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企画記事 転職ノウハウ

来年度の採用を目指し、医師の転職市場は“追い風”期に突入か ―求人天気予報2021年7-9月期


2021年11月11日
記事KV

編集部では2021年7~9月にかけて、m3.comCAREERに寄せられたデータをもとに都道府県と各科の求人倍率と想定下限年収を集計。直近3カ月の市場動向と、コンサルタントによる今後の見通しをお伝えします。


7~9月は全国的に転職市場が活性化


グラフ1
2021年7~9月におけるエリアごとの求人倍率と想定年収の平均額(下限)

2021年の4~6月と7~9月で比較した、エリアごとの動向は上図の通りです。求人倍率は求職者1人あたりの求人数のため、高ければ高いほど、転職先の選択肢が豊富ということを示しています。また、想定年収の下限額の平均値(以下、想定年収)は、医療機関から提示されている最低年収の平均です。実際は、経験やインセンティブによって金額がアップします。

まず、エリア別の傾向を見てみると、想定年収の上昇幅が最も大きかったのは東北地方・中国地方でプラス14万円、下降幅は四国地方のマイナス2万円が最大でした。東北地方は、前回から引き続き、上昇幅が最も大きいエリアとなっています。求人倍率も前回の7.0倍から8.1倍へと上昇しており、特に医療機関の採用ニーズが高まっていることが読み取れます。

76%の自治体で想定年収がアップ

続けて、都道府県ごとの傾向を見ていきましょう。

グラフ1
図2:2021年7~9月における都道府県ごとの求人倍率と下限年収(平均値)
※赤字:前回(2021年4~6月)から上昇した項目

4~6月に比べ求人倍率が上昇したのは、全国で31自治体でした。また、想定年収も36自治体でアップするなど、求人倍率・想定年収ともに、全国的に上昇傾向が目立ちました。新年度に入り採用ニーズが落ち着いていた4~6月と比べると、次年度入職・採用を見越して採用市場が活発化し始めていることが読み取れます。

求人倍率の上昇幅が最も大きかったのは岐阜県で、前回の3.6倍から10.6倍へと上昇しています。一方、想定年収では秋田県のプラス42万円が最大でした。求人倍率・想定年収どちらも下降している自治体は大幅に減少しており、転職を検討している医師にとっては“追い風時期”に突入したと言えそうです。

※1 求人倍率・想定年収ともに上昇した地域
青森県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、鳥取県、徳島県、高知県、福岡県、大分県、沖縄県

※2 求人倍率・想定年収ともに下降した地域
香川県、佐賀県、宮崎県

多くの診療科で、採用ニーズが上昇…想定年収の傾向は?

続けて、診療科別の傾向を見てみましょう。

グラフ1
図3:2021年7~9月における診療科ごとの求人倍率と下限年収(平均値)
※赤字:前回(2021年4~6月)から上昇した項目

求人倍率は、糖尿病系・皮膚科系以外の診療科で上昇。上昇幅が最も大きかったのはリハビリテーション科の8.6倍→10.5倍でした。上昇幅が突出している診療科は少ないものの、ほとんどの診療科でまんべんなく採用ニーズが増加していることがわかります。一方で、想定年収の上昇幅が最も大きかったのは小児科のプラス20万円です。また、外科系、眼科、内科系、麻酔科など、前回から引き続き想定年収が増加している診療科も多くなっています。

※3 前回に引き続き、想定年収が増えている診療科
外科系(一般外科)、眼科、内科系(一般内科、総合診療など)、麻酔科、糖尿病系、整形外科、リハビリテーション科

採用ニーズ増・感染者減を受け、10~12月の転職市場は活性化の見込み

これまでデータで見てきた医師・医療機関を取り巻く転職市場動向について、エムスリーキャリアで医師の転職支援にあたるコンサルタントに聞きました。

求職者の動向


「4~6月から引き続き、転職を希望される医師は増えています。昨年度の同時期は、1回目の緊急事態宣言で転職市場が止まっていた反動で、過去に無いほど市場が活性化しましたが、今年は例年通りの動きに戻っています。

『現勤務先で6ヶ月前までに退職の申し出が必要』という医師が多く、来春入職のために9月に駆け込みで転職先を決める方が多かった印象です。」(医師転職支援コンサルタント)

医療機関の動向


「こちらも4~6月から引き続きの傾向ですが、クリニックの募集が増加傾向にあります。特に複数のクリニックを運営する大手法人では新規開設に伴う募集が多数出ています。新型コロナウイルス感染者数増加の影響か、多数の患者を対応する外来クリニックよりも、訪問診療や自由診療など患者数を制限したクリニックでの募集が多くなりました。

病院の採用ニーズは大きな変化はありません。引き続き、都市部の急性期病院では採用ハードルを上げた募集が多く、買い手が強い状況が続いています。」(前出のコンサルタント)

2021年10~12月の見通し


例年どおり、年末までに転職先を決めたい医師と来年度の体制を固めたい医療機関が増えるため、転職市場は活性化するでしょう。コロナ再拡大の可能性もありますが、医師・医療機関ともにコロナ禍での転職・採用活動に慣れてきているため、例年と比べて大きな変化はないと見込んでいます。」(前出のコンサルタント)

採用のハイシーズンに突入し、また感染者数が減少傾向にあることで、転職市場は当面活性化しそうです。募集を行う医療機関が増え、想定年収も上昇傾向にあるため、転職活動を行うには良い時期と言えるでしょう。とはいえ、エリアや診療科によっても傾向が異なるため、転職をご検討の場合はまずエリア内の相場など情報収集から始めることをおすすめいたします。

【調査概要】
2021年4月~9月にm3.comCAREERおよびエムスリーキャリアエージェントに掲載されていた求人約15,000件の情報のほか、エムスリーキャリアの人材紹介サービスに登録している求職者の情報を統計処理