社会に出ることは思った以上に大変だった。
大学合格と同時に“医師”という職業が決まり、安心していたのかもしれない。大学時代は、社会に出る訓練の必要性をあまり感じなかった。アルバイトは家庭教師、ファストフード店のレジ、交通量調査、テレアポ、カラオケ店の店員と、いろいろやったが、どれも「医者になったらできないから体験してみたい!」という単純な理由だった。時には、アルバイト先で医学部以外の友人ができ、彼らの生活ぶりや考え方があまりにもわたしたちと違っていて、衝撃を受けたこともあった。でも、そのほとんどは学生の域を出ないものだったように思う。