どんな現場でも重宝される、“弱点のない”医師になれる!多彩な症例、人を診る力が身につく国保水俣市立総合医療センター

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どんな現場でも重宝される、“弱点のない”医師になれる!

多彩な症例、人を診る力が身につく国保水俣市立総合医療センター

初回取材:2017年10月
更新日:2023年 5月

熊本県南部から鹿児島県北部まで、県境を越えた地域の中核病院として地域住民を支える、国保水俣市立総合医療センター(熊本県水俣市、361床)。2014年度より基幹型臨床研修病院となった当センターでは、その症例内容の幅広さから、どこに行っても活躍できる、弱点がない医師を目指せる研修環境があります。では、その“弱点のない医師”はどのように育まれるのでしょうか。

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症例も指導医も独占できる、充実した研修環境

東京での社会人経験を経て、「生まれ育った熊本に貢献したい」と一念発起して医師となった藤山寛之先生(初期研修1年目)。同センターの見学を通じて、若手からベテランまで揃う医師層の厚さ、挨拶が盛んで風通しの良い雰囲気に「ここでなら頑張れそうだ」と感じたそうです。

「今思えば生意気ですが、初期研修のプログラムはどの病院もそんなに差がないと考えていました。それならば、生まれ育った熊本市ではない環境に身をおいて経験を積もうと思ったんです。当センターの位置する芦北医療圏の面積は431平方キロメートル。加えて、隣接する鹿児島県北薩地域をも支える地域の中核病院のため、患者数も多く、軽症から重症までさまざまな症例が集まります。 そして当センターの方針は、研修医の数を抑えること。だからこそ1人あたりの症例数が多く、独占して学ぶことができています。気管支鏡検査、胸腔穿刺など、マンツーマンで丁寧に教えてもらえるので、実技面での充実を強く感じています。」

藤山先生に同センターをすすめたのは、同じ熊本大学で学び、現在同センターで共に働く眞方洋明先生(初期研修1年目)でした。眞方先生は、同センターのどのようなところに惹かれたのでしょうか。

入職してはや半年。入職前に思い描いていた、自ら手を動かし、密に学ぶ研修を受けられていると思います。ちょっとした空き時間を見つけては、苦手な手技の練習をしたり、検査に立ち会わせてもらったり、自由にやらせてもらえるのもありがたいです。手を動かした分だけ身についていることを実感しているので、2年目以降の研修も自信をもって臨めそうです。」

藤山寛之先生(初期研修1年目)

藤山寛之先生(初期研修1年目)
※取材当時

眞方洋明先生(初期研修1年目)

眞方洋明先生(初期研修1年目)
※取材当時

弱点のない医師を育む、段階的なプログラム設計

竹下 実先生(医師3年目)は、同センターの初期研修プログラムを経験すれば“弱点のない医師”を目指せると語ります。その特長は、協力施設である熊本医療センター、熊本大学医学部附属病院にもローテートする点。1年次に同センターで徹底的にCommon Diseaseを経験した後に、3次救急や高度医療を学ぶ、段階的なプログラム設計となっています。

竹下先生が “弱点のない医師”を目指すとはどういうことか、解説してくれました。

「医師として一人前になれば、疾患を選り好みできません。そういう意味で、時に専門特化しているよりも、満遍なく診られる―いわゆる弱点のない医師の方が現場では重宝されることもあります。また、後期研修が終わってどの道を選ぶにせよ、病棟で診るのはCommon Diseaseがほとんど。その点、病院同士で役割分担がされている熊本市内に比べ、この地域には当センターしかないので、どんな疾患にも対応できるようになります。」

同センターのプログラム内容について、研修プログラム担当の阿部道雄副院長は次のように語ります。

「当センターのプログラムは、はじめから専門特化して学ぶよりも、まずは幅広く見たい方に向いていると思います。市中病院という特性上、Common Diseaseも含めて多彩な症例を経験できるため、専門科目を決める前に充分な研修を受けられるのが強み。

一方で、既に将来的に極めたい科目が決まっているのであれば、フレキシブルに対応することも可能です。たとえば、消化器科なら大学病院にローテートするまでに内視鏡検査をある程度できる状態にするなど、専門まで見据えた研修をしてから送り出したいと考えています。熊本大学医学部附属病院を専門研修先に選んだ場合、当センターが研修連携施設となっていますので、ここで初期研修を受けた医師の成長した姿を見られたらとてもうれしいですね。」

竹下 実先生(医師3年目

竹下実先生(医師3年目)
※取材当時

阿部道雄副院長

阿部道雄 副院長
※取材当時

いろんな患者さんと触れ合い、「人を診る力」を磨いてほしい

これまでは、地域唯一の中核病院として患者さんのために医療提供をしてきた同センター。2014年度から基幹型臨床研修病院となり、「研修医を一人前の医師に育てる」という新たなミッションが加わったことで、病院一丸となって研修医を育てようというマインドが浸透していったそうです。それを象徴するのが、毎週朝7時40分から8時まで開催される救急カンファレンス。 前週に受けた救急症例について、どのように診断・治療したかを学び合います。医師のみならず、各スタッフや近隣の開業医まで毎回40名近くが参加することに、「それぞれが主体性をもって指導、サポートしてくれている」と丸山英樹院長は目を細めます。

「当センターの特徴の一つに、症例を単科で診るのではなく、各科協力して診ているところが挙げられます。どの科も垣根なく行き来しており、医局での相談も日常茶飯事。そこも含めて学んでもらえたらと考えています。あとは、医療圏的な話になりますが、熊本県と鹿児島県の県境に位置している点も特徴でしょうか。 実際に、外来・入院患者さんの約2割が鹿児島県から来ています。今後高齢化が進んで、このエリアでも人口が減っていくことが予想されます。つまり、外来も入院も減っていくということ。その中で、県境の中核病院としてどうあるべきかを考えていく時期に差し掛かっているのが現状ですね。その一手として、2017年度から地域包括ケア病棟を導入。2019年度以降からはハイケアユニットを開設予定です。今後も、この地域の患者さんが安心して暮らせるような医療提供を継続していきたいですね。」

地域の中核病院、そして研修病院として進化を遂げている当センター。病院事業管理者の坂本不出夫氏に、ここでの研修を通じて、研修医たちに将来どのように羽ばたいてほしいかを伺いました。

「医師は人と接する職業なので、まずはコミュニケーション能力を身につけてほしいですね。ここは子どもから大人までいろんな患者さんが来るので、対応能力とコミュニケーションスキルを培うには最適な環境。医局を科で分けていないのも、いろんな医師やスタッフと関わりを持ってほしいからなんです。本を読んでもわからないことは、現場でどんどん学びに行ってほしいですし、聞けば答えてくれる環境を活用してもらいたい。その中で基本的な知識と手技を磨いて、医師としての基盤固めをしてほしいですね。基礎がしっかりしていれば、いくらでも応用することができますから。

わたしたちは教育を通じて、医師のヒューマンネットワーク作りにも注力しています。外へ行くなら応援して、戻ってきた時に温かく迎え入れる。そういう関係性を若いうちから築くことで、いざというときに助け合えると思っています。将来、医師人生を振り返る機会があった時に“あの病院で初期研修を受けることができてよかった”と思ってもらえたら、本望ですね。」

丸山英樹院長

丸山英樹 院長
※取材当時

坂本不出夫病院事業管理者

坂本不出夫 病院事業管理者