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【2020年版】医師7,000人の転職理由ランキング


2021年3月2日(エムスリーキャリア編集部)
記事KV

 仕事内容、家庭事情、人間関係など、医師の転職理由は多岐にわたります。今回は2019年から2020年にかけて、エムスリーキャリアに相談を寄せた医師の転職理由を分析しました。コロナ禍前後で、転職理由に変化はあるのでしょうか。

【目次】

2020年は「情報収集のみ」が急上昇

 調査では、エムスリーキャリアに相談を寄せた医師の転職理由を 14項目に集計しました。転職理由が複数の場合は、それぞれを1件としてカウントしています。

 2019年と2020年の転職理由ランキングは次の通りです。

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図1:2019年、2020年の転職理由ランキング(複数回答、2019年は2019年1月1日~12月31日までにエムスリーキャリアへ転職相談を寄せた5160人が対象。2020年は2020年1月1日~12月31日までにエムスリーキャリアへ転職相談を寄せた医師7185人が対象)

 両者ともに「家庭事情(転居・育児・介護など)」、「人間関係の不満を解消したい」、「QOLを良くしたい」、「加齢による勤務内容の変更」が上位にランクインし、全体の転職理由の6割以上を占めています。

 そして、2020年は5位に「情報収集のみ」(12.5%)が入ってきていることが大きな特徴です。2019年は11位(5.1%)のため、先行きの見えないコロナ禍に不安を感じ、情報収集だけでもしておきたいと考える医師が増えていると予想されます。

 2020年の転職理由を世代別で見てみると、次のような結果になりました。

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図2:2020年の転職理由(世代別)(複数回答、2020年1月1日~12月31日までにエムスリーキャリアへ転職相談を寄せた医師7185人のうち、年齢が確認できた7147人が対象。赤字は世代内で回答割合が高い項目)

 20~30代は「資格を取得したい」、「より多くの経験を積みたい」といった専門性を高めたい意向がある一方、「過剰な業務負荷の軽減」、「QOLを良くしたい」など、心身に無理のない働き方をしたい若手医師からの相談が多いようです。

 また、「家庭事情(転居・育児・介護など)」が特に多いのが30~40代です。この世代は出産・育児、親の介護などが重なる可能性が高く、それに伴って転居やUターンを考える人もいます。そのほかライフイベントがなくても、キャリアアップ、あるいは負担軽減のために異動や転勤を考える人もいるでしょう。いずれも私生活に関わるため、転職するなら仕事内容だけでなく、職場の勤務体制や雰囲気、地域の住みやすさなども押さえた上で転職先を選ぶのが良いでしょう。

 40代以降になると「人間関係の不満を解消したい」、「加齢による勤務内容の変更」が増える傾向が見られます。キャリアもプライベートもある程度落ち着き、自分の専門性を生かしながら、より働きやすい環境へとシフトしたい気持ちが表れてくるのかもしれません。60代以上では「加齢による勤務内容の変更」が45.5%と約半数を占めていますが、年齢を重ねれば重ねるほど条件が厳しくなってしまうため、ここ数年は少し早めの50代中盤以降からセカンドキャリアの相談をする人が増えています。

多くは「不安やストレスを解消したい」

 2020年の転職理由の上位にある「家庭事情(転居・育児・介護など)」、「人間関係の不満を解消したい」、「QOLを良くしたい」について、具体的にどのような悩みを抱える医師が多いのでしょうか。

 それぞれの内訳は以下の通りです。

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図3:2020年の転職理由のうち「家庭事情」「人間関係の不満を解消したい」「QOLを良くしたい」の内訳(2020年1月1日~12月31日までにエムスリーキャリアへ転職相談を寄せた医師7185人が対象)

家庭事情

 「家庭事情」は転居の割合が多く、結婚・出産・育児、介護を伴うものもあれば、何らかの事情で地元に戻るという人もいます。また、通勤に1時間以上かかると負担に感じる人が増えるため、自宅近くで働ける場所を探すというケースも見られます。

  • 結婚に伴う転居のため、医局を退局し、転職したい。退局は半年~1年はかかりそうなため、その時期に入職可能なところを検討したい(30代前半女性/耳鼻咽喉科)

  • 小さな子どもがいるが現職では育児中の医師への風当たりが厳しいため、育児との両立ができる環境に転職したい。時短勤務、当直なしの病院やクリニックを希望(30代中盤女性/腎臓内科)

  • 次年度、親の介護のため地元に戻りたい(40代中盤男性/放射線科)

  • 現在、単身赴任で県外の病院に勤めている。急ぎではないが、希望に合い、家族が住む家から通勤圏内のところがあれば転職したい(40代後半男性/整形外科)

  • 家族の諸事情で実家から、戻ってきてほしいと言われている。大学生の子どもがいるので、現職での収入を維持できれば転居・転職をしたい(50代前半男性/一般外科)
  • 人間関係の不満を解消したい

     「人間関係の不満を解消したい」の対象は、経営陣、上司、同僚・部下、コメディカルなどさまざまですが、経営陣や上司など、上層部と合わないと訴える人が多くいます。また、組織・人員体制の仕組み上、仕事がしづらいという声もありました。

  • 現在10名の複数体制だが、人数が多い分、さまざまなトラブルもある。より実践的に経験を積むため転職したい(30代中盤男性/小児科)

  • 周囲から明らかなパワハラと言われるようなコミュニケーションの断絶によって抑うつになってしまい、環境を変えたいと考えたから(30代後半男性/脳神経外科)

  • 長年一緒に仕事をしてきた上司が開業のため退職。また院長が内科を評価してくれていないと感じており、新体制で残った上司についていけるかが不安なので、転職という選択肢も持っておきたい(40代前半男性/消化器内科)

  • 現在は急性期病院の管理職。勤務先の経営方針に大きな変化があり、退職者が増えた。自分から経営陣に掛け合ったものの改善が見られず、人間関係がストレスとなって、やりがいもなくなり、転職を考えている(50代前半男性/循環器内科)

  • 上の先生と合わず、周りも気を遣って仕事をしているため、精神的に負担が大きい。また、常勤医師4名のところ実質2.5人の稼働状況のため、診療体制の整ったところに行きたい(50代中盤女性/血液内科)
  • QOLを良くしたい

     「QOLを良くしたい」は、前述した「家庭事情」と連動するところがありますが、年代を問わず、メリハリをつけて働きたいというニーズは一定数あるようです。

  • 学位取得後の勤務先を常勤・非常勤の分け隔てなく探しているが、副業の時間を確保したいため、通勤30分程度、週3~4日、オンコールや当直なしのところを探している(30代後半女性/一般内科、産業医)

  • 現職は残業も多く大変忙しいが、子どもが3人いるため、家庭とのバランスも保ちたい。もしある程度、年収も維持しながら家庭にも時間が使える環境があるなら、転職を検討したい(30代後半男性/心臓外科)

  • カンファレンスや院内会議での発表など、手当がつかない残業が多く発生していることに不満。そのため、定時でしっかり帰れることを希望(40代中盤男性/眼科)

  • 現在は急性期病院に勤めているが、今後は外来診療、病棟管理、内視鏡検査を中心にして、気候の良い地域で趣味のマラソンを行いたい(50代前半男性/消化器内科)

  • 24時間365日オンコール体制の環境に疲弊し、このまま続けていくことが難しいと感じて転職を検討している(50代中盤男性/呼吸器内科)
  • アウトプットで気持ちが整理されることも

     転職理由は1つのこともあれば、複数の理由が重なることもあります。もし転職を迷うようなきっかけがあれば、今一度自分の気持ちを整理するタイミングなのかもしれません。

     コンサルタントに転職相談をいただく医師の中には、転職理由や転職によって叶えたいことが明確な方もいる一方で、コンサルタントと話したり、メールのやり取りをしたりする中で、思いが整理される方もいます。

     もし今後のキャリアについて何かしらの不安を感じていたら、「情報収集のみ」という理由でも構わないので、転職支援サービスを気軽に活用してみてはいかがでしょうか。