83.9%の医師が専門医資格を持つ(vol.1参照)のに対し、今後もその専門医を「維持・更新したい」と思う人は60.2%、一方「維持・更新したくない」と思う人は9.4%でした。苦労して取得した分、半数以上の医師が専門医を維持・更新し続けたい意思があるようです。
図1:現在ある専門医資格を維持・更新し続けたいか(20~70代の医師1024人が回答)
それぞれの理由を見ていきましょう。
とてもそう思う
- 取得が大変だったので資格を喪失した場合に、次に受けても受かる気がしない(40代男性/循環器科)
- 一般の人に専門を説明しやすい。また、基本領域の専門医取得は自らのキャリアの重要な通過点でもあるから(40代女性/リハビリテーション科)
- 画像診断管理加算の関係で、専門医がないと仕事にならない(40代女性/放射線科)
- 各診療科の治療内容がより高度になり、専門医と他の医師との治療に差が出てくるから(50代男性/整形外科)
- 今後、自分が現在勤務している施設で、後進を指導・育成するためにも資格が必要になるから(60代男性/内科)
まあそう思う
- 外勤先では専門医資格の有無により業務内容と待遇が異なる(30代女性/科目未回答)
- ないと医療過誤の際に問題になりそう(40代男性/脳神経外科)
- 転職する際に専門医資格がないと難しい気がするため(40代女性/麻酔科)
- 今後、専門医でないと出せない処方が出る可能性があるから(50代男性/精神科)
- せっかく取ったし、失ったらもう絶対取れないとわかっているので更新はする。そのことで一生専門科の知識を更新するモチベーションになるし、学会参加が必須なので否が応でも勉強することになって怠け者の自分には良いことと捉えている(50代男性/循環器内科)
どちらとも言えない
- メリットは現在のところないが、持っていないと何か不利なことが起こるかもしれないという不安(60代男性/眼科)
- もうすぐ定年なので可能なうちは更新するが、症例数や経験で無理になったら諦める(60代男性/外科)
- 専門医を持っていてもスキルアップにならない。なくても勉強を毎日すれば問題ないからです。臨床1年目と専門医が診察・検査しても診療報酬が変わらないことに疑問を感じていました(60代男性/消化器科)
あまりそう思わない
- 基幹病院を定年退職したので研修医や後輩に指導する機会がなくなった(60代男性/内科)
- 患者さんも専門医だから来てくれているようではないし、更新制度が変わり面倒になったので潮時かと(60代男性/皮膚科)
- 取らずに済むなら取りたくない。持っていようが、持っていなかろうが現状ではあまり変わらない(70代以上男性/産婦人科)
まったくそう思わない
- コストパフォーマンスを考慮すると、給与や診療報酬に反映されない資格は持っていても無駄だから(50代男性/内科)
- 専門医制度の変更により、とても時間的、金銭的に面倒になり、嫌になった。新たな団体が関わったけれども実質的なメリットがわからない(60代男性/内科)
専門医が実務やモチベーションに役立っている医師もいますが、専門医の価値に疑問を感じつつ、制度や環境の変化に備え、不安を払拭するために持ち続けている医師も散見されました。