99床とコンパクトだからこそ、1人1人が主軸になれる環境

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99床とコンパクトだからこそ、1人1人が主軸になれる環境

地域医療の最前線で活躍できる総合診療専門医・家庭医を目指して

【総合診療専門研修とトランジショナルイヤー研修】

取材日 : 2024年5月

1978年に開設された医療法人岐阜勤労者医療協会 みどり病院(岐阜市)は、地域に根ざした医療を貫く医療法人として、「総合診療」黎明期から全人的な医療を実践してきました。2020年度からは、初期研修には参加せず、総合診療科専門研修の基幹病院として、専攻医育成に力を注いでいます。
そして2024年5月7日には、新築移転で設備を大幅に改善し、病室増加・各ベッドに窓を設置するなど、より快適でセキュリティを強化した施設に生まれ変わりました。


同院では総合診療専門研修だけでなく、原則1年間のトランジショナルイヤー研修にも注力しています。専門研修プログラムを開始する前に「もう少し内科を深く勉強したい」「ブランクがあるからゆっくり学びたい」等、3年目以降をどう過ごすか悩んでいる全国の医師から問い合わせがあり、この研修を受けるために同院の門を叩いています。


99床とコンパクトだからこそ、1人1人が主軸になれる環境で、現場で使える技術力と総合力を習得できます。地域医療の最前線で皆さんのキャリアを進化させませんか。


また、福利厚生としてテニスやバレー、サッカー、楽団等の活動費の補助もあり、休日は職種の壁を超えて趣味の時間を楽しみたい!という方にも魅力ある環境が整います。

外観
外観

地域医療の司令塔を担う同院で『総合力』を学び、身につく主治医力


同院が位置する岐阜市東部の高齢化率は2045年の全国平均(推計)と同等の水準に達しており、65歳以上の高齢化率はすでに40%を超えています。これらの地域特性を踏まえて、高齢化に対する診療ができる医師の育成のため、外来・入院・退院・往診(訪診)等の一連の流れで診ることができる環境がここにはあります。
さらに、新病院になって設備が充実し、院内の急性期・地域包括ケア・リハビリ病床での1病院完結型で医療の質も向上しました。


また、院外には三次救急病院から専門医療機関、介護事業所などの社会資源が揃っているだけでなく、都市部と比べて医療機関・施設の数がちょうどよい環境です。そのため、『連携先がない』『連携先が多すぎて把握できない』と悩むことがありません。みどり病院で診るべきなのか、それとも専門機関につなぐべきなのか、専門機関に繋ぐとしたらどこに繋ぐのがベストなのか?といった選択をする司令塔のような役割を担っています。

今年の4月から総合診療科の専攻医になられた若原先生に、同院の研修環境についてお伺いしました。


若原有紀 先生(専攻医1年目)

若原 有紀 先生
医師3年目、総合診療専攻医1年目 ※取材当時


「総合的に勉強はできるので一つの症例をゆっくり勉強したい人には向いていると思います。救急のようにとにかく数をこなしたいとか、バリバリやりたいという人には合わないかもしれませんが、かかりつけ医に必要な総合力を着実に学べる環境です。 また、診療科の垣根が少なく、ほぼ医局に先生が集まっているので相談しやすい環境です。秋には病院のお祭りで『みどり健康祭り』があり、地域の患者さんとコミュニケーションを交わす機会があるようです。是非、そういう機会にも積極的に参加したいと思っています」(若原先生)


指導医の西尾先生も、地域医療に携わる医師として「地域に関わることを全て経験しておくと良い」と話します。


西尾大樹 先生(総合診療専門研修指導医、プログラム責任者、副院長)

西尾 大樹 先生
総合診療専門研修科指導医、プログラム責任者、副院長 ※取材当時


「地域の行事で患者さんと会うことや、外来で来た患者さんと新年会の予定を話すようなこともあります。患者さんと関わり続けることで地域医療において必要なコミュニケーション能力が学べる環境だと思います」(西尾先生)

若原有紀 先生(専攻医1年目)

若原 有紀 先生
医師3年目、総合診療専攻医1年目 ※取材当時

西尾大樹 先生(総合診療専門研修指導医、プログラム責任者、副院長)

西尾 大樹 先生
総合診療専門研修指導医、
プログラム責任者、副院長 ※取材当時

「地域・家族・患者さん」と関わり続けることがやり甲斐


みどり病院総合診療専門研修プログラムでは、①総合診療専門研修Ⅰ(外来診療・在宅医療中心)、②総合診療専門研修Ⅱ(病棟診療、救急診療中心)、③内科、④小児科、⑤救急科の5つの必須診療科と選択診療科で3年間の研修を行います。

同院で総合診療研修プログラムを修了し、家庭医の専門医取得を目指している水野先生は、進路に悩んでいる方や地域医療で他職種連携のやり方に興味を持っている方に最適の研修環境だと話します。

「初期研修の時に患者さんが途中で転科して、最後まで関われないことがモヤっとしていました。患者さんに色んな問題が起きてもずっと主治医でいられる働き方というのを探した時に『総合診療』という働き方が診療所の医師のようで、理想のイメージとマッチしました。自分主体で色々やっていきたいという方にも向いていると思います。また、コメディカルとの距離が近くて、情報共有をして治療方針を決められるのはすごい勉強になると思います。
プログラムでは、2・3年目は4つの連携施設にて研修を行い、プラス1年学ぶと、そのまま家庭医のサブスペも取得できます。1つの医局に全科の医師がいるため、様々な疾患について調べて相談して治療ができる、チーム医療の環境が整っており、その中心で研修ができています」(水野先生)


水野佑一先生(医師6年目)

水野 佑一 先生
医師6年目、家庭医プログラム研修4年目、
総合診療研修プログラム修了 ※取材当時


「総合診療医は『地域・家族・患者さん』と関わり続けることが役割であり、やり甲斐を感じるところです。例えば、外科医の先生であれば疾患に対しての治療しか行わないので、治療が終わってしまえばそこで終わりですが、20年程この地域で総合診療医の仕事をしていると、子供だった患者さんが成長して大人になり、自分の子供の付きそいとして来院することがあります。 また、介護していた側が介護される立場になり、主治医として対応することもあります。このような人生のサイクルを体験できます。総合診療医は続ければ続ける程、患者さんと関わり続けられることができて、面白さを感じられる仕事です」(西尾先生)

水野佑一先生(医師6年目)

水野 佑一 先生
医師6年目、家庭医プログラム研修4年目、
総合診療研修プログラム修了 ※取材当時

トランジショナルイヤー研修は、キャリアをつなぐ「ビルドアップ」


同院では原則1年、内科を中心に希望の研修を行い、専門プログラムに乗らずに自分の適性に合っている分野や、深めていきたい領域を見出していくトランジショナルイヤー研修をご用意しています。
研修後はご自身の望む専門分野に進むことも、同院の総合診療専門研修プログラムを選択することもできます。

現在、研修を受けている医師6年目の脇田先生は、「メインの内科疾患を数多く網羅している同院で、研修し直したい」という思いから、トランジショナル・イヤー研修を利用しています。

「初期研修中、外科や産婦・小児科等は外部での研修を行ったのですが、そこで改めて、自分のペースで着実に成長できる当院で内科医としてキャリアを積んでいきたいと実感しました。ただ、地域医療を深めたいという思いはあるものの、実際に専門プログラムを選択するうえでは不安もありました。本当に自分に合う診療科なのかと実感できずに悩んでいる時、当院ではトランジショナル・イヤー研修としてもう一年、内科を中心とした研修で在籍させていただけると伺いました」


脇田 健史 先生(医師6年目、トランジショナル・イヤー研修)

脇田 健史 先生
医師6年目、トランジショナルイヤー研修 
※取材当時


実際に研修を受けていく中で、脇田先生は同院での研修をどのように感じでいるのでしょうか。

「99床と全国で比べても小規模な病院ですが、だからこそ地域に根ざした医療が学べる環境です。積極的に学びたいという方は、やれることは多分ほとんどできると思います。仕事を進める上で必要な総合的に考える癖を身につけられる訓練ができることが魅力です。小規模な病院だからこそ、悩んでしまってもすぐに質問できるから、その分成長のスピードが早いと思います」(脇田先生)


脇田先生は、将来的には「患者さんの差別は絶対にしない医師になりたい」「地域に愛されて誰でも気軽にきてくれるような病院を目指したい」と、研修を通してご自身の目指す道が明確になったそうです。

指導医の大塚先生は、内科に戻りたいという方が何年目であろうと、希望される方とまずは面談をして「熱意があれば是非歓迎したい」という想いで、出身大学、出身病院、初期中断者等、一切問わず医師を受け入れています。

「初期研修2年目だと基礎的な臨床能力についてまだちょっと不安があるとか、『専門分野をまだ決められない』という先生がいらっしゃれば、是非うちで地域医療について学びながら一緒に土台を作っていけたらと思っています。中には研修を終えてからブランクがあってリハビリ的な意味でトランジショナルイヤー研修を利用している方もいます」(大塚先生)


大塚 健太郎 先生(透析センター医長、腎臓内科トランジショナルイヤー研修の指導医)

大塚 健太郎 先生
透析センター医長、腎臓内科
トランジショナルイヤー研修の指導医 ※取材同時


また、大塚先生は、同院のトランジショナルイヤー研修のキャリアにおける意味をこう話します。

「サッカー用語に『ビルドアップ』という言葉があります。自陣後方からボールをつなぎ、ゴールを目指すことを言います。トランジショナルイヤー研修は、初期研修から専門研修さらにはその先のキャリアをつなぐビルドアップです。医師として着実に力をつけることで、自信や自己効力感が高まり、将来に向かって進むことができるのです」(大塚先生)

脇田 健史 先生(医師6年目、トランジショナル・イヤー研修)

脇田 健史 先生
医師6年目、トランジショナルイヤー研修 
※取材当時

大塚 健太郎 先生(透析センター医長、腎臓内科トランジショナルイヤー研修の指導医)

大塚 健太郎 先生
透析センター医長、腎臓内科
トランジショナルイヤー研修の指導医 ※取材同時

地域医療の最前線で活躍できる総合診療専門医・家庭医を目指して


社会人経験のある医師や初期研修途中から入職する医師など、様々な経歴も持った幅広い年齢層の研修医が一歩一歩確実に成長できるよう、同院では多職種連携を意識した院内研修や岐阜大学のカンファレンスへの参加、他医療機関との密接な連携など、“総合診療医として偏りのない医師”を目指す環境が整っています。

「対象となる患者さんは高齢者・多疾患の方が多く、リエゾンチームやリハビリ科との連携は欠かせません。将来主治医になった時にどんな状況でも患者さんを最期まで診られるようになる力を身につけたい方に、当院での研修をおすすめしたいです」(大塚先生)


【下記に当てはまる方には特にオススメ】
・地域医療への志向性が高い
・総合的な内科の力を高めたい
・最後まで主治医として患者さんを診たい


西尾 大樹 先生(総合診療専門研修指導医、プログラム責任者、副院長)

西尾 大樹 先生
総合診療専門研修指導医、プログラム責任者、副院長 ※取材当時


「“To teach is to learn twice.”( 人に何かを教えるときは、自分が知っていることでもいくらか準備をするものだから、結果としてもう 一度勉強することになる)という言葉があります。研修医が来てくれることは私の学びにもなるので、ぜひ来てもらった上でその人に何があっているのか、何が得意で何が苦手かということも、私が指導しつつ一緒に学んでもらいたいと思っています」(西尾先生)

新設したみどり病院なら充実した設備とセキュリティが整う環境で、主体的に地域医療を学ぶことができます。地域医療の最前線で総合診療専門医を目指したい方にも、トランジショナルイヤー研修で1年間じっくり学びたい方にも、着実にキャリアを成長させる環境が待っています。

西尾 大樹 先生(総合診療専門研修指導医、プログラム責任者、副院長)

西尾 大樹 先生
総合診療専門研修指導医、
プログラム責任者、副院長 ※取材当時