研修医はロールモデルとメンターを見つけ出そう 総合内科の魅力とキャリア vol.3【総合内科・徳田安春先生】

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リーダー経験は35歳までに

総合内科医としてのキャリアを歩む上で、わたしにとって大きな転機になったのが、1997年でした。最後に、その当時学んだことを、みなさんにシェアしたいと思います。

1997年に沖縄県立中部病院で総合内科を立ち上げたとき、私はチームリーダーでした。当時34歳でグループのヘッドを務めたということになります。ぜひ皆さんにも、35歳までにはグループリーダーになって欲しい。言い換えると、そのくらいの覚悟で医師としての仕事に取り組んでほしいのです。無理して下剋上をする必要はありませんが、新しい取り組みにも果敢にチャレンジしてほしい。

どうすればリーダーになれるでしょうか。たとえば、わたしの場合、沖縄県立中部病院に総合内科のスタッフが一人もいなかったため、総合内科の立ち上げスタッフに名乗り出た瞬間からリーダーになりました。新しい取り組みに手を挙げれば、その瞬間からあなたはリーダーです。もちろん簡単なことではありません。わたしのときは、10数人いた内科の先輩方の中での立ち上げとなりました。勇気のいることですが、みなさんにもそのくらいのチャレンジ精神でやってほしいと思っています。

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ロールモデルでキャリアの方向づけを

若いうちからリーダーを任される上で、重要だと思うことが2つあります。

1つは、ロールモデルとなる人を見つけることです。そうすることで、自分の活動やキャリアの方向付けができます。

わたしはチーフレジデントをやることになった医師4年目まで、腎臓内科の道に進むつもりでした。そこへ身体所見で著名なジョセフ・サパイラ先生が来日し、身体所見と病歴で診断する姿を目の当たりにして、自分も先生のような総合内科医になりたいと思うようになりました。わたしの初めてのロールモデルになったわけです。

ところが当時、院内には総合内科がありませんでした。そんな中で「総合内科を始めたい」と言った若輩の医師を、当時の院長先生はじめ、周りの先生が後押ししてくれたのが1997年です。そこから、わたしの総合内科のキャリアが始まり、今に至ります。

みなさんにも、ロールモデルを見つけて彼ら、彼女らの活動を参考にすることで、医師としてどのような役割を果たし、どのような経験や研究活動をしたいのかを、選んでいただきたいと思います。

メンターを見つけ出せ

若いうちから活躍するためのもう一つのポイントが、メンターを持つということです。ロールモデルを参考にしながら自分のキャリアを方向づけても、日々ぶつかる壁があると思います。そのときに相談できるメンターがいると、くじけずに一歩ずつ前進することができます。

ロールモデルのお話をしましたが、ロールモデルは、会ったことのない方でも構いません。わたしのロールモデルの一人、コロンビア大学医学部長のリー・ゴールドマン先生には3回程度しか会ったことがありません。

それに対して、メンターはいつでも相談でき、フィードバックをしてくれる方のことを言います。相談相手ですから、自分のパーソナリティに合った人を見つけられるかが重要です。メンター候補として真っ先に挙がるのは、普段一緒に仕事をしている指導医の先生や先輩のシニア・レジデントでしょう。何か悩みがあったときに連絡を取りやすい点が魅力です。

他には、病院が違っても、同じ専門領域で活躍している人に近づくのも一つの手です。たとえばわたしは各地で勉強会をしていますが、以前わたしにずっとついて回る研修医がいました。彼の熱意は十分に伝わってきましたので、わたしは自分の知っていることを徹底的に教えました。ちなみにそれが、総合内科医・教育者として活躍している志水太郎先生です。もしもメンターをお願いしたい人がいれば、積極的にアプローチする手もあるわけです。

わたしも今まで何人もの方々にメンターになっていただきました。50歳になった今でも、悩みがあれば医学教育に詳しいピーター・バーネット先生などにメールやスカイプで相談しています。みなさんにも、ぜひ良いメンターを見つけてほしいと思います。

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