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放射線治療の最先端

放射線治療の最先端

 がんを「切らずに治す」、放射線治療。低侵襲で、高い効果を実現させるために、その最先端の現場ではどんなことが行われているのでしょうか―。「医師のキャリアパスを考える医学生の会」(以下、「医学生の会」)は、放射線医学オープンスクールを開催(共催:医用原子力技術研究振興財団)し、群馬大学重粒子線医学研究センターと、がん・感染症センター都立駒込病院を見学しました。最先端に触れた彼らに、同行しました。

注目の重粒子線治療、大学病院で初―群馬大学重粒子線医学研究センター

 昨今、放射線治療の領域でも特に注目が集まっている重粒子線治療。病巣にエックス線やガンマ線を照射する通常の治療に対し、重粒子線治療では炭素イオンを照射します。標的となる病巣への線量の集中性が高く、より強力な細胞致死効果を発揮するのが特徴で、現在、前立腺がん、肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、直腸がんの術後再発、骨軟部腫瘍などの治療に用いられています。

 今回、医学生の会が見学した群馬大学重粒子線医学研究センターは、2010年3月に国内の大学病院では初めて、重粒子線治療を開始。重粒子線照射施設を国内外に普及させるためのモデルとして位置付けられています。

 同センターの重粒子線治療では、直径約20mのシンクロトロン加速器で、炭素イオンを光速の70%にまで加速させ、治療室の患者の病巣に照射します。治療室を見学した学生からは、重粒子線治療に適する症例や、治療期間など、実際の使用の様子について質問が投げかけられました。同センターによると、照射回数や線量は病気の種類や状態によって異なるものの、治療期間は1-4週間ほどで、通常の放射線治療より短いといいます。

 同センター長を務める中野隆史教授は、高度な機器を取り扱う放射線治療の現場では、医師・放射線技師・医学物理士など様々な職種間の連携が欠かせないと説明。意見交換では、他職種連携・医工連携の在り方などについて活発な議論が行われました。


最先端の機器を複数揃え、高精度放射線治療を提供-都立駒込病院

 前述の重粒子線は、「放射するものを従来の治療から変える」ことで新たな展望をもたらしましたが、一方で、「放射する方法を変える」ことによっても、治療は進歩を遂げています。

 続いて医学生の会が訪問した、がん・感染症センター都立駒込病院では、2011年9月のリニューアルにきっかけに、照射方法が多様な複数の放射線治療機器を配備。これらの機器を使い分けることで、高精度な治療を可能にしています。今回見学したのは、サイバーナイフ(CyberKnife)、トモセラピー(TomoTherapy)、ヴェロ(VERO-4DR)の3機器です。

 サイバーナイフは、小さな病変に狙いを定めて集中的に照射する、定位放射線治療に用いられます。照射ターゲットを高精度で捉えつつ、有効線量を照射できるほか、患者が動いてしまってもターゲットを追尾、照射角度を自動修正しながら照射します。駒込病院では、頭蓋内・頭頸部に加え、前立腺など体幹部の病巣にもサイバーナイフを使用します。

 トモセラピーは空間的・時間的に不均一な強度の放射線を多方向から照射するIMRT(強度変調放射線治療)の専用機器で、複雑な形をした病巣にも線量を照射します。取材当日はパーツの交換日とのことで、機器の内部まで見ることができました。

 ヴェロは、定位放射線治療もIMRTも可能な機器で、患者が寝台に横たわったままの状態でも、装置があらゆる方向に回転することで3次元的に放射線を集中させることができます。また、呼吸によって動く病巣を追尾する機能に優れ、肺がん治療などに用いられます。

医工連携の芽、学生のうちから

 今回の放射線医学オープンスクールには、医学部だけでなく、薬学部や栄養学部、また理工学部など、さまざまなバックグラウンドを持つ学生21人が参加。活発な意見交換を行い、交流を深めました。医学生の会代表の秋葉春菜さん(東京女子医科大学5年)は、「医療系学部の学生と、非医療系学部の学生が出会える場所は貴重。今後も続けていきたい」と話し、学部の枠にとどまらない視野を持つことの重要性を強調しました。

 日本人の3大死因とされているがんに対して、低侵襲でより効果の高い治療を行うためには、高度な技術が求められ、医師はもちろん、他職種との連携が欠かせません。今回のオープンスクールで生まれた医工連携の芽が、未来のがん治療に貢献していくことを期待してやみません。

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