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企画記事 転職ノウハウ

どのくらい大変?開業までの1年間―開業までのロードマップ(1)


2018年9月6日(エムスリーキャリア編集部)
記事KV

開業医T

医師のキャリアの選択肢のひとつである「開業」。開業をするためには、何をどのように進めればよいか迷う先生もいらっしゃるのではないでしょうか。わたしは、約20年前に腎臓内科クリニックを開院しました。今回は、開業の経緯、開業までに必要な選定や決定事項についてお伝えできればと思います。

【著者プロフィール】
専門:腎臓内科
開業時期:2000年前半
クリニック形態:開業11年目に個人診療所→医療法人化
クリニック収益:約1600万円/月
現在の月収:約120万円(手取り)
クリニックの家賃:約85万円
スタッフ:非常勤医1名、看護師3名、臨床工学士(血液透析)2名、事務1名、送迎スタッフ2名

大学病院を辞めて、開業医へ

 わたしが開業を決心したのは、医師8年目のころです。当時のわたしは、大学病院の腎臓内科に在籍していました。大学病院に所属していたものの、認定医や専門医も取得せず、あまり真面目な医師とは言えませんでした。患者さんと向き合い、治療をすること自体はとても好きだったのですが、職場の人間関係などを考えると、大学病院内で医師として働き続けることに限界を感じていたのです。
先端医療や研究というよりも、どちらかというと地域医療の一端を担い、町医者として地域住民の健康を守りたいという気持ちのほうが大きく、アルバイトで行っていた人工透析の方がモチベーション高く医療に携わることができました。

 アルバイトとして働いていた地域は、腎臓内科のレベルが低いことが問題となっていました。加えて、透析などを十分に受けられるクリニックが少ない、という不満を患者さんから聞いてもいました。「もし先生がクリニックを開業してくれるのならば、そちらで治療を受けたい」というありがたい言葉もあり、開業を決心したのです。
簡単に言ってしまうと、わたしは組織で働くのが合わない人間だったようです。医療自体と地域住民との交流はとても肌に合っていたのですが、それ以外のことを気に掛けるのがどうしてもできませんでした。あまり感心される理由ではないかもしれませんが、このように開業を決心する医師もいることを知ってもらえたら嬉しいです。

開業までの大まかな流れ

 開業を決意してから、実際に開業するまでには3年ほどかかりました。というのも、開業するまでには資金調達やら、開業申請やら、するべきことがたくさんあります。実際に具体的に話が進んでいったのは開業1年まえからです。開業までの大まかな流れ、するべきことは下記です。

開業までの大まかな流れ

開業する前に、気を付けたいこと


開業する前に、気を付けたいこと

 前述のように、開業前は大学病院の勤務医として働いていました。そのため、恥ずかしながら全く知らなかったのですが、保険診療の場合、健康保険の負担部分の振込時期はとても遅れます。
診療報酬の振り込みは、当月分が翌々月の21日頃までに行われるため、実に2カ月以上の間が空くのです。そのことを把握していないと、運転資金がパンクする可能性があります。
開業すると、医療機器のローン返済や病院の家賃、人権費など月々のランニングコストが発生します。これらを踏まえたうえで、診療報酬の振り込みが始まるまでの期間を乗り切るためにも、ある程度の運転資金を用意しておく必要があります。患者さんの集客がうまくいかず、軌道に乗るまで時間が掛かることも考えて、できれば6カ月分の運転資金を用意できるとよいでしょう。わたしの場合は、運転資金として約1000万円弱用意しました。

 クリニックを開業するほとんどの場合、個人での立ち上げになると思います。個人経営のクリニックの場合、財布は個人とクリニックで同じになります。黒字が出れば代表者の収益となりますが、赤字が出た場合は補填しなければいけません。融資、親族からの借り入れ、自己資金――どれでもいいですが、運転資金はあらかじめ用意しておきましょう。資金調達については、別稿で触れたいと思います。

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