滋賀県では、人口以上に研修医、専攻医の人数が急激に増えて大きな伸びを見せています。

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人口以上に研修医・専攻医数を大きく伸ばした県 – 滋賀県

日本全体で少子高齢化による人口減少が続く中で、人口が増加基調にある滋賀県。ここ数年は微減ではあるものの、最近まで東京都、愛知県、神奈川県、福岡県などの大都市圏域の都県と並んで、「近畿圏では唯一人口増加を示した」ことで話題となりました。,500件の救急車受入件数を誇るほか、2019年には全国で14施設しかない地域がん診療連携拠点病院(高度型)にも指定されました。

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滋賀県人口増減率のグラフ

出典:滋賀県ホームページ https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/tokei/jinkou/maitsuki/300279.html より

その滋賀県では、人口以上に研修医、専攻医の人数が大きな伸びを見せています。

マッチ率と県内定着率の推移

2016年以降、それまで年75名程度であった研修医の人数が年100名規模に。研修医の増加と共に、専攻医数も2018年以降、同じく年75名程度から100名規模に。初期から後期にかけ、約30名が県外に出るものの、その分また、県外から流入しています。

これだけの医師を惹きつける裏側には何があるのか―。滋賀県病院協会の石川浩三会長、滋賀医科大学医師臨床教育センターの山原真子副センター長、総合診療科で5名もの専攻医を惹きつけた近江八幡市立総合医療センター/滋賀家庭医療学センターの徳田嘉仁先生、そして、現役専攻医の奥末理知先生、弓削大貴先生と共に、その背景に迫ります。

患者さんとのつながりが、「働きやすさとやりがい」を生む

奥末先生 ちょうど私は県内の初期研修医が増えた時期に初期研修医が始まった世代です。その頃は「専門医制度がどうなるかわからないから大学に残っておこう」という心理が働く人が多かった。残らないといけないと思って残ったら、滋賀県がなかなか良かった。それが県外出身者の私が、滋賀県で医療を続けているきっかけになっています。

奥末理知先生
滋賀医科大学 泌尿器科 専攻医1年目
福岡県出身。滋賀医科大学卒。近江八幡市立総合医療センターにて初期研修。
初めて見た手術がda Vinciによる泌尿器科症例だったことがきっかけで泌尿器科の道に。夢は女性泌尿器科外来を立ち上げること。

奥末理知先生

徳田先生  滋賀は患者さんがいいですよね。あと、医師数が過剰でもないし、切羽詰まっている訳でもない。仕事を頑張れるかどうかは、「働きやすさとやりがい」だと思うんですが、過剰感がないから患者さんに頼りにされる、頼りにされるから力がつく。そんな患者さんとのつながりが、縁あって滋賀に来たらそのまま残っちゃう背景にあると思います。

徳田嘉仁先生
近江八幡市立総合医療センター 救急・総合内科/滋賀家庭医療学センター
滋賀県出身。大阪医科大学卒。沖縄県立南部医療センターにて初期研修。
現在は、近江八幡市立総合医療センター/滋賀家庭医療学センターにて救急×家庭医として勤務する傍ら、家庭医療学的なマインドを持つ医師の育成に情熱を注ぐ。

徳田嘉仁先生

やりたいことが見つかる、やりたいことができる

徳田先生 とにかく医師は、早い段階で専門=やりたいことを見つけなければならない、という私は初期研修を3年やりましたが、やりたいことが見つかるかどうかって、どれだけ広く、多く経験するかで決まるんですよね。キャリアって偶発的必然性を伴うので、その偶然をどう引くかにかかっている。そういう点では1つの医療圏に1つの病院しかない地域が多い滋賀は、疾患に偏りがないので、幅広く経験でき、結果として自分だけのスペシャルインタレストを見つけやすい。都市部の病院はどうしても医療機関が密集してしまうので疾患に偏りが出る。

奥末先生 専攻医もほどよい人数なので、オペに入る機会、処置をさせてもらえる機会も多い。「女性の泌尿器疾患は全部かかわらせて欲しい」なんて希望も聞いてくれます。手術・手技は、都市部で研修している先生よりも経験できたと思いますし、やりたいことができています。

弓削先生 確かに、専攻医1人あたり症例数は多いですよね。市中病院でも希少疾患に遭遇する機会がけっこうあります。

弓削大貴先生
市立大津市民病院 内科 専攻医1年目
大阪府出身。京都府立医科大学卒。京都府立医科大学にて初期研修。
全身を診、患者さんの背景を診る、に惹かれ、糖尿病内科の道に。京都府立医科大学医局に所属し、市立大津市民病院にて勤務。

弓削大貴先生

結婚・出産と両立させたい先生だけでなく、全国をまたにかけたい先生にも魅力

徳田先生 個人的には立地も滋賀に定着する要因だと思っています。米原と京都に新幹線が停まるので、関西、名古屋、東京にも行きやすい。北陸も活動圏内に入ります。私は毎週末、全国飛び回っていますが、アクセスに不便を感じたことはありません。

山原先生 家賃や物価も安く、アルバイトの数も多いし時給も高め。院内保育のある病院も多いですし、車で通勤できる。大学病院だけでなく、市中病院でも時短勤務ができるところが多いですし、都市部と違って大きな公園も遊具もキャンプ場もショッピングモールもあるので、子育てはしやすいですよね。

徳田先生 子供がある程度大きくなっても、京都の進学塾に通えるし、滋賀は偏差値が高く、進学率もいい高校が県内まんべんなくある。

山原真子先生
滋賀医科大学 腎臓内科/医師臨床教育センター 副センター長
滋賀県出身。滋賀医科大学卒。滋賀医科大学にて初期研修。
腎臓内科医として勤務する傍ら、滋賀医科大学医師臨床教育センター副センター長として、研修医・専攻医をサポート。

山原真子先生

「大事にされている」実感

徳田先生 滋賀は院内だけでなく、病院間の垣根も低い。というよりも、「各科」という概念がない。1つの医療圏に1つの病院しかない地域も多いので、喧嘩にならない、というよりも、協力しないと維持できない。それ故、他人事的な発言をする先生が少ないと思います。

山原先生 お金だけではなく、手間をかけて医師不足を解決しようという雰囲気がありますよね。奨学金の受給を受けた学生や研修医が不安にならないよう、県のキャリアサポートセンターが中心となって一緒にキャリアプランを考えてくれたり、研修期間に出産が重なってしまって自信を持てない先生に色々な科を経験する機会を用意するなど、女性に対する支援も他県に先駆けて行われていました。
研修医が全員集まる機会だけでなく、開業医の先生をはじめとする県内の医療従事者がメンターになる里親制度があったり、専攻医が初期研修医に対して「どうやって初期研修を乗り切ったか」の体験談を話すイベントがあったり、上下で交流する機会も多い。患者さんだけでなく、医師同士のつながりがあり、それを大事にしている。

徳田先生 行政の支援も手厚い。そして、何より知事が真剣に地域医療に向き合っている。私は初期研修で沖縄に行っていた時、当時の知事から手紙をいただいたこともあります。

全員が顔を合わせられるコンパクトさと意識の高さが、「普通ではない結果」につながる

石川先生 「研修医数が増えた」という点では、単に定員枠が増えたからだけではなく、私は「応募数とマッチング率が上がっている」点を評価しています。人数もマッチング率も上昇し始めた2015年以降は、県の病院が一丸となって、琵琶湖のクルーズ船を借り切った合同説明会や、県内の臨床研修病院をまわるバスツアーを企画し、運営してきました。
何せコンパクトな県なので、県下に57病院しかない。病院協会の総会には8割の会員が出席し、定期的に顔を合わせられる間柄です。故に意思疎通もしやすく、企画立案の相談も容易です。だから思い切ったことができたし、より良い「普通ではない結果」が出せる。あとは「県の意識の高さ」です。滋賀県には、厚労省が示された医師偏在指標による「医師少数区域」はありませんが、現実には医師の少ない地域があります。地域医療の担い手として新人医師への期待度は高く、その成長をサポートしていこうという気運もまた高いのです。

石川浩三先生
滋賀県病院協会 会長/大津赤十字病院 院長
京都大学医学部卒。1977年から形成外科医、1980年から整形外科医のキャリアを積み、2014年より大津赤十字病院、院長。院長業務の傍ら、滋賀県病院協会、会長として、県内57病院を束ねる。

石川浩三先生

ほどよい人口が幅広い疾患に出会える環境を生み、やりたいことの発見につながる。患者さんが医師を頼り、医師は患者さんからやりがいをもらい、そんな医師を行政が支える。そして、若手医師の「やりたい」を皆で応援する。滋賀に出会ってしまった医師は、こうしてその魅力にはまっていくようです。

先生たち
石川浩三先生

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