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企画記事 転職ノウハウ

専門医“断捨離”に「共感」6割―専門医アンケートvol.2


2021年1月29日
記事KV

専門医を取るには試験勉強や症例集め、学会参加に加えて、何かと費用がかかるものです。今回実施した「専門医」のアンケート(※)から、専門医に関わる費用やその費用対効果についてご紹介します。

※2020年11月14~23日、m3.com会員の医師を対象にエムスリーキャリアが実施


専門医にかかる出費は年間数万単位

まず、専門医の「取得」にかかる年間平均費用は「1万円~5万円未満」(26.2%)、「5万円~10万円未満」(24.8%)が約半数を占めました。実態は医師によってさまざまかと思いますが、取得には5万円前後の出費が一般的なようです。

グラフ1

図1:専門医取得の年間平均費用(20~70代の医師1024人が回答、専門医がない医師は除外)

更新だと、年間費用はどのくらいでしょうか。こちらは1万円未満が7.6%しかおらず、万単位の出費は避けられないようです。

当然のことながら、専門医数が増えれば増えるほど経済的負担も増します。5万円以上、10万円以上の出費をしている医師も一定数いることから、「費用がかかる」と悩む医師が多いのも頷ける結果になっています。

グラフ1

図2:専門医更新の年間平均費用(20~70代の医師1024人が回答、専門医がない医師は除外)


専門医は「自信になる」?「自己満足」?意見分かれる

多大な時間と、少なくない費用をかけて取得する専門医資格。せっかく取得するのであれば、資格の恩恵を受けたいものですが、専門医を取得・更新する労力と、日ごろ享受するメリットは見合っているのでしょうか。医師たちの回答は次のようになりました。
グラフ1

図3:専門医資格にかかった時間・費用・労力と、専門医のメリットは見合っていると思いますか(20~70代の医師1024人が回答)

「十分見合っている」が3.1%で極端に少なく、他の項目はおおむね20%前後で意見が分かれました。それぞれの回答理由を見てみましょう。

十分見合っている


  1. 近接領域の専門医を取る前は、無批判に他科医師の言いなりだった。専門医を取ってからだと、他科医師が実はあまり勉強していないと分かり、例えば非常に古い知識でものを言っている、ひどい病態の読み違いをしている、あるいは、目の前のデータを十分読み切れておらず治療せず放置しているなど、見えなかったものが見えるようになった。結果、他科の抜けに惑わされず、自信を持って先手を打てる(40代男性/糖尿病科)

まあ見合っている


  1. 開業したときの運転資金がうまくいった。コロナ禍でも医師会の乳児検診や校医になれて収入面で助かっている(50代男性/小児科)

  2. 単位取得などの煩わしさはあるものの、計画的に単位を取得すれば日常の生活・仕事へ負荷を増すほどではないから(50代男性/内科)

どちらとも言えない


  1. 収入の上でメリットはありません。専門研修認定施設の維持のためには必要です(40代男性/整形外科)

  2. とりあえず保険、保証のために持っているので、ないと不安なだけ(50代男性/泌尿器科)

  3. 学会出席の時間はともかく、旅費がバカにならない(60代男性/内科)

あまり見合っていない


  1. 基本的には専門医資格の取得は自己満足なところが多い(40代男性/循環器科)

  2. 診療報酬などでの還元がない。勉強のためだけならきっかけと区切りにはなるが、それ以上の意味はない(40代男性/耳鼻咽喉科)

  3. 安易に更新できるが真面目に更新しようとすると時間や手間が非常にかかる。真面目にやると実に損(60代男性/小児科)

まったく見合っていない


  1. 病院には専門施設、指導施設の維持にメリットがあるが、個人的には何ら診療報酬上の加点もなく、給与も変わらず、更新の手間と更新料が発生するのみ(60代男性/消化器外科)

  2. 標榜しても、患者さんはそれを目指してやってくるわけではなく、患者とのコミュニケーションやどこまで患者を理解してくれるかで集まってくるもので、専門医を有するかどうかは関係ない(60代男性/神経科)

知識が身に付き自信が持てた、信頼を得られたというポジティブな意見がある一方で、給与や待遇にプラスがなく出費や手間が増えるといったネガティブな意見も。専門医資格そのものに意義は感じつつも、その維持となるとやや負担が増すようです。

取得・更新だけでなく、手放す選択肢も

一部の医師の間では、専門医の更新を止める「専門医断捨離」が話題になっています。時間と費用の割にメリットをあまり感じられなければ手放していくのは、ある意味で自然な流れなのかもしれません。この「専門医断捨離」について、医師に共感できるかを尋ねたところ、61.5%が「共感できる」と回答しました。

グラフ1

図4:専門医断捨離についてどう思いますか(20~70代の医師1024人が回答)

専門医資格の取得に対しては研鑽のきっかけとして評価する声が多いものの、更新し続けることには意義を見出しにくい面もあるようです。特に医師20年目、30年目になると、専門領域の症例に携わる場面が少なくなることもあります。キャリアの節目ごとに、自身にとって専門医資格とは何なのかを見つめ直すと、今後のキャリアや働き方を考えるきっかけにもなりそうです。

vol.3では、専門医の更新事情について、先生方から寄せられた意見をご紹介します。

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