実力派講師に学ぶ総合診療の真髄!第4回「大阪どまんなか」開催
現場第一線で活躍する実力派講師から実践的な総合診療を学ぶ勉強会「大阪どまんなか」が2015年6月20日(土)に大阪大学で開催されました。ワークショップを通じて大学・職場の垣根を越えた横のつながりもつくれる本イベントは、募集開始後すぐに応募が殺到する盛況ぶり。全国からおよそ80人もの医学生・研修医が集まりました。
症例のポイントはもちろん、医師としての心構えまで徹底解説
今回講師を務めたのは、『診断戦略』(医学書院)などで知られる志水太郎先生(東京城東病院総合内科チーフ)、大隅半島で地域医療を実践する田村幸大先生(大隅鹿屋病院内科部長)、亀田総合病院で研修医教育に携わる佐田竜一先生(亀田総合病院総合内科部長代理)の3人。医師として働く上での心構えから、実際の症例をもとにしたケーススタディまで、それぞれの立場から講演しました。
開催の意義について代表の笹本浩平さん(京都府立医科大学6年生)は、「(大阪どまんなかに参加することが)医学生や研修医にとって、ロールモデルになるような先輩医師と出会ったり、大学や職場の枠を超えた横のつながりをつくったりするためのきっかけになれば」と語りました。
「57歳・発熱・おう吐・腹痛」こんな時、どうする?―志水先生がレクチャー
最初の講義を行ったのは、東京城東病院の総合内科でチーフを務める志水先生。「発熱・おう吐・腹痛を訴えている57歳の男性が救急搬送されてきた」という設定で、どんな対応が必要かグループごとに話し合う実践的なワークショップを行いました。
志水先生は、「問診による病歴の把握と、フィジカルアセスメントは非常に重要。一刻を争う救急医療の現場では、その両方を同時に進めなければならない」と指摘。差し迫った状況下で、どのように思考しながら患者さんと向き合うべきかなど、救急現場における心得についても語りました。
「最善とは言えない環境でやった仕事に一番誇りを感じる」―田村先生が語る地域医療の魅力
次に登壇したのは、鹿児島県・大隅半島で地域医療に取り組む田村幸大先生。田村先生が勤務する大隅鹿屋病院は、周辺に急性期病院が少ないこともあり、軽症から重症患者まで幅広く診ざるを得ない環境。田村先生は、医師6年目に着任して以降、同院で総合内科の立ち上げなどにも携わってきました。
田村先生は、これまでのキャリアを振り返った上で、「スティーブ・ジョブズは、『最善とは言えない状況でやった仕事に、一番誇りを感じる』という言葉を残している。大隅半島も確かに最善とは言えない環境かもしれないが、そういう中で積み上げてきたことが自分にとって大きな自信になっている」と語りました。
トライアングルモデルで探る感染症治療のポイント―佐田先生が解説
最後に登壇したのは、亀田総合病院で研修医教育に携わる佐田竜一先生。感染症の症例を「患者背景」「対象臓器」「原因微生物候補」の3つに整理して適切な抗菌薬を導き出す「トライアングルモデル」のワークショップを行いました。
参加した医学生からは、「普段医学部で学んでいることが現場でどのように活きるのかが分かった」「他大学の医学生がどのくらい勉強しているのか分かって刺激になった」などの声が挙がりました。
今後も定期開催予定の「大阪どまんなか」
今回が4回目の開催となった「大阪どまんなか」。1日かけて3つの講演とワークショップをじっくり体験したことで、終盤には参加者同士が打ち解けた雰囲気になっていたのが印象的でした。
次回の「大阪どまんなか」は、2015年10月3日(土)に開催予定。「日常を飛び出して外部の人ともつながりたい!」「有名講師の話を聞いて新たな発想に出会いたい!」―そんな方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。