医師の転職理由のひとつに挙げられる「年収」。年収アップできた医師の転職には、どのような特徴があるのでしょうか。今回は人材紹介会社を利用した転職事例から、年収アップのポイントを年齢別に紐解きます。
医師の転職理由のひとつに挙げられる「年収」。年収アップできた医師の転職には、どのような特徴があるのでしょうか。今回は人材紹介会社を利用した転職事例から、年収アップのポイントを年齢別に紐解きます。
30代、特に30代半ばまでは研修中や専門医取得前後の医師が多く、自身のスキルや経験をストレートにアピールすることは難しいかもしれません。状況によっては、コンサルタントから現職にとどまることを提案される可能性もあります。それでもどうしても年収アップに重きを置きたいのであれば、次に示す事例のように、自身の環境をガラッと変えるのも一案です。両者ともにこれまでのスキルや経験をもとにした挑戦です。
卒後から大学病院で勤務。昨今の自然災害で実家が被災。自宅の再建などで両親への経済的サポートが必要になり、早急に年収アップするために転職を決意。専門の外科の知識と経験を生かして働ける訪問診療のクリニックに転職。
年収アップのポイント
(1)訪問診療への転科
(2)訪問診療クリニックへの転職
卒後から大学病院で勤務。大学病院での勤務はやりきったという気持ち。皮膚科専門医ではなく、美容外科・美容皮膚科の道に進むと決めたため、非常勤やスポットで慣れつつ、常勤先を検討。勤務内容、年収2000万以上、法人との相性などを重視してクリニックに転職。
年収アップのポイント
(1)美容外科・美容皮膚科への転科
(2)自由診療クリニックへの転職
40代は各自の専門性を突き詰め、転職市場で最も重宝される年代です。資格の有無や当直・オンコールなどの勤務条件、外来や病棟の担当数、手術数といったこれまでの臨床実績など、自分ができることを棚卸して、アピールポイントを明らかにしておくといいでしょう。医師を募集している医療機関に、そのアピールポイントにあたる医師がいない場合、条件を引き上げてでも採用したいというケースが多くあります。
民間病院で勤務。中高校生3人の子どもの教育費が掛かるため、年収アップを第一優先に転職を決意。外来から病棟管理まで業務内容を絞らず、当直なども限度を緩和。年収が上がれば転勤しても良いという考えがあったため、希望エリアで内定を得た後も、全国でそれ以上の条件の病院がないかどうか、念のため担当のコンサルタントがリサーチし、最も良い条件の病院に転職した。
年収アップのポイント
(1)外来・病棟管理・分娩まで幅広い業務に対応
(2)当直回数やエリアなどの条件をできる限り緩和
民間病院で勤務。指導医を取得したため、金額面でより評価してくれる病院への転職を希望。妻も医師のため、2人の子どもの子育てはある程度余裕が持てるよう勤務条件の細かい点もしっかり確認。自己応募もしたが、コンサルタントが介在し、当直なしで高年収が叶えられる病院が見つかった。
年収アップのポイント
(1)自身の資格・経験が生かされる病院選び
(2)病院は体制強化加算や研修認定施設などが認定可能になり、収支や採用でプラスに
多くの医療機関では、60歳以降になると年収が抑えられてしまう傾向があるため、年収アップを目指すなら50代がラストチャンスといえそうです。多少のブランクがあっても、これまでの臨床経験、マネジメント経験は一定の評価はされるもの。積極的にアピールできると良いでしょう。
現勤務先の症例数、給与ともに、思いのほか自身の将来プラン通りには行かないことを懸念し、転職を検討。前職では心臓カテーテル検査を年間200件などの実績があり、各種専門資格も持つ循環器内科のスペシャリスト。症例数だけでなく部長職以上、手技料が生じるものはその10%をインセンティブとして受け取るといった希望にこだわり、それらが叶う病院に転職。
年収アップのポイント
(1)高度な専門知識と豊富な臨床・治療実績のアピール
(2)自身の実力に応じた役職・インセンティブなどにこだわり
前々職の病院では新たに科目を立ち上げ、リハビリスタッフが100人規模になるまで10年以上、臨床とマネジメント業務を両立。その後は地域医療に貢献しようと地元に戻ってきたものの、以前のようなやりがいが得られなかったため、改めて他県での転職を希望。内科全般、往診、看取りなども対応可能な点もアピールしながら、回復期スタッフを増員中の病院に、リハビリテーション科の統括部長として転職。
年収アップのポイント
(1)臨床とマネジメント業務の豊富な経験
(2)病院の注力分野と自身の強みがマッチ