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新専門医制度下、“市中で後期研修を受ける”という選択肢

地域で活躍する専門医を育成する中濃厚生病院

 2018年度の本格開始を控えた新専門医制度において、市中病院は大学病院とどのように特色を出し分け、研修体制を整えていくのでしょうか。昨年度、いち早く後期研修プログラムの刷新を行った中濃厚生病院での取り組みを紹介します。

豊富な症例数と科目の垣根を越えた“日本どまんなかプログラム”

 岐阜県で最も人口あたりの医師数が少ない岐阜県中濃地域で10万人規模の患者を支えながら、「地域でがんばる専門医」の輩出を通じて岐阜県全体の専門医育成に貢献する同院。 新専門医制度体制においては、地域の特性を活かした後期研修を行うべく、勝村直樹副院長(内科部長)主導のもと、「日本どまんなかプログラム」を立ち上げ、プライマリ・ケアから2-3次救急まで“広く厚い経験“を積める環境を整えました。

 中濃地域で長年診療に携わり、同院の研修体制構築に貢献してきた赤松繁副院長は、その特徴を次のように話します。

「後期研修では、内科や外科領域の基礎を築いた上に、消化器や呼吸器、循環器など臓器別の専門性を身につけるのが一般的。それに対し、臓器別の専門性を垣根なく磨けるのが、当院の一番の特徴です。十分な症例数があり、診療科ごとの縄張り争いもありません。

 科目横断的な経験を積めることに加え、Common Diseaseから大学病院レベルの重症例の治療にまで携われるのも大きなポイントでしょう。麻酔科では外科系各科の手術麻酔、ICUにおける重症患者管理、ペインクリニック外来における痛みの治療を行っています。集中治療部は、スーパーICUとしての認定を受け、24時間365日体制で常駐している集中治療専門医・救急科専門医・麻酔科専門医からバックアップを受けながら重症患者管理や集中治療についても実地で学べます」

 このほか、連携先の津保川診療所では僻地診療や在宅診療を、病棟では超急性期から回復期、緩和ケアまでをといったように、同院ではあらゆる段階の医療が経験可能。各科それぞれが岐阜大学、名古屋大学、名古屋市立大学と連携して研修を行っているため、研修の一部をこれらの病院で行うことも可能となっています。

 内科系が充実している同院の研修プログラム。中でも、「消化器病センター」と「呼吸器病センター」の中核である消化器内科と呼吸器内科はその代表格。今回は両科の指導風景を取材しました。

勝村直樹副院長

赤松繁副院長

研修医

主治医として患者を診る目を養う―消化器内科

 現場の医師から「研修医一人あたりの症例数は県内トップクラス」と称される消化器内科。炎症疾患や各部のがんといった専門治療をはじめ、内視鏡といった先端技術まで実施しており、大学病院とほぼ同じ高度症例が経験可能です。同科では後期研修1年目から主治医を任せることで、飛躍的に成長できる環境を整えています。

「後期研修の最初の2年間で内科専門医試験受験要件の56疾患160症例群を経験し、残り1年間は専門性を磨くもよし、他科の症例を学ぶもよしというプログラムとなっています。

 患者さんに寄り添った医療を行うためには、ある程度ジェネラルにできるのが大切。そして、主体的に患者さんとの良い関係を築き、表に出にくいニーズを掘り起こして解決することが医師としての成長につながります」(勝村直樹副院長)

 後期研修2年目の宮地加奈子先生は、そんな勝村副院長の指導で、医師としての経験を着実に積めているといいます。

「指導医や上級医に日ごろ言われるのは、『幅広い疾患を診られる、患者さんに寄り添える医師になりなさい』ということ。専門性に関することはもちろん、自分の長所も短所も指摘してもらえるのは励みになります」(宮地加奈子先生)

 こうした方針のもとで、“臓器を診るだけではなく患者さんに寄り添う医師“を実践する宮地先生は、臨床で印象に残っていることを「末期がんの患者さんの主治医を受け持ったとき」と語ります。

「実際に、患者さんと病状の双方への理解を深めるために毎日、何度も何度も病室へ顔を出していました。残念ながら亡くなってしまったのですが、その際、ご家族から感謝の言葉をいただけたのはうれしかったです」

内視鏡

宮地加奈子先生

病態の転帰まで一貫して学べる―呼吸器内科

 呼吸器センターでは、呼吸器疾患の手術や放射線治療、PET検査を含む診断から緩和ケアまで手掛けています。対象とする疾患も幅広く、肺がんや間質性肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)による呼吸不全、アレルギー性肺疾患など、呼吸器系のほぼすべての疾患を網羅。専門医取得に必要な症例が自然と集まる環境が整っています。

 呼吸器内科医長を務め、指導医としても活躍する神谷文彦先生は、同院の初期・後期研修を経て呼吸器内科専門医を取得した一人。研修体制の魅力を次のように語ります。

「郊外に位置する基幹病院として、2-3次救急の最前線を担う当院では、Common Diseaseだけでなく、人工呼吸管理が必要な重症例も豊富。プライマリ・ケアはもちろん、気管内挿管や人工呼吸管理、症状が落ち着いてからの退院支援まで、幅広い経験が積めます。病態の転帰を一貫して学べることは、呼吸器内科医として成長するうえで大切なことだと思います」(神谷先生)

 現在後期研修1年目で主治医経験を積み始めたばかりの魚津弘樹先生に、研修の雰囲気を聞きました。

「わからないことは質問しますが、自分一人で対応できそうなことは任せてくれるので責任感とやりがいを感じています。いつでも上級医の先生が相談に応じてくれるので、疑問点を残さず毎日を送れています」(魚津弘樹先生)

神谷文彦先生

市中病院だからこそ、地域で活躍できる医師を育成できる

 指導医一人ひとりが、持論を持って若手指導に携わる同院。若手指導にここまでこだわる理由を呼吸器内科部長・安田憲生副院長は次のように説明します。

「私たちが若い医師を教育するのは彼らのためだけではなく、院内全員で成長し、患者さんにより良い医療を提供するためです。中濃厚生病院は研修医、10年目・20年目の医師、管理職がいて初めて成り立っている。研修中の先生には非常に大きな期待をしていますし、機会を活かして飛躍してほしいと願っています」(安田憲生副院長)

 最後に鷹津久登病院長にも、研修体制にかける思いについて聞きました。

「基幹病院として当院が目指しているのは、地域の患者さんが安心して暮らせる環境づくりです。救急医療と内科・外科の一般診療はもちろん、集中治療を含めた3次救急にも対応できる体制を整えることで、地域の幅広いニーズを満たせると考えています。若い医師には、専門医になる前に一人の医師として、患者さんと向き合う経験を多く積んで欲しい。増大する地域の医療ニーズに対応するために、“専門知識を持ちながらも、自分の専門外の領域にも柔軟に挑む医師”を当院から輩出していきたいです。地域で活躍できる医師を、大学に頼るのではなく地域で育てていける病院になることが、今後の中濃地域を支えるために不可欠だと考えています」(鷹津久登病院長)

 来年度からは、内科、総合診療科だけでなく、麻酔科も基幹病院として専門医取得が可能となる同院。新専門医制度下での地域中核病院として、同院の研修医にはますます活躍の場が広がりそうです。

安田憲生副院長

鷹津久登病院長

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