スキルアップ、職場環境や給与、育児との両立など、医師が転職するきっかけはさまざま。医師が転職を考える理由は、景気動向や社会情勢、医師の年代や性別によって変化しているのでしょうか? エムスリーキャリアが2018年度に転職支援をさせていただいた医師約6,000人の転職理由を分析しました。
スキルアップ、職場環境や給与、育児との両立など、医師が転職するきっかけはさまざま。医師が転職を考える理由は、景気動向や社会情勢、医師の年代や性別によって変化しているのでしょうか? エムスリーキャリアが2018年度に転職支援をさせていただいた医師約6,000人の転職理由を分析しました。
分析調査では、エムスリーキャリアに相談を行った医師の転職理由を 20 項目に分類しました。転職理由が複数の項目に当てはまる場合は、それぞれを1件としてカウントしています。
全体では「過剰な業務負荷・リスクの解消」が転職理由として最多の15.5%、0.2ポイント低い「業務方針・内容への不満解消」が2位となりました。1位の転職理由は年齢層別ランキングでも全年齢層のトップ3に入っています。2015年度にエムスリーキャリアが行った調査でも同項目が1位でした。
「経営方針・内容への不満解消」は、2015年度の調査では11.0%の5位でしたが、今回は2.5ポイント増えて13.5%の3位に。年齢層別に見てみると、30代では7.7%と多くありませんが、40代から60代以上では常にトップ3内に挙げられる転職理由となっています(表2)。役職につきはじめて、経営に関わる機会も増える40代以上ならではの悩みと言えるかもしれません。
前回の調査では10位以下(7.5%以下)だった転職理由「出産・育児との両立(家族)」が、2018年度では第9位、8.9%という結果になりました。
エムスリーキャリアのコンサルタントによると、「多くの医療機関が、出産・育児と仕事との両立がかなえられる環境づくりに前向きになっている」とのこと。実際に採用担当者から「産休中の医師も在籍中」「子育てしながら働いている医師もいる」というお話を聞くことも増えているそうです。「以前にくらべて、乳腺外科や婦人科など”女性医師だからこそ集患できている” 診療科目が増えてきたことも、病院側が妊娠・出産・育児の両立制度の整備や充実に取り組んでいる理由になっているのかもしれません」という見方もありました。
転職理由が「出産・育児との両立」のみではなく、「転居」理由とのセットである場合が多いと話すコンサルタントも。「これまで子育てと仕事を両立していた先生たちからは、引っ越し先でも同じように子育てできる環境へ転職したいというご相談がほとんどです」
このように、医師の転職理由はさまざまです。人材紹介会社に登録する医師について、コンサルタントは次のように語ります。「転職を通じてかなえたいことが明確な医師もいれば、そうではない医師もいます。私たちコンサルタントが先生のご状況を伺う中で、先生ご自身が自覚できていなかった思いや考えが明確になることも少なくありません。場合によっては、転職を取りやめたほうがいいとご提案させていただくこともあります」
納得のいく転職をするには、まずは、現在の状況を整理すること、転職する場合の優先事項をつけること。そして、情報収集をして比較検討することが重要です。しかしながら、多忙な医師が自分の希望にあう求人を探し出すのは難しいものがあります。そのようなときこそ、医師人材紹介会社に相談したり、情報提供を依頼してみてはいかがでしょうか。自分1人だけでは探し出せない情報や求人を提案してもらえるかもしれません。