広い田んぼの向こう側に、山と青い空が見える。幼い頃から見慣れた風景に囲まれるとき、素直な思いが湧き上がってくる。
電車の中で、わたしは祖母のことを思っていた。
わたしの母方の祖母は戦争の最中に結婚し、医師であった夫と満州に渡った。これから楽しい生活が待っていると期待に満ち溢れたことだろう。子どもも生まれ順風満帆。しかしそんな中、夫は急に病に倒れ天に旅立ち、祖母は一人本土へと戻ってきた。そして再婚、母が生まれた。
そんな話を、わたしは何度も祖母から聞かされていた。今日は大好きな祖母のところに遊びに行く。