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企画記事 医療機能別・医師のキャリア【急性期編】

病床報告のおよそ半数 急性期病院の将来展望

2016年10月11日(兼松昭夫)

 病状が不安定な患者に集中的に治療を提供し、病状を安定させなければならないのが急性期機能を担う医療機関。2014年度の病床機能報告によると、全国の病床の半分近くが急性期に当たるとされ、入院医療の4つの機能の中で最大のボリュームゾーンです。国の試算では、2025年までに全国ベースで18万床程度が供給過剰になるとみられ、回復期などへの転換が全国各地で進む可能性も―。今回はそんな急性期を担う医療機関での業務の特徴と今後の展望を紹介します。

急性期病院での働き方

急性期病院での働き方

 急性期病棟では、高度急性期に次いで高密度な治療を提供します。地域で存分に活躍したいという思いを持った医師にとっては活躍の場となり得ますが、特に医師不足が深刻な地域では多忙になりがちで、2000年代には、こうした状況を嫌った医師が開業に踏み切る“立ち去り型サボタージュ”が社会問題になりました。

 勤務環境・待遇は経営主体や地域によって大きく異なるものの、急性期の領域での生き残りを懸けて最新医療機器を導入したり、医師の定着のために待遇改善を図ったりする病院も多く、しっかり情報収集すれば自分に合った勤務環境を見つけられる可能性は高まります。

 高度急性期と同様、高い判断力とハイレベルな医療知識と共に、厳しい業務に耐えられるだけの気力と体力が求められます。

 将来的にどのような病棟が急性期医療を担うのか、明確な基準は2016年9月現在、示されていませんが、国はこれまで7対1と10対1入院基本料を算定する病棟を急性期とみなしてきました。これらの病院の多くは、診断群分類ごとに決められた診療報酬を1日当たりの定額払いにするDPC/PDPSに参入しています。これに加え、近年では入院患者の在宅復帰支援やほかの病院との連携に伴う業務の重要性が高まっており、勤務医にも医療の効率化や病棟全体をマネジメントする視点が求められつつあります。

 また、中小規模の急性期病院ではかかりつけ医としての役割のウエートが高まっていて、勤務医には患者や家族とのコミュニケーション能力が求められます。

今後の展望

今後の展望

 2014年度の病床機能報告では、全国の医療機関の約58.1万床が、急性期をカバーしていると報告しました(同年7月現在)。これは、報告があった一般・療養病床全体の半分近くを占めます。これに対して、国は2025年の時点での急性期の必要病床数を40.1万床程度と試算しており、単純に計算すると18万床の供給過剰が見込まれます。

 こうした中、急性期医療のシンボルとも言える7対1入院基本料の算定病床を削減しようと、診療報酬による国の誘導が進んでいます。7対1入院基本料を算定するには重症患者を一定割合以上受け入れる必要がありますが、2016年度の報酬改定で国は、この割合を従来の「15%以上」から「25%以上」へと大幅に引き上げました。

 急性期病床を削減するための政策が展開される一方で、多くの医療機関が急性期の医療ステージに踏みとどまるために努力を重ねています。これまでの政策誘導で7対1の算定病床が減らなければ、2018年度以降の報酬改定で一層ドラスチックな見直しが行われる可能性が高く、これに伴って医師の配置も流動的になる可能性があります。