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企画記事 転職ノウハウ

コロナ禍で冷え込んだ医師転職市場、回復の兆しも?―求人天気予報2020年7-9月期


2020年10月16日
記事KV

コロナ禍の混乱が始まって約半年。2020年7~9月は感染がピークアウトし、徐々に日常生活を取り戻してきました。しかし、医師の転職市場はそう元通りとはいかず、地域や診療科によって異なる様相を示しています。今回編集部では、m3.comCAREERに寄せられたデータをもとに都道府県と各科の求人倍率と想定下限年収を集計。データから転職市場の冷え込み具合を可視化しました。また、コンサルタントには最新動向も聞き、冷え込みから回復の兆しが見えてきたことも分かりました。


2020年7~9月の医師転職市場はやや冷え込み


グラフ1

図1:2020年7~9月におけるエリアごとの求人倍率と想定年収の平均額(下限)

現2020年4~6月と2020年7~9月で比較したところ、エリアごとの動向は上図のようになりました。求人倍率は求職者1人あたりの求人数のため、高ければ高いほど、転職先の選択肢が豊富ということを示しています。また、下限年収の平均額は、医療機関から提示されている想定年収の下限値を平均した数字であり、年収のボトムラインの参考となります。

2020年4~6月に比べて、2020年7~9月は多くのエリアで想定年収がダウンしていますが、都道府県や診療科によっては徐々に回復が見られます。

好調なのは7府県、28都道府県でマイナス傾向

はじめに、都道府県ごとの傾向を見てみましょう。

グラフ1

図2:2020年7~9月における都道府県ごとの求人倍率と下限年収(平均値)
※前回(2020年4~6月)から上昇している場合は赤字

まず、求人倍率が上昇したのは岩手県、山形県、栃木県、福井県、滋賀県、京都府、島根県、山口県、徳島県、香川県の10府県です。中でも岩手県、徳島県は求職者数が減ったことで、求人倍率の上昇幅が10ポイントを超え、求職者1人あたりの選択肢が増えています。

また、下限年収(平均値)が上昇したのは岩手県、山形県、茨城県、群馬県、新潟県、福井県、愛知県、滋賀県、京都府、島根県、徳島県、高知県、大分県、宮崎県の14府県です。ただし、2020年4~6月と比べて微増のところがほとんどで、最大値は高知県の+14万円でした。

そして、求人倍率・下限年収(平均値)ともに上昇したのは岩手県、山形県、福井県、滋賀県、京都府、島根県、徳島県の7府県にとどまりました。2020年4月以降、中部、中国・四国エリアは転職市場の活況が続いています。

一方、求人倍率・下限年収(平均値)ともに下降している地域は28都道府県でした。中でも東北、関東、近畿、九州エリアは下限年収が10~30万円ほどダウンする医療機関のほか、求人自体を取り下げる医療機関が多く、コロナ禍による経営悪化の影響が予想されます。

6科で年収2桁減、コロナの影響か?

次に、診療科別の傾向を見ていきます。

グラフ1

図3:2020年7~9月における診療科ごとの求人倍率と下限年収(平均値)
年収増減値は2020年4~6月との比較

診療科別で求人倍率・下限年収(平均値)ともに上昇したのは腎泌尿器系のみでした。また下限年収が上昇したのは腎泌尿器系、産婦人科系、糖尿病系、放射線系、脳神経系の5科にとどまっており、上げ幅も大きくないようです。

一方、精神科系、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科、小児科、皮膚科系は、2020年4~6月と比べて下限年収の下げ幅がマイナス10万円以上となっています。2020年4~5月に緊急事態宣言が発出されたことによる受診控えや緊急性のない手術の延期といった影響が、2020年7~9月にかけても尾を引き続けているとみられます。

緊急事態宣言解除以降、転職市場は徐々に回復中

このほか、医師・医療機関を取り巻く転職市場の変化について、エムスリーキャリアで医師の転職支援にあたるコンサルタントに聞きました。

求職者の変化


「2020年4~6月と比べて求職者数は増えており、1年以内など、短期で転職希望の医師も増えています。また例年に比べ、急性期で疲弊して退局するケースが増えているのも今期の特徴です。

緊急事態宣言中は他院訪問を禁止する医療機関もありましたが、宣言が解除された6月以降は緩和され、アルバイトをする医師、転職活動の面接に行く医師も増えています」(医師転職支援コンサルタント)

医療機関の変化


「2020年4~6月の急性期病院では、採用活動は止めないものの、当直必須にするなど条件を厳格化するケースが増加。そのため、応募できない状況や、面接しても内定が出ない状況にありましたが、2020年7~9月は条件緩和が進み、徐々に内定も出るようになってきました。

一方クリニックは、2020年4~6月は外来患者数の減少により、採用活動の取り止めも多く見られましたが、2020年7~9月にかけて外来患者数が戻ってくると採用活動を再開しています。また2020年4~6月は感染リスクが低いこと、収入が安定していることなどから自由診療を希望する医師が増え、内定が出づらい状況でしたが、2020年7~9月にかけては徐々に落ち着いてきています」(前出のコンサルタント)

診療科別の変化


「自由診療の美容系クリニックや小児科、耳鼻咽喉科といった外来中心のマイナー科は、徐々に求人募集を再開し、内定が出やすくなるなど変化が出ています。メジャー科は2020年4~6月と変わらず採用を進めているので大きな変化は感じていません。」(前出のコンサルタント)

全体としてはコロナ禍で混乱していた春先に比べ、転職市場は求職者数・求人数ともに回復し、勤務条件も緩和されるなど、転職市場は徐々に活気が戻ってきたようです。とはいえ、転職市場は刻々と変化しています。転職時期を迷っているのであれば、医師人材紹介会社なども上手に活用し、最新情報を得ながら考えてみてはいかがでしょうか。

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