見逃すな!ハイリスク疾患の落とし穴-除外診断してはいけないポイントは? 明日から役立つ臨床推論!vol.3【総合内科・徳田安春先生】

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見逃すな!ハイリスク疾患の落とし穴-除外診断してはいけないポイントは? 明日から役立つ臨床推論!vol.3【総合内科・徳田安春先生】

救急外来で診断訴訟件数が多い、くも膜下出血、急性心筋梗塞、急性大動脈。実は、これら3つのハイリスク疾患には、「除外診断しがちなピットフォール」が存在します。実践的な内容として、是非覚えておきましょう。

救急外来での診断訴訟 救急外来での診断訴訟

急性心筋梗塞を「除外診断できない」5つのポイント

1. 胸痛がない
2. 胸壁・心窩部に圧痛がある
3. 制酸剤で軽快する
4. 来院時心電図が正常
5. 来院時トロポニンが正常

たとえば、急性心筋梗塞は胸痛がなくても除外できません。糖尿病の患者さんの約半分には胸痛がありませんから、こうした例では注意が必要です。

胸壁に圧痛があるというのも除外できません。よく言われることでもありますが、圧痛や呼吸変動を伴う痛みで急性心筋梗塞を除外診断してはいけません。あとは、「お腹を押すと痛いから急性胃炎」と判断するのも要注意で、押すと痛がる急性心筋梗塞患者もいることを忘れないでおきましょう。

徳田安春先生

大動脈解離を「除外診断できない」3つのポイント

1. 胸痛がない
2. 両上肢の血圧に左右差なし
3. CXRと単純CTが正常

大動脈解離でも約5%は胸痛がないと言われていますし、患者は失神状態で来ることもあります。だまされることが多いこれらの項目についても、大動脈解離を除外する理由にはなりませんから、注意しましょう。

くも膜下出血を除外診断できない2つのポイント

1. 項部硬直が無い
2. 頭部CTが正常

これらもだまされやすいポイントですね。くも膜下出血や髄膜炎の場合、髄膜が刺激されることで項部硬直が起こると言われますが、発症直後は項部硬直が起こりません。また、頭部のCTスキャンが正常であっても、MRIや腰椎穿刺などで、くも膜下出血を否定する必要があります。