ママドクターが常勤医として働ける!?
最初にお話を伺ったのは医師7年目、1歳半の子どもの育児と仕事を、常勤医として両立できる環境を求め、4年前に松波総合病院に入職した矢島久美子先生。
「今日まで、勤務時間の微調整や当直免除など、フレキシブルな対応をしてもらえたことで、常勤医として働き続けています。
キャリアに多少は犠牲が出ると覚悟していましたが、指導医の配慮でわずか1年で内科認定医に必要な症例がすべて揃いました」
学会についても、育児中は遠方で開催されるものには行きづらいもの。同院では頻繁に著名な医師を招聘して院内講演会が開かれているため、文献だけでは得られない知見を学ぶこともできているそうです。
“スーパーケアミックス”の実践に最適な「総合プロブレム方式」
患者本位の医療を行いたい医師、病院は多いと思いますが、その想いを実現するため、同院が特に注力するのが総合内科。
「実は“最良の医療”が患者にベストとは限りません。患者は医学的な問題だけでなく、多様な社会背景を持っているからです。家庭や経済的事情も踏まえた、患者に“最適な医療”。主治医機能ともいえるこの役割を担えるのは、俯瞰的な視点をもつ総合内科なのです」。
そう話すのは同院で内科部長と総合内科部長を兼任する村山正憲副院長。
「一方で総合内科は、専門診療科に比べてカバー範囲が広いだけに、全身をバランスよく診察するための工夫が必要です。そこで当院では、患者がこれまで罹患したすべての疾患を時系列にリストアップする“総合プロブレム方式”と呼ばれるカルテの記載方法を採用しています。
総合プロブレム方式の利点は、それぞれの疾患の過去、現在を管理できる上、未来を予測しやすくなる点にあります。加えて『肺癌の疑いあり』のような“予測”ではなく、“客観的事実”だけをカルテに書くため、バイアスを取り除くトレーニングにもなります」。
総合内科を松波総合病院で学ぶ理由
村山副院長は、“何故松波総合病院が総合内科を学ぶのに適しているのか”について次のように説明します。
「診療科間の連携は、各診療科から知識を得る意味でも必須です。つまり、他科の先生とコミュニケーションしやすい環境が必要なのです。その環境が当院にはある。
さらに当院では、若手医師を頭ごなしにけなすような批評をしないよう、指導医への指導も行っています。こうした取り組みが、若手医師が活発にディスカッションでき、総合内科と専門診療科の連携がうまくいく環境を作り出しています」。