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企画記事 転職ノウハウ

まさか昇給無し!?医師転職「こんなはずじゃ…」防ぐには―医師の市場価値を高める転職/バイト探しVol. 6


2021年7月29日
記事KV

「忙しすぎてプライベートの時間が無い」「自分の求める医療と方向性が異なる」「給与と仕事内容が見合わない」――よりよい労働条件や、働く環境を求めて医師が転職活動をすることは、もはや珍しいことではありません。しかし、思いつくがまま、準備不足のままの転職では、思わぬ禍根を残したり、落とし穴にはまってしまうことも。ここでは多くの医師転職をサポートしてきたエムスリーキャリアのキャリアコンサルタント 人見敏広氏に医師が転職時に注意すべきチェックポイントについて伺います。
※Vol. 5はこちら

【教えてくれた人】人見 敏広(ひとみ としひろ)氏

エムスリーキャリア株式会社医師キャリア事業部 常勤紹介グループ リーダー
キャリアコンサルタント※
※厚生労働大臣が認定する講習の受講と3年経験の実務経験を満たした上で、試験に合格することで登録される国家資格。キャリアコンサルティング(労働者の職業選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導)を行う専門家。


医師の転職は売り手市場?大都市圏を中心に崩れる神話

今回は、医師の皆さま方が常勤のお勤め先を辞めて別の医療機関に移るとき、「こんなはずじゃなかった」と後悔されないためのポイントについて、解説をさせていただきます。

転職の際「こんなはずじゃなかった」という後悔が発生しやすいポイントとして、大きくは「仕事内容」と「契約・待遇」の2点が上げられます。

まずは1点目の「仕事内容」について。転職においては、大学病院から民間病院へ、高度急性期病院から急性期度の低い病院やクリニックへ、あるいはその逆……など、医療の役割が異なる医療機関に移ることが多くあります。これまでの環境とは異なる職場に移ることになりますので、事前にある程度分かっているつもりでも、実際に現場に入ってみると「予想以上にずれが大きかった」ということもあるのです。

さらに2点目の「契約・待遇」について。医師の皆さまの場合、かつては“売り手市場”が当たり前だった転職ですが、東京などを中心とした人気の都市部では、少しずつ“買い手市場”にシフトしてきています。買い手市場になるということは、待遇面において雇用側が以前よりも強気に出やすいということ。転職先が先生にとって本当によい職場なのか、しっかり見極めることがこれまで以上に重要になってきます。

代表的な3シーンをチェック!仕事内容にまつわる「こんなはずじゃ…」

グラフ1


では、仕事内容におけるミスマッチの具体例を見ていきましょう。

よく見受けられるのが「求められる業務が、事前に聞いていた話と違う」ケースです。先ほども申し上げた通り、医療の役割が異なる医療機関に移る場合、機器のレベル、人員の規模感、医師数、コミュニケーションラインなど、業務にまつわる環境が大きく変わります。

大学病院などで専門性の高い医療に取り組まれていた先生であっても、ご専門の部分以外のお仕事も多く割り振られる場合があります。

事前の話では「それくらいは大丈夫」と思っておられても、実際の現場になると思ったより負担があり、本来やりたかった診療ができない、委員会活動など想定外の業務も予想以上に多い、ということも。周りの目も厳しくなり、思わぬ苦労をする可能性があります。

また現場に入ってからのコミュニケーションのずれも要注意です。入職前の面談で、院長や診療科部長、事務長などとはお話されていても、実際に働くチームの仲間とは接点がなく、また現場にも先生の情報が事前に共有されていない、というケースがあります。「面談では和やかな雰囲気だったが、入ってみると現場になかなかなじめず、疎外感を感じた」という先生もおられます。

ほかに、これは特に老健の施設長等のポジションを検討されている先生に多いケースですが、思ったより書類仕事が多い。また医療保険から介護保険にシフトするため、勝手がわからずに苦労するといった方もおられるようです。

「知り合いからだいたい聞いているから大丈夫」と考えていても、入職してみるとそうではなかった……というケースも少なくありません。もし紹介会社を通している場合は、コンサルタントとも事前にしっかりと相談なさってください。どうしてもご不安な場合、一度スポット勤務をさせてもらい、現場の状況を見るといった方法も有効です。

そんなのあり!?契約・待遇にまつわる「こんなはずじゃ…」

グラフ1


次に2点目のチェクポイント、契約・待遇面について解説します。

医局人事で関連病院などに移られた先生ですと「就労先の関連病院と雇用契約を結んだ覚えがない」「通知書や通知メールしか来ていない」という方もおられるかもしれません。

法的には、医療機関と労働者は直接契約を結ぶ、つまり現在勤務している病院と雇用契約を書面で取り交わすのが望ましい形なのですが、実際の医療現場ではなかなか、それが徹底されていない現状があります。

契約があいまいだとどうなるのかと言うと、待遇面で困ってしまう可能性があります。しっかりした雇用契約の書面があれば、先生がどのような待遇になるかは、雇用契約書や就業規則で確認できます。しかしそれがあいまいな場合、以下のようなトラブルに見舞われる可能性があるのです。

・昇給基準が不明瞭でなかなか昇給しない
・そもそも昇給がない報酬体系になっていた
・入職してみたらアルバイトに制約があった
・残業代がまったくでなかった
・休日勤務について記載がないのに、実際は月1回の当番制だった

こうした思わぬ不利益が入職した後に発覚し、モチベーションが下がってしまう、ということが起こり得ます。もし、事前にしっかり契約を書面で結んでおくことができれば、こうしたトラブルは防ぐことができます。紹介会社を経由した場合、こうした契約はしっかり結ぶことができますし、働き方や業務内容に対して不安要素があれば条件交渉を行う、条件面について確認して契約に盛り込むことも可能です。求めるものを明確にし、紹介サービスなども上手に活用いただくと、理想の転職に近づくのではないでしょうか。

転職時に気を付けたい「後悔しないための」チェックポイントについて、キャリアコンサルタントの人見氏にお話を伺いました。転職を考えていらっしゃる医師の皆さまも、焦って新天地を決める前に、「仕事内容」「契約・待遇」についてしっかり確認されることが肝要と言えるでしょう。

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