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企画記事 転職ノウハウ

「1円でいいから給料上げて」 真意は?―転職ドクターの本音vol.4(後編)


2021年7月12日
記事KV zoom取材に応じるO先生

初めての回復期で数々の経験をしながら、自身の取り組みたいことが具体的に見えてきたO先生。30代で在宅医療に転向することを決め、注目していた病院への転職活動を始めます。応募後、思い描いた医療ができそうか確認しつつ、面接では「1円でいいから給料上げてほしい」という希望を提示しました。その真意とは――。(取材日:2021年3月16日)
※前編はこちら


異なるタイプの在宅医療を知り、進む道を確信

――前編では、A病院に注目して、そこの求人に問い合わせたところまで伺いました。その後について教えてください。

エムスリーキャリアのコンサルタントさんから求人内容を教えてもらうのと同時に、私の状況や希望をお伝えしました。知人のクリニックをいずれ承継すること、その付近で在宅医療を経験したいことなどを伝えると、コンサルタントさんからは他の求人もいくつか案内されました。

同じ在宅医療でも法人によって診療体制、特に夜間対応が違うということで、A病院の他に、在宅医療クリニックでも面接を受けることにしました。

――同じ在宅医療でも、施設ごとに経営方針や人員体制が違って、それによって働き方も違いますよね。面接した印象はいかがでしたか。

だいぶ違いましたね。施設中心に訪問してるクリニックで、経営的には安定してそうでした。ただ、理事長が終始話していて、「決めた通りに動いてくれればいいから」という感じが伝わってきて……。帰りのエレベーターでコンサルタントさんと「(採用するのは)僕でなくていいんでしょうね」と話したのを覚えています。

タイプの違う法人に伺えたことで、A病院の良さがもっと分かるようになりました。A病院が面白いのは、在宅医療と地域包括ケア病棟を同時に持てることなんですよね。今の勤務先だと、在宅医から患者さんを渡されてお返しする間に、どうしても医療の切れ目ができてしまいます。A病院なら、自宅と病院の間を一連の流れで診れて、患者さんやご家族の状況も把握できる。地域医療を学ぶなら、これほど良い環境はないと思います。

キャリアが前進していると実感するために

――今回、土地勘のある地域で、入職したい病院も明確でした。自己応募や、知人に頼ることもできたと思いますが、転職支援会社に依頼したのはなぜでしょうか。

前回の転職でもエムスリーキャリアを利用して、実はそのときに在宅医療は提案されてたんです。そのときは大学での急性期しか経験してなくて、在宅医療に飛び込むイメージができずにいました。クリニック承継に向けて私自身が何をしたいのか詰め切れてなかったのだと思います。

結果的に、私の進みたい道をあらかじめ提案されてましたし、転職に関する情報は専門会社に集まるだろうと思って、今回も頼むことにしました。

――年収でコンサルタントに依頼したことがあるとか。

給与を1円でもいいから上げてほしいと伝えました。それがあると、キャリアが前に進んでいると感じるためです。給与額は私に対する評価と言えると思います。今の収入よりも低い金額を提示されるということは、私のことを評価いただけてないということだと思いますし、どうしても私のモチベーションにも関わってきます。

実際は1円どころか、A病院からはかなり良い条件を提示いただいたと思います。A病院にはそれでも私を手に入れようと思っていただきましたし、その期待に応えられるように、私も頑張っていきたいと思います。

――今後の展望をお聞かせください。

新しい職場では、在宅医療と地域包括ケア病棟の両方を提供できることが自分の強みになります。地域包括ケアシステムの要として、街をつくるつもりで取り組みたいです。

内定後に何回かA病院にお邪魔させてもらってるのですが、院長から言われて印象的だったのが「これからは、クリニックや病院が一緒に生き残っていく道を考えないといけないですね」という言葉です。

この言葉を聞いて、A病院のある地域でなら、患者さんのためになる一体的な医療を提供できると思いました。というのも、承継予定のクリニックで在宅医療をしようと思うと、職員育成や診療システムの構築も必要で、本当にできるかは分かりません。不確実なことも多い状況ですが、それでもこの地域で頑張ろうと思えたんです。

どういう形に落ち着くかわかりませんが、この街ならではの医療の一つの形を実現したいと思います。