そもそもマッチングって何?何故見学に行かなければならないの?
CBTやOSCEが終わると、クラスメイトの話題は実習と病院見学。ところが「そもそもマッチングって何?」という方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回はマッチングの基礎の基礎について解説します。
マッチングはオンラインで機械的に行う!
そもそもマッチングは、 医師臨床研修マッチング協議会 という公益財団法人が運営するwebサイト上にてオンラインで機械的に行われます。学生の皆さんはこのサイト上で「第1希望**病院」、「第2希望**病院」と登録。臨床研修病院側も「第1希望**大学**さん」、「第2希望**大学**さん」と登録し、 決まったアルゴリズム で組み合わせが決定します。
マッチングにも試験がある!
ここで注意が必要なのは臨床研修病院側も「第1希望**大学**さん」、「第2希望**大学**さん」と希望順位を登録する点です。つまり、臨床研修病院も「誰から優先的に受け入れたいかを決めなくてはならない」のです。そのため、多くの臨床研修病院はマッチングに参加するにあたり、試験を実施します。この試験は大抵、6年生の夏休み前後に実施されます。
試験の前にやるべきこと
6年生の夏休み前後に試験を受ける…、となると6年生の6月終わりくらいには受験する病院が決まっていなくてはならない…、となると大学によって実習や試験の繁閑にはばらつきがあるものの5年生の終わりの春休みには本命の見学を済ませておかなくてはならない…、そう、「5年生の終わりの春休みには本命の見学を済ませておく」必要があるわけです。それでCBTやOSCEが終わると、クラスメイトの話題に病院見学が出てくる訳ですね。
見学って重要?重要!
卒業後に皆さんが研修先を選べるようになったのは2004年から。当時の先輩は1人10件程度、それも本命は複数日、病院見学に行ったそうです。ところが最近では1人が見学に行く件数は3-4件、それも1日のみというのが一般的となりました。これは皆さんのやる気の問題というよりも在学中に学ばなければならないことの変化により、見学に十分な時間が割けていないというのも一因のようです。
いずれにしてもマクロで見ると、「2004年と比較して1回の見学の重みが約3倍となっている点」を認識する必要があります。ここでイメージしてみてください。10件見学すれば、自分に合う病院と出会えそうな気がします。でも3-4件だとどうでしょう?「こんなはずじゃなかった…」ということになるかもしれません。
『m3.com 研修病院ナビ』運営事務局ではこれまで200件弱の病院にヒアリングを行ってきました。「先輩の満足度が高い(=評判が良い)病院は後期研修までその病院に残る割合が高い」という傾向を掴んでいます。
また、岐阜大学大学院医学系研究科産業衛生学分野が2009年に発表した「1年目研修医のバーンアウトと職業性ストレスおよび対処特性の関係」によると「研修医の30%がバーンアウト状態」、厚生労働省の平成25年2月8日付の「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ論点整理」によると、「研修中における悩み・ストレスで一番多い原因は人間関係」という調査結果もあります。「在籍している先輩研修医がイキイキしているか」や「人間関係=職場の雰囲気が自分に合いそうか」はさすがに見学しないとわからないですよね。
また、皆さんが逆に採用側の立場だったら…イメージしてみてください。
・複数回もしくは複数日見学に来て、名前と顔が一致して人間性もある程度わかっている人。 ・1回、1日だけ来て名前と顔がいまいち一致しない、どんな学生だったかほとんど記憶にない人。
仮に後者の方が試験の結果が多少よかったとしてもどちらの希望順位を上にしますか?
最後に、病院が見学を受け入れている時期は大学の夏・春休み中という訳ではありません。むしろ夏・春休みは見学者が多いため、1人1人の印象が弱くなってしまう可能性があります。多くの病院は一年中見学に対応してくれますので、「長期休暇を避ける」というのも一手です。