中間管理職はやりがいがある一方、「割に合わない」の声も
はじめに、現在の役職について尋ねたところ、最も多いのは部長で24.3%、次いで院長(15.4%)、医員(12.6%)となりました。
図1:現在の役職(20~70代の医師674名の複数回答)
各役職のやりがいについて伺うと、教授、役員、院長といった上位の役職になればなるほど責任が大きくなる一方で、自ら意思決定できたり、仕事の範囲が広がったりすることにやりがいを感じる人が多い印象でした。自由回答から一部抜粋してご紹介します。
【大学医局】教授/准教授
- 教授:日本全体の医療に関して方向性を決められる(50代男性/整形外科)
- 教授:専門分野の最先端の医療を実践、開発できること(60代男性/外科)
- 准教授:実践と指導の両方ができる(50代男性/麻酔科)
- 准教授:自分の裁量で仕事ができる範囲が広い(50代女性/放射線科)
【大学医局】その他
- 助教:臨床、研究、教育がバランスよくできる(40代男性/脳神経外科)
- 医員:色々なことを任せてもらえる(20代男性/放射線科)
役員(理事長・理事など)
- 責任も伴うが、全てにおいて決定権を持つ(60代男性/内科)
- 理想を実現しやすい立場であること。良い組織文化を定着させられること。職員の意欲を引き出せること。経営の改善に貢献できること(70代以上男性/麻酔科)
院長/副院長
- 院長:コロナ禍で病院内の誰もが緊張と大変な責務を抱えている中で、病院組織をまとめていくこと。これはやりがいとは言えないくらい大変ですが、たまたまこの時代に院長職を引き受けているので、頑張らねばと覚悟しています(60代男性/外科)
- 院長:患者さんだけでなく、職員一人一人の幸せにも関係しているため、慎重かつ迅速な決断が必要になるところ。他の医療機関との協力、介護施設との連携、関連地域との交流などにも職責を感じている(60代男性/精神科)
- 院長:公立無床診療所の所長なので、地域で、それなりの扱いを受けること。自分のわかる範囲内での責任に限定できること(50代男性/内科)
- 副院長:病院運営に参画できる(60代男性/産婦人科)
- 副院長:臨床以外の雑務が多くてやりがいよりも余計な仕事をさせられている感じが強い(60代男性/脳神経内科)
部長/副部長
- 部長:スタッフをはじめ、部門全体の責任を持って仕事をする責任感が生じること(50代男性/内科)
- 部長:病院方針による制限で人事権は無いが、まあまあ自分のやりたい医療ができる(50代男性/小児外科)
- 副部長:治療方針、使用機械の決定ができる(40代男性/整形外科)
医長
- 名ばかり管理職です。病棟管理、外来診療、日当直、会議への出席が求められ、一番割に合わないと思います。部長以上になれば病棟管理も適当であり、このコロナ禍の中でも年末含めて日当直免除となっています(40代男性/内科)
手術部の権限を受け持っており、仕事がやりやすい状況にある(60代男性/麻酔科)
医員
- 仕事量が少ない分、一人の患者さんに多くの時間が使える(40代女性/精神科)
- 病院の利益をあまり考えずに診療できること(50代男性/内科)
出世意欲に差が出るのは40代以降
続いて、キャリアアップとして出世したいかどうかを尋ねました。なお、現在、教授・役員・院長など、組織トップの役職にあたる場合は、その役職に至るまでの意欲でお答えいただいています。結果は、「出世したい」が28.5%、「出世したいと思わない」が44.3%で、本アンケートでは「出世したいと思わない派」が多数となりました。
図2:先生は出世したいですか(20~70代の医師674名が回答)
世代別で見てみると、20~30代は出世したい派が50%近くを占めていますが、40代で出世したい派、どちらとも言えない派、出世したいと思わない派にほぼ均等に分かれ、50代以降は出世したいと思わない派が増えるようです。
40~50代は自身のキャリアや職場での立ち位置がある程度確立すること、60代以降は定年や引退を意識し始めることがこの結果に影響しているのかもしれません。
図3:先生は出世したいですか(世代別)(20~70代の医師674名が回答)
vol.2では「出世したい」医師の理由や、出世に関するポジティブなエピソードをご紹介します。