション!
新潟県のイノベーター育成臨床研修コースの受講生・修了生も登壇します!
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「イノベーター育成臨床研修コース」(通称イノベ枠)は、新潟県内の臨床研修病院で初期研修を行いながら、2年間をかけてリーダーシップやマネジメントスキルなどを習得する新潟県独自のコースです。これからの医療人には欠かせない「変革力」を身につけるために必要な4つの力(思考力・実践力・想像力・人脈力)を学びます。
講義は月2回、休日や時間外に課外活動として実施します。内容は、物事を論理的・体系的に考えるロジカルシンキング、人を導き動かすためのリーダーシップ論や交渉学、新しい価値を創造するために必要なイノベーティブ思考など、MBA領域から特に重要なテーマを厳選しています。また、座学にとどまらず、地域の課題にチームで取り組むプロジェクトワークを組み込み、学びを実践の場で活かすサイクルを構築しています。
講師は、MBA取得医師等が担当し、受講生の成長をサポートします。情熱あふれる講師陣、また、全国各地から同じ志を持って集まる仲間同士の「横のつながり」から生まれるかけがえのない人脈は、受講生にとって大きな資産となりえます。
イノベ枠を運営する新潟県福祉保健部長の中村洋心氏は、イノベ枠にかける思いと受講生への期待についてこう語ります。
「私たちが育成したいイノベーターとは、『変化し続けていける人』です。学びをやめず、自分には何ができるかを考えて行動し、自己変革することが何より大切だと考えています。受講生のみなさんは、これから先、苦しい壁や課題に直面することが多々あるでしょう。そんなときには、まずは自分が変化し、勢いをつけて周囲をも変えてほしい。そして、いずれ世界を動かしていくような人になってほしいと願っています」
| 【申込資格】 | 新潟県内で研修を行う令和8年採用の臨床研修医 |
|---|---|
| 【募集人数】 | 46名(病院ごとに定員あり) |
| 【募集期間】 | 令和7年4月1日(火)から |
| 【受講期間】 | 令和8年4月~令和10年3月 (臨床研修期間中の時間外・休日を利用) |
| 【受講料】 | 原則無料(受講料不要、課題図書は支給) 参考図書、オフライン開催の際の旅費は自己負担 |
※ 1次募集で定員に達したなどの理由で、第1希望でお申し込みいただいてもご期待に沿えない場合があります。
※ 研修病院の面接では、「イノベーター育成臨床研修コースを希望する」旨を必ず告げてください。
※ 県との面談は、希望に沿った病院を紹介するものであり、マッチングを約束するものではありません。
2025年3月1日、イノベ枠第2期生の最終発表会と修了式が開催されました。
前半部の最終発表会では、受講生17人が4チームに分かれ、8カ月にわたり取り組んできたプロジェクトワークの成果を発表しました。
プロジェクトワークでは、イノベ枠の最終プログラムとして、地域の実在する課題に向き合い、この解決策の立案から実践までを行います。
各チームは、「病院間連携の強化」「へき地のオンライン診療モデル構築」「産前産後ケアサービスの医療機関連携モデル構築」「津南病院の持続可能な医療体制確立」といった課題に対して、専任のスーパーバイザーのアドバイスのもと、プロジェクトに取り組みました。
上越地域における病院間連携は長年の課題でしたが、プロジェクトでは厚生連の3病院(上越総合病院、糸魚川総合病院、けいなん総合病院)へアンケートを行うことで、病院間連携のそもそもの定義が統一されていないことを明らかにしました。そこで、その解決策として3病院の院長・事務長会議を提案し、同関係者で意見交換会を実施できたことにより、病院間連携の定義を「ヒト・モノ・カネ・情報を病院間でやり取りすることによって、3病院あわせての付加価値を増加させる」と定めて認識を共有化することができました。
会場やオンラインで参加した医師たちからの講評では「難しい課題解決を最後までやり遂げたことは高く評価できる」のほか、「取り組みが風化しないように次のステップまで整理してバトンタッチを」という意見も挙がりました。
医師不足と医療需要の低下に直面する佐渡市では、医療機関の集約化が進む一方、へき地住民の医療アクセス低下が課題となっています。そこで、同プロジェクトでは、オンライン診療を活用した巡回診療モデルの構築に取り組みました。このモデルは、医師が病院内でオンライン診療を行い、看護師や薬剤師らが巡回拠点となる公民館へ向かい、患者は看護師らのサポートのもとオンライン診療を受ける仕組みです。
講評では「島外からの薬剤師リクルートが上手くいっている点が興味深い」「佐渡モデルをぜひ他地域にも展開してほしい」といった意見が寄せられました。
産婦向けオンライン健康相談サービス「ファミくる」では、医師や助産師と連携して、健診時以外のケア空白期間のサポートをしています。しかし、緊急的な医療介入が必要な場合、どの医療機関へ受診歓奨すべきか不明確な状態でした。そこで、同プロジェクトでは精神科領域に焦点を当て、妊産婦が分娩予定の産婦人科を介さず、精神科医療機関にうつ状態などを相談できるフローを確立。医療機関協力のもと作成した「受診シート」を使用することで、スムーズに受け入れることが可能となりました。
講評では「実際に患者を受け入れる際に、医師以外の医療スタッフの理解が重要」「交渉に苦労したようだが、あきらめない姿勢が素晴らしい」といった声がありました。
医師不足と人口減少に直面する津南町では、病院経営の赤字が続く一方、地域住民への医療サービス低下が課題となっています。この状況を打破するためにプロジェクトでは様々な取り組みを行い、イベント開催による「注目度向上」、病院機能再編による「年間3000万円以上の増益見込み創出」、教育プログラム充実による「研修医数増加」、十日町病院との連携強化による「患者の受入基準の明確化」などの成果を出しました。
会場に駆けつけた津南町長の桑原悠氏は「若い力で津南に改革を起こしていく可能性を感じた」と評価。「実際に病院内が活性化しているのを感じている。これからの他産業との連携も楽しみ」と期待を寄せました。
後半は修了式を行い、受講生全員に修了証が授与されました。その後、受講生及び関係医師や講師などの投票によって選出された特別評価者を発表。チームXportの山根七歩さんが表彰されました。山根さんは登壇し、「特別評価者に選んでいただき光栄です。しかし、これは私個人の功績ではなく、プロジェクトに協力してくださった多くの方々のおかげです。心より感謝申し上げます」と感謝の気持ちを伝えました。
最後は、受講生一人一人が感想を発表。この期間を通しての学びや思いを語りました。第2期のイノベ枠も、受講生全員の大きな成長があり、実りある成果を感じながら幕を閉じました。
新潟県医師会会長の堂前洋一郎氏は、イノベ枠の意義についてこう語ります。
「まずは新潟県に全国各地から研修医が集まり、このように素晴らしいプレゼンテーションをしてくれたことに意義があると感じています。プロフェッショナルな講師陣の指導もあり、受講生は交渉学やロジカルシンキングなど問題解決力を磨くことで大きく成長しています。このイノベ枠をきっかけに、もっと多くの医学生たちに新潟を知ってほしいですし、実際にこの地で過ごすことで新潟に愛着を持ってもらえたらうれしいですね」
また、チーム上越厚生連組のプロジェクトオーナーであった上越総合病院の篭島充院長は、「若い人」の介入のおかげで地域医療に大きな変化を感じられたといいます。
「イノベ枠は、研修医のためだけではなく、新潟県の医療をより良くするために重要です。実際、チーム上越厚生連のプロジェクトでは、病院間連携という当事者同士では解決が難しい課題を、中立的な立場で前進への道筋をつくってくれました。このプロジェクトを通じて、様々な立場の関係者の気持ちが一つとなり、大きな意義があったと感じています」
この2年間、プロジェクトで多くの方々と協働できたことが本当に幸せでした。私は県外からの参加なので、最初は知り合いが誰もいない状態からのスタートでしたが、イノベ枠のおかげで、たくさんの人たちとつながれたのが何よりの喜びです。講師や県庁職員の方々、同期の仲間たち、佐渡総合病院の医療スタッフ、そして佐渡地域の住民のみなさん――ご支援いただいたおかげで成長することができました。このような貴重な経験を与えてくださり、ありがとうございました。
医学部6年生の時にイノベ枠の存在を知り、新たな挑戦にワクワクした気持ちで参加しました。しかし、実際に始まってみると、臨床研修との両立は想像以上に大変で、プロジェクトワークでも壁にぶつかり、精神的に苦しい時期がありました。それでもあきらめずに取り組み続けた結果、通常の臨床研修だけでは得がたい知識体系や思考法を習得することができました。この貴重な経験を糧にして、今後の臨床現場での活動に活かしていきたいです。
1年目は講義で理論中心に学び、2年目からは実践的なプロジェクトワークが本格化して、講師のみなさんはじめ、病院や地域や行政の方々との関わりが増えていきました。たくさんの人たちに支えられながら、学びを深めて成長できたこの環境に感謝しています。学んだ理論を実際の現場で応用するのは、難しくもあり、おもしろいです。今後も臨床を続ける予定ですので、学んだことを最大限に活かせるように、常にアンテナを張っていきたいです。
2年間を通じて、「問題解決力」が格段にアップした実感があります。漠然とした問題を細分化し、要素分解することで、本質的な課題を見つける感覚がつかめるようになりました。このスキルは、臨床の現場でも役立っています。イノベ枠は、自分の成長だけでなく、周りの人たちも巻き込んで環境を改善していきたいという強い思いを持つ人にとって、必要なスキルを学べる最高の環境だと思います。医療現場をより良くしたいという情熱を持つ方にはぜひ参加してみてほしいです。
イノベ枠に参加したのは、直感的に「おもしろそう」と感じたからです。ロジカルシンキングや交渉術について学び、問題解決という視点を持つことで、臨床の場での仕事の進め方が変わりました。特に、患者さんとのコミュニケーションでは、より説得力のある伝え方ができるようになったことが大きな成果です。イノベ枠で学べるスキルは、臨床に携わるなら必須です。これらは医療現場だけでなく、日常のあらゆる人間関係にも活用できるので、実用的で価値のある学びだと思います。
多彩な経験を持つ講師陣による講義は、私の知的好奇心を常に刺激してくれました。毎回ワクワクしながら講義に臨んでいたことが心に残っています。この2年間の最大の成果は「メタ的な視点で物事を捉える力」を身につけたことです。学んだ知識をもとに、改めて自分の環境を観察すると、一段階上から俯瞰した景色が見えてくるような感覚がありました。イノベ枠は私に素晴らしい「メガネ」、つまり世界を見る新しい視点を与えてくれたと感じています。
2年間のイノベ枠で、最も大きな収穫は「出会い」でした。プロジェクトワークを進めていく中で、チームのみんなと3時間を超えて話し合い、試行錯誤した時間はかけがえのない思い出です。全員で一つの課題に真剣に向き合い、時には熱く議論し、アイデアを出し合いながら進めていく。そして最後に形になった時の喜びや充実感は何物にも代えがたいです。これらの体験が、私の中ではまさに「青春」そのものでした。若い医師として成長できる貴重な時間だったと思います。
イノベ枠の素晴らしいところは、講義などによる単なる知識のインプットにとどまらない点です。グループワークやアウトプットの機会が豊富で、実践を通して学んだからこそ、自分の力になったと感じています。また、チームの枠を超えた交流ができたのも良かったです。この素晴らしい体験を通じて築かれた人脈は、私にとってかけがえのない財産になりました。ここで習得した知識や経験を活かして、これからも医療の現場において自己研鑽していきたいです。
イノベ枠の2年間は学びに満ちた日々でした。特に大きな発見だったのは「コミュニケーションの重要性」です。プロジェクトに共に取り組んだチームメンバーとは議論を交わし、多くの有益なアドバイスをもらいました。おかげで視野が広がり、コミュニケーションを通じて新しいアイデアが生まれることを体感できました。他者を理解して人の話をしっかり聞くという基本的なことが、実はとても大切な土台となる。これに気づけたことは、大きな価値があったと感じています。
イノベ枠の存在を知ったときから「絶対に参加したい」と意気込んで申し込んだ割には、病院勤務がハードで両立が難しく、当初は講義参加率も低い方で、皆さんに何とか食らいついていった状況でした。それでもこの2年間で得られたものはたくさんあり、講師のみなさんから得た知識、プロジェクトワークを通しての実践、そしてかけがえのない人脈です。同期や事務局のみなさん、活動を通じて出会った多くの方々とのご縁は、私にとって財産となりました。最高の日々をありがとうございました。
臨床の現場ではなかなか磨けない「問題解決力」を鍛えることができました。いま何が問題となっているのか正しく分析する視点を得ることで、物事を俯瞰的に捉えられるようになったと実感しています。イノベ枠は病院勤務と両立しながら行うので、想像以上に大変でした。しかしながら、その苦労を乗り越えたからこそ、得られた価値は大きかったと考えています。新たな挑戦をしてみたいという気持ちがある人には、ぜひおすすめしたいです。
毎日が楽しいと感じる2年間でした。多くの方々からアドバイスや協力をいただき、「こんなに素晴らしい経験ができて無料でいいのだろうか?」と驚くほど最高でした。私は公衆衛生に興味があり、以前は企業でインターンをした経験がありましたが、体系的な知識は身につきませんでした。そんななかで、ご縁があってイノベ枠に参加し、知識と実践による経験を得たことで大きな学びとなりました。このような素晴らしい機会を与えてくださり感謝いたします。
医療政策に興味があり、臨床以外の「考えるスキル」を学べることでイノベ枠に惹かれました。様々な学びを得たなかで、特に交渉学は納得できる合意にたどり着くために役立つと感じています。2年間の受講を通じて自分が大きく変化し、同時に伸び代にも気づきました。 得たスキルは、日々働くなかでの困りごと解決に役立てられると思います。また、全国各地に同期の仲間や講師がいるつながりができました。この縁を大切にしながら今後も励んでいきたいです。
私は臨床研修期間中に何か新しいチャレンジをしてみたいと考えていました。イノベ枠に惹かれた理由は「事前知識不要」状態から無料で参加できること。実際に参加し、座学の知識を学ぶほか、毎週チームで講師と壁打ちすることで、マインド面も鍛えられました。 臨床とコース受講の両立は体力的に辛かったですが、やり抜くことができて達成感でいっぱいです。今後は、学んだロジカルシンキングの思考法を活かして、現場の課題解決に活かしていきたいと考えています。
イノベ枠に参加して自身の大きな変化がありました。一つ目は「考える力が高まったこと」。思考法を学ぶことで、日々の課題を見つける方法やどんなプロセスで捉えていくかなど、論理的な考え方ができるようになりました。 二つ目は「改革のやりがいを感じられるようになったこと」。研修先の済生会新潟病院にて、救急車8000台以上を受け入れるプロジェクトに参加し、講義で習った知識や考え方を活かせました。まさに“変革力”が役立ったと感じています。
私はプロジェクトワークでチームリーダーを務めました。週に一度壁打ちを行うなかで自分だけの力の限界を感じ、メンバーと力を合わせる大切さが身に沁みました。リーダーシップや発言の仕方など、実践で学ぶことは多かったです。 イノベ枠の参加は私にとって冒険で一人では漂流して沈没していたと思いますが、共に頑張る仲間がいたからこそ修了までたどり着けました。感謝しています。今後は、新潟の病院の経営改革に貢献し、周囲を引っ張る存在となっていきたいです。
臨床以外にも進路の幅を広げたいと考えていたことからイノベ枠を受講しました。プロジェクトワークでは新規性のある価値を生み出す大変さを感じながら、試行錯誤したのが良い経験です。学びを通じて、汎用性の高い論理的思考力や人を説得する力、コミュニケーション能力が身についたと思います。 今後は、県央基幹病院にて総合診療科医として働きます。比較的新しい専門診療科のため、学んだことを活かして地域にニーズを発信していきたいです。
研修先の院長先生の紹介でイノベ枠を知りました。医学の知識だけではなくビジネススキルを身につけられるのがおもしろそうと興味が湧いたのが参加の理由です。多岐に渡る学びがありましたが、なかでも役立っているのがロジカルシンキング。 実践的な学びであり、医療の現場では救急外来時のプレゼンテーションや看護師への説明など、論理的に考えて伝えるスキルを日々活用できています。この先の長い医療者人生のなかで、学んだことを活かしていきたいです。
「医師は多忙で疲れている」「常に忙しい」という課題を日々感じており、解決のヒントがイノベ枠に詰まっていると期待して受講しました。座学や実践を通して、問題がどこにあるのか分析し、施策を立案する流れや考え方が理解できました。 また、想像以上に先生方との距離が近く、1対1でキャリアの相談をさせていただきました。受講生や先生方とグランピングの小旅行をしたのは良い思い出です。今後は学んだことを活かして新潟の医療に貢献していきたいです。
以前から日本の医療の非効率性を感じており、構造的要因があると感じていました。受講することで現状を分析する力が身につき、それらの課題を捉えられるようになったと思います。また、ロールモデルとなる先生との出会いもあり、 1対1でMBA受験のアドバイスをしていただけたのがありがたく貴重な機会でした。今後私は、海外を舞台に活動する予定です。イノベ枠にて日本の高齢化が進む地・新潟で得た知見や経験を活かしていきたいです。
課題発見力や課題解決力のスキルを高めたいと考えているなかでイノベ枠と出会いました。ロジカルシンキングの思考法を身につけ、座学や実践をくり返して2年間が経過したいま、自身の大きな成長を実感しています。 研修を行いながらプロジェクトワークを進めるのは大変でしたがやり抜くことができました。今後、私は産婦人科医として活躍していきたいと考えています。医師数が少ないという問題に向き合い、学んだことを活かして解決できるように取り組んでいきたいです。
友人の誘いでイノベ枠を知りました。医療業界は閉鎖的なイメージがあったので、受講することで視野を広げられるかもしれないと期待して受講しました。学生時代の学びと180度違うと感じたのは、与えられたテスト問題を解くのではなく 「自分で問題を見つけること」。さらにロジカルな考え方を身につけたことで、臨床の場でも問題発見を意識するようになりました。優秀な同期メンバーたちとの出会いもあり、かけがえのない貴重な2年間を過ごせました。
問い合わせ先
新潟県 福祉保健部 医師・看護職員確保対策課
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