「あの患者さん、どうなった?」研修医の成長を加速させる“Decision-Outcome-Recalibration” 明日から役立つ臨床推論!vol.4【総合内科・徳田安春先生】
研修医のみなさんがこれから研修を進めていく上で、ぜひ実践していただきたい工夫をお教えします。
それは、パトリック・クロスケリー先生というカナダの医師が発案した“Decision-Outcome-Recalibration”という手順です。臨床現場でみなさんがある診断を下すと、何らかのアウトカムが出てくると思います。そのアウトカムが予測通りに進んだかどうかを検証するというものです。彼はER医の立場から書いていますが、総合内科の分野はもちろん、ほかの診療科の医師にも活用できる内容になっています。
週1回は診断内容の再検証を
診療後のアウトカムは予測通りなこともあれば、残念ながら予測に反した“Unfavorable”なこともあります。“Unfavorable”なアウトカムが得られたときに重要なのは、自分の判断を再検証すること(Re-calibration)です。
週1回で良いですから、過去1週間自分が救急・初診外来等で診た患者さんがその後どうなったか、カルテを見直してみて、その後のアウトカムを検証してください。ある程度習慣にしてやったほうが良いでしょう。
たとえば、カルテを開けてみて、「先週の初診外来で、患者さんを軽症肺炎と診断して帰したけれど、結局は”Favorable”だったか、”Unfavorable”だったか」などと一つずつ調べていけば、判断が妥当だったかどうかが分かります。
もし、カルテを開けて、その患者さんがその後の外来フォローを受けていなかったらどうしますか。”Unknown”として片付けることもできるかもしれません。しかし、もしかしたらこの患者さんが実は、別の病院で肺炎で入院しているかもしれません。
そんな時はぜひ、患者さんに電話してください。怒る患者さんはほとんどいません。その患者さんの結果が”Unfavorable”だったとしても、「心配して電話をしました、肺炎でお薬を持たせて返しましたが気になってお電話しました。おばあさんはお元気ですか」などと聞くだけで、ご家族は非常に感謝してくださいます。もちろん、結果が“Favorable”で、「おかげさまで、とても元気に過ごしています」という答えが得られれば、それは素晴らしいことです。
「 臨床推論で注意すべき6つのバイアス 」でも触れましたが、臨床推論に当たっては注意すべきバイアスも多く存在します。“Decision-Outcome-Recalibration”のフレームワークを用いて、自分の診たてを客観的に検証し続けることで、「自分が陥りがちなバイアス」「診断の癖」を自覚してほしいと思います。