仕事内容、家庭事情、人間関係など、医師の転職理由は多岐にわたります。今回は2019年から2020年にかけて、エムスリーキャリアに相談を寄せた医師の転職理由を分析しました。コロナ禍前後で、転職理由に変化はあるのでしょうか。
仕事内容、家庭事情、人間関係など、医師の転職理由は多岐にわたります。今回は2019年から2020年にかけて、エムスリーキャリアに相談を寄せた医師の転職理由を分析しました。コロナ禍前後で、転職理由に変化はあるのでしょうか。
調査では、エムスリーキャリアに相談を寄せた医師の転職理由を 14項目に集計しました。転職理由が複数の場合は、それぞれを1件としてカウントしています。
2019年と2020年の転職理由ランキングは次の通りです。
両者ともに「家庭事情(転居・育児・介護など)」、「人間関係の不満を解消したい」、「QOLを良くしたい」、「加齢による勤務内容の変更」が上位にランクインし、全体の転職理由の6割以上を占めています。
そして、2020年は5位に「情報収集のみ」(12.5%)が入ってきていることが大きな特徴です。2019年は11位(5.1%)のため、先行きの見えないコロナ禍に不安を感じ、情報収集だけでもしておきたいと考える医師が増えていると予想されます。
2020年の転職理由を世代別で見てみると、次のような結果になりました。
20~30代は「資格を取得したい」、「より多くの経験を積みたい」といった専門性を高めたい意向がある一方、「過剰な業務負荷の軽減」、「QOLを良くしたい」など、心身に無理のない働き方をしたい若手医師からの相談が多いようです。
また、「家庭事情(転居・育児・介護など)」が特に多いのが30~40代です。この世代は出産・育児、親の介護などが重なる可能性が高く、それに伴って転居やUターンを考える人もいます。そのほかライフイベントがなくても、キャリアアップ、あるいは負担軽減のために異動や転勤を考える人もいるでしょう。いずれも私生活に関わるため、転職するなら仕事内容だけでなく、職場の勤務体制や雰囲気、地域の住みやすさなども押さえた上で転職先を選ぶのが良いでしょう。
40代以降になると「人間関係の不満を解消したい」、「加齢による勤務内容の変更」が増える傾向が見られます。キャリアもプライベートもある程度落ち着き、自分の専門性を生かしながら、より働きやすい環境へとシフトしたい気持ちが表れてくるのかもしれません。60代以上では「加齢による勤務内容の変更」が45.5%と約半数を占めていますが、年齢を重ねれば重ねるほど条件が厳しくなってしまうため、ここ数年は少し早めの50代中盤以降からセカンドキャリアの相談をする人が増えています。
2020年の転職理由の上位にある「家庭事情(転居・育児・介護など)」、「人間関係の不満を解消したい」、「QOLを良くしたい」について、具体的にどのような悩みを抱える医師が多いのでしょうか。
それぞれの内訳は以下の通りです。
「家庭事情」は転居の割合が多く、結婚・出産・育児、介護を伴うものもあれば、何らかの事情で地元に戻るという人もいます。また、通勤に1時間以上かかると負担に感じる人が増えるため、自宅近くで働ける場所を探すというケースも見られます。
「人間関係の不満を解消したい」の対象は、経営陣、上司、同僚・部下、コメディカルなどさまざまですが、経営陣や上司など、上層部と合わないと訴える人が多くいます。また、組織・人員体制の仕組み上、仕事がしづらいという声もありました。
「QOLを良くしたい」は、前述した「家庭事情」と連動するところがありますが、年代を問わず、メリハリをつけて働きたいというニーズは一定数あるようです。
転職理由は1つのこともあれば、複数の理由が重なることもあります。もし転職を迷うようなきっかけがあれば、今一度自分の気持ちを整理するタイミングなのかもしれません。
コンサルタントに転職相談をいただく医師の中には、転職理由や転職によって叶えたいことが明確な方もいる一方で、コンサルタントと話したり、メールのやり取りをしたりする中で、思いが整理される方もいます。
もし今後のキャリアについて何かしらの不安を感じていたら、「情報収集のみ」という理由でも構わないので、転職支援サービスを気軽に活用してみてはいかがでしょうか。