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企画記事 医療機能別・医師のキャリア【在宅医療編】

都市部を中心にニーズ急増 今後の動向は?

2016年10月24日(兼松昭夫)

 医療費の伸びを抑制して医療保険制度の持続可能性を高めるため、国は入院医療から在宅医療へのシフトを推進する方針です。これと並行して、特に都市部では高齢化がこれから急速に進むため、在宅医療のニーズは急激に高まるとみられます。ただ、在宅医療を提供する診療所や訪問看護ステーションの整備状況には地域格差が目立ちます。今回は、そんな在宅医療での業務の特徴と今後の展望を解説します。

在宅医療機関での働き方

在宅医療機関での働き方

 在宅で療養中の患者を訪問診療したり、ときには最期を看取ったりします。在宅療養中に患者の容態が急変して対応が困難なら、急性期病院や地域包括ケア病棟を整備する病院などにつなぎます。また、十分な介護サービスを患者が受けられるよう、ケアマネジャーや介護スタッフとも連携します。

 在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)では24時間オンコール対応できる体制を整備する必要があり、常に緊張感が求められます。ただ、中にはオンコール体制や医師のサポートスタッフを充実させるなど勤務負担の軽減につなげる医療機関も。勤務環境は医療機関によってさまざまなので、事前によく確認しておくと安心です。

 在宅医療では、患者や家族と相談しながら必要な医療を提供します。さらに、その人らしい療養生活を送れるように訪問看護師や介護スタッフなどの他職種と連携を取る必要があります。そのため医師には、患者や家族、他職種スタッフと治療方針を話し合い、最適な方針を提案できるだけのコミュニケーション能力が求められます。

今後の展望

今後の展望

 特に首都圏や地方都市ではこれから先、高齢化が急速に進むため、在宅医療のニーズが急増するのは確実です。国の試算によると、2025年には全国で1日29.7万~33.7万人分のニーズが見込まれ、国は在宅医療に従事する医師や看護師を増やす方針です。ただ、医療スタッフの間には病院志向が根強く、在宅医療への転身に慎重な人も多いようです。

 在支診の概念を打ち出した2006年度の診療報酬改定以降、国は量的な整備に施策のウエートが置いてきましたが、近年ではそれに加え、医療機関に新たな機能を担わせたり、一層の機能強化を求めたりする方向です。

 2016年度の改定では、認知症と慢性疾患を抱える在宅患者に対して療養上の指導などを行った場合に算定できる点数を新設し、末期がんや難病(スモン)の患者を訪問した場合の報酬を手厚くしました。