豊富な臨床スキル・経験を有し、医師としてキャリアの絶頂期を迎える40~50代。一方で、体力低下や子どもの進学、介護といったライフイベントをふまえて今後の働き方を見つめ直すターニングポイントでもあるようです。同年代の医師たちは、転職活動の際、医師人生の後半を見据え、転職時にはどのような点を重視しているのでしょうか。アンケート調査の結果をもとに見ていきます。
豊富な臨床スキル・経験を有し、医師としてキャリアの絶頂期を迎える40~50代。一方で、体力低下や子どもの進学、介護といったライフイベントをふまえて今後の働き方を見つめ直すターニングポイントでもあるようです。同年代の医師たちは、転職活動の際、医師人生の後半を見据え、転職時にはどのような点を重視しているのでしょうか。アンケート調査の結果をもとに見ていきます。
エムスリーが30~50代医師を対象に実施したアンケート調査によると、回答のあった359人全員が、「40・50代以降を見据え転職活動を行った経験がある(もしくは現在行っている)」という結果になりました。転職活動を始めた動機は以下のとおりです。
表1:転職理由ランキング(複数回答、30~50代の医師359人が回答)
キャリアの折り返し地点を迎え、健康面や家庭などプライベートを重視できる働き方へシフトしたい、という声が特に多く見られました。また、子どもの進学や老後の資金、開業準備などのために年収アップをはかる傾向も強いようです。 キャリアチェンジの理由について、30~50代医師のリアルな声をアンケート(※)から一部抜粋してご紹介します。
- 現在地域の中核病院で子育てをしながら働いているが、ほとんど子育てのサポートなく働いているため、どうしても自分の仕事を制限せざるを得ず、結果として収入が大幅に減っている状態。自分のペースでキャリアを築きつつ、落ち着いた環境で子育てをする、自分と主人の両親の世話もいずれできるように自分と主人の両親の傍での開業を考え行動している。(30代後半、女性、小児科)
- 自分自身の健康管理も考慮し、長期間継続して勤務ができるように、経営が安定しているとともに落ち着いた勤務ができる医療機関を念頭に転職を行ないました。また、落ち着いた勤務とは言っても、60代以降には至っていないので、亜急性期程度で自分自身が飽きないように留意もしました。(40代前半、男性、循環器内科)
- 勤続年数が長くなっていることから、職場の雰囲気に対する閉塞感が増している。子どもが幼く、これから教育費などの増加が想定されるため、年収upを希望している。老後の心配もあり、退職金に魅力を感じる。すぐにではないが開業も考えていないことはないため、その準備を進めたい。(40代後半、男性、精神科)
- 外科医師です。週1回の当直とその後の外来や手術、手術後の周術期管理、夜間の呼び出しや電話対応に徐々に体力と気力が追いつかなくなってきました。大きな事故やこちらが体調崩す前に、日勤で、現在の年収を維持もしくはUpしたいなと考えました。また、どうせ転職するなら、今までしたことないことも経験したく転職しました。(50代前半、男性、消化器外科)
アンケートでは転職先への満足度についても調査したところ、半数近くが「転職活動中である」と回答。転職活動を終えた医師は、程度の違いこそあれ転職先の環境・待遇に「満足している」傾向が強いことがわかりました。
表2:転職先への満足度(単一回答、30~50代の医師359人が回答)
一方で、「大変満足している」と回答したのは9%に留まっていることから、全ての希望を満たす職場を見つけるのは難しいようです。キャリアチェンジを検討する際は、長期的な視点で職場に求める条件の優先順位を整理しておくことが大切でしょう。 転職先に満足している点と不満な点、それぞれコメントをアンケート(※)から一部抜粋してご紹介します。
※「医師人生後半に向けたキャリア形成」をテーマに、エムスリーが2020年4月に実施。